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» 2011年02月03日 23時06分 UPDATE

iPhone好調のソフトバンク、「勝利の方程式」は第二幕へ

iPhone効果で移動体通信事業が好調なソフトバンクグループの第3四半期決算は増収増益。Androidが台頭し始める中、「主軸がiPhone、iPadであることは当分変わらない」と自信を見せた。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo ソフトバンク 社長の孫正義氏

 2月3日、ソフトバンクが2011年3月期第3四半期の決算を発表。第1〜3四半期の実績は、累計売上高が前年同期比10%増で2兆2499億円、営業利益が前年同期比31.6%増の4821億円で増収増益となった。

 同社社長の孫正義氏は、「売上高、EBITDA、営業利益、経常利益、純利益のすべてにおいて順調に伸びている。1000億、2000億級の増収増益は、他社(通信キャリア)に見られない状況」と自信を見せた。

 移動体通信の好調な実績が奏功した格好で、同社はこの好調さをふまえ、通期の営業利益予想を当初の5000億円から6000億円に上方修正した。

Photo 業績は「どの角度から見ても伸びている」と孫氏
Photo 他の大手通信キャリアとの比較

主軸がiPhone、iPadであることは変わらない

 移動体通信事業は、4月から12月の純増数で4年連続トップを獲得するなど好調に推移。累計契約数も右肩上がりで成長しており、2010年12月にはボーダフォン日本法人の買収から約1000万増となる2440万契約に達した。

 ARPU(1人あたりの月額利用料)も、データARPUの大きな伸びが原動力となって前年同期比110円増の4310円に到達。データARPUは前年同期比270円増の2330円となり、初めてKDDIの数値を上回った。

Photo データARPUの推移

 こうしたデータARPUの上昇や純増数の増加をけん引するのが、iPhoneとiPadだと孫氏は強調する。

 通信キャリア各社は2010年の秋以降、Android端末のラインアップを拡充してiPhoneの追撃態勢に入っているが、孫氏はそれらの端末が純増にどれだけ貢献しているかを示す調査結果を引き合いに出し、iPhoneが新規顧客の獲得数で他を引き離していると説明。強さの理由として、日本のユーザーが日本円で購入できるアプリの数がiPhoneは30万を超えているのに対し、Androidは6000種ほどであることや、iPhone購入者の顧客満足度が98%という調査結果があることなどを挙げた。

 iPadについては、業務用途で使いたいという声が高まっており、これまで携帯電話で取引できなかった企業からも引き合いがあるなど、法人市場の新規顧客の獲得に役立っていると話す。

 ソフトバンクも、2万人の社員にiPadとiPhoneを配っており、「全員が二刀流の状況になっている」(孫氏)。iPadの導入で社員1人あたりの経費(1カ月)が9万5000円削減でき、営業担当者の訪問件数が3倍に伸びるなど、自らその効果を実感したという孫氏は「経費の無駄使いを削減したいのに(一部のみに導入し)全員に配らないのは、算数のできない経営者だと心底思っている」とまで言い切った。

 ソフトバンクモバイルも、冬春モデルとして6機種のAndroid端末をラインアップしているが、孫氏は「主軸がiPhone、iPadであることは、当分変わらない」としている。

勝利の方程式「X+X=X」は第二幕へ

 孫氏は前回の決算会見で、スマートフォンとスマートパッドでトップシェアを取ることが、モバイルインターネット市場での成功につながるという勝利の方程式を紹介したが、今回、新たなフェーズにコマを進めることを明らかにした。

 それは、「モバイルインターネットとアジアのインターネットでトップをおさえれば、世界のインターネットでトップになれる」というビジョンだ。

Photo 新たに披露した「真の勝利の方程式」

 これは、ソフトバンクグループがかねてから注力している中国市場へのさらなるコミットを意味するものだ。中国のインターネット市場は「米国と日本を足した規模をはるかに超えるユーザー数になっている」(孫氏)ことから、日本以上に大事な市場だと説明。10年前のアリババを皮切りに進めてきた中国企業への出資を推進するとし、新たにオンラインテレビサービス「PPTV」を手がけるPPLiveに出資することを明らかにした。約200億円で35%の株式を取得し、サービスを世界展開するための権利も取得しているという。

Photo 中国のインターネット人口

 PPTVは、中国や海外のテレビ局120局の2万チャンネルの番組をインターネットで放映するオンラインテレビサービス。1億のアクティブユーザーを擁し、ユーザー1人あたりの平均視聴時間が2時間半と、他のサイトに比べて利用時間が圧倒的に長いという。据え置き型のテレビと違って、動画を見ながらワンクリックで商品を購入したり、商品に関する感想をリアルタイムでツイートしたりできるので「広告に依存しないEコマースにつながる」と孫氏は期待を寄せる。

Photo 2万チャンネルを視聴できるオンラインテレビサービス「PPTV」

 これまで同社が出資してきた企業は、eコマースやSNS、共同購入クーポン、ペイメントなどの主要なインターネットのビジネスモデルでトップのポジションを取っていると孫氏。ソフトバンクが出資する5つのサイトのユーザー数は12億人に達するなど、「戦略は着々と進んでいる」(孫氏)という。今後も「中国の若い創業者にヒーローになってもらい、彼らを支援するパートナーがソフトバンクという位置付け」で、志を同じくする企業に出資し、戦略的企業集団を作っていく考えだ。

Photo ソフトバンクグループが出資する中国企業
Photo ソフトバンクが出資する5つのサイトのユーザー数。重なるユーザーを除いても6〜7億人規模になるという

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