周波数オークション、業界の反応さまざま

» 2011年05月11日 16時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 懇談会に出席した平岡秀夫総務副大臣

 「すべての帯域を対象にするべき」「放送については周波数オークションによる事業者選定はなじまない」――総務省が周波数オークション導入検討のために募集したパブリックコメントでは、企業ごとの意見の違いが顕著に現れた。5月11日に総務省で行われた「周波数オークションに関する懇談会」の第2回会合で、募集結果の概要が説明された。

 周波数オークションとは、電波の帯域を事業者に割り当てる際に、オークション(競売)結果に基づき事業者を決定する方法のこと。日本では現状、比較審査方式により総務省が帯域の割当先を選定しているが、海外ではオークションを採用するケースも多い。

 総務省は2010年12月に策定した「光の道」構想に関する基本方針の中で、オークション導入の検討を決定。懇談会では年内にも議論の結果を取りまとめる方針だ。論点整理の一環として3月から4月にかけパブリックコメントを募集した結果、通信事業者、放送事業者など合計34者からの提案が集まった。提案に関して平岡秀夫総務副大臣は「立場の違いによって雰囲気が違う。複雑に入り組んでいる状況にある」とした。懇談会では、同会の事務局が提案内容を整理、要約の上で発表した。

意見分かれるオークションの導入範囲

 このうち、オークションの導入対象に関する意見では、いくつかの通信事業者が“放送と通信の融合”に配慮した導入のあり方を求めた。

 「放送目的・通信目的に限らず、生活のあらゆる分野での利用を前提に、すべての帯域においてオークション対象範囲を議論すべき」(ソフトバンクグループ)、「通信と放送の融合が進むことを前提としたオークション対象範囲のあり方について検討すべき」(UQコミュニケーションズ)、「従来の運用するサービスの種別による切り口ではなく、新たな切り口が必要」(ウィルコム)

 一方、放送業界からは「公共的役割を担う『放送』については、周波数オークションによる事業者選定はなじまない」(日本民間放送連盟)といった意見が目立った。

 「オークションにより電波利用料額が流動的になれば、デジタル化のためにすでに多大な設備投資を行っているテレビジョン放送事業者の経営への影響が大きい」(朝日放送)、「公共性や安定性(継続性)、エリアの地域性、文化の保持・発展などに果たす役割が大きい事業(例:基幹放送)の周波数は対象としない」(讀賣テレビ放送)、「そもそも公共の財産である電波の周波数割り当てに、オークションという市場競争原理を用いること自体に合理性を感じられない」(シー・ティ・ビー・エス)

 このほかにも、マイクロ無線や衛星サービス、NTT東日本とNTT西日本が山間地や離島などへのユニバーサルサービス提供のために利用する無線について、オークション対象外とする提案などが紹介された。

 懇談会の構成員からは、電波全体の包括的なオークションの是非や運用方針を早期に取りまとめるのは難しく、4G(第4世代移動通信システム)に関する議論に焦点をしぼって検討を進めるべきとの提案もなされた。事務局では、まず全般的な議論を行ったのちに、具体的な検討を進めるとした。

 パブリックコメントの結果は準備が整い次第、インターネットに掲示される(参考:パブリックコメント:結果公示案件一覧)。また、提案に関する補足や反論を受け付けるとして、総務省は再度パブリックコメントを募集する方針。

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