スマートフォンが順調に売れているドコモだが、一方で世界ではスマートフォンの普及に伴うデータトラフィックの爆発的な増加が問題視されつつある。海外では定額使い放題から従量課金のビジネスモデルへシフトする通信キャリアも出てきているが、ドコモは3Gネットワークについては「当面は今のまま」(山田氏)の料金体系とする考えだ。
同社はデータ通信のヘビーユーザーはLTEサービス「Xi」に移行すると予測しており、同サービスでは月5Gバイト以上の通信に従量課金を適用する。ただし、現在は「まだエリアがしっかりしていない」(山田氏)ため、キャンペーンで定額としている。
ユーザーの声も聞きながら、Xiの料金体系を変更する検討もしている。追加料が発生しない代わりに5Gバイト以降の通信速度を制限するプランの新設や、通信料の上限の引き上げなどが考えられている。
Xiは2011年度に100万契約の達成を目指しており、6月末までに12万1000契約を獲得した。秋にはXi対応のタブレット端末、冬にはスマートフォンを展開する計画。
このほか、データオフロードの効果が期待できる公衆Wi-Fi「Mzone」の強化についても言及があった。今後1年をめどに、現状の6800局から3万局までアクセスポイントを増やす計画という。空港など人の集まるポイントに積極的に設置していき、将来的には10万局の設置を目指す。
東日本大震災の復旧は「エリア面では4月末に完了」(山田氏)しており、本格復旧を9月末に計画する。また、新たな災害対策として今年度に205億円の設備投資を行う。
当初年度内を予定していた「大ゾーン基地局」の構築は年内に完了する見込み。「大ゾーン基地局の人口カバー率は35%程度になる。この範囲では通信の断絶はまずないと考えている」(山田氏)。重要施設などの無停電化/24時間バッテリー搭載には140億円を投じる。
さらに2012年の導入開始を目指して、震災や環境に配慮した“グリーン基地局”を開発中だ。グリーン基地局では通常の商用電力とともに、風力、太陽、バイオ系燃料電池などの発電機やリチウムイオンバッテリーを導入。「グリーン電力制御コントローラー」により、発電量や必要な電力量に応じて、基地局やバッテリーに電力を割り振る。バッテリー利用によるピーク電力の削減や、停電時の電力確保に役立つという。将来的には、基地局が電力を融通しあうスマートグリッドの構築を目指す。
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