増収増益のソフトバンク iPhone対決で「むしろ我々の評価が高まる」と孫社長

» 2011年10月27日 22時39分 公開
[ITmedia]

 「iPhoneの独占が崩れた中で、成長を持続できるのか。それがこの場所にいる大半の人の疑問だろう」

 10月27日、ソフトバンクは上半期の決算を発表した。増収増益、そして4〜9月期として3期連続の純利益の最高益更新と、業績は好調。しかし、気になるのは、KDDIのiPhone販売への参入が今後の業績に与える影響だ。同社の見解に注目が集まる中、決算会見に臨んだ孫正義社長は1枚のスライドを見せる。

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 2社のiPhoneのどちらを選ぶか――スライドに映るアンケート票にはKDDIに多くの票が集まっていた。発売前に、秋葉原の大型量販店が調査したものという。「背筋がぞっとしたのが、正直な感想。解約の嵐がくるかもしれない」と孫氏。モバイル事業進出以来の最大の危機と感じ、戦略を練ったという。そして10月14日、KDDIとともに「iPhone 4S」を発売。その結果を見て、孫氏は思いをこう語る。

photo ソフトバンク 孫正義社長

 「霧は晴れた」

 孫氏によれば、同社のiPhone 4Sの予約数は、「iPhone 4」の「数百%」あったという。KDDI参入の影響をかんがみつつ、それでも「2、30%は伸びる」と考えて予約システムの設計をしたが、実際は予想をはるかに超える予約数があったと同氏は説明。「そのためシステムダウンしてしまった。ご迷惑をおかけしたことをお詫びする」

 現在も予約分の出荷に精一杯で、新規の購入者に向けた在庫がない状態だ。KDDIへの流入は、「一部あります。ただしこれは他社もあること。覚悟していたあの量販店の星取り表、100万規模の解約はこなかった」。これまで、他社のiPhone参入が与える業績への影響は、同氏にとって「真っ黒い雨雲」のような懸念だったが、iPhone 4Sの出足を見てその悩みが解消されたと、孫氏は力説する。

 「(今後も業績を)伸ばしてみせる。これまでも不可能と言われる中で伸ばしてきた。言い訳抜きで、伸ばす」

発売で「むしろ我々の評価が高まる」

 ソフトバンクはiPhone 4Sの販売にあたり、既存のiPhoneユーザーが購入する際の割賦残債の免除や、3G版「iPad 2」の通信料がiPhoneとの同時購入で無料(月100Mバイトまで)になるキャンペーンなど、戦略的な施策を展開している。また、月々の利用料がKDDI版より安い(64Gバイトモデルで550円差)という点も魅力だ。一方で、KDDIはネットワーク品質の良さをアピールし、攻勢をかけている。

 孫氏にとって、電波の品質はソフトバンクの「唯一の弱点」という。Twitterを通じて多くのユーザーから電波改善の要望を受けた同氏は、昨年3月に「電波改善宣言」を行い、基地局を増強。傘下となったウィルコムのロケーションなども活用しつつ、5年前の8倍となる16万局にまで増やした。


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 電波改善の成果として、孫氏はまず同社調査による“自宅接続率”の結果をアピールする。1年半前は他社との接続率に開きがあったことを認める孫氏だが、9月の調査では接続率が99%以上となり、NTTドコモやKDDIとの差が小数点以下になっているとした。ユーザーの解約要因として特に大きいのが、自宅での電波のつながりにくさだと孫氏は説明し、自宅接続率の改善が解約阻止に寄与しているとの見方を示した。また、自宅以外の接続率も他社に「ほぼ追いついた」という認識だ。

 また、2社のiPhoneについて、「中身は全くの別物」とも話す。CDMA対応のKDDI版iPhoneでは、通話時にデータ通信ができないなど、ソフトバンク版にはない制約がある。また、FaceTimeやiMessageといった一部機能も利用できない。同氏はこうした違いが認知されることで、「むしろ我々の評価が高まる」と考えている。

 12万5000局を超えるWi-Fiスポットの設置や、東京メトロ全線の駅構内の無線LANエリア化(11月1日から)も進め、さらに新たに900MHz帯の割り当ても見込み、さらなる電波改善に取り組んでいく。900MHz帯は他キャリアも獲得に向け動いているが、孫氏は「不退転の決意で電波を取りにいく」考えで、すでに基地局設置に向けた業者への発注を進めている。もし許認可がおりなければ「総務省に訴訟を起こす覚悟」と、態度は穏やかではない。こうしたリスク承知の事前準備の元、もくろみどおり許認可がおりれば、2012年の夏にもサービスを開始する予定だ。

移動体通信事業単体で、KDDIの営業利益を逆転

 同社の第2四半期累計(4〜9月)の決算は、売上高が前年同期比4.8%増の1兆5356億円だった。営業利益は前年同期比18.3%増の3732億円で6期連続の最高益。純利益は、米Yahoo株や投資有価証券の売却益の計上などもあって前年比2.8倍の2172億円となり、3期連続の最高益を記録した。携帯電話契約数の順調な増加により通信料売上が増加し、増収に寄与した。

 移動体通信事業単体の業績は、売上高が8.6%増の1兆209億円、営業利益が20.7%増の2500億円。孫氏は、モバイル事業のみを比較しても、KDDIの上半期営業利益(2311億円)を追い抜いたことをアピール。さらに、数年以内に営業利益でNTTドコモを「超えてみせる」というコメントも出た。


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 また、同社が救済に乗り出したウィルコムは、これまでの純減傾向から、上半期で40万の純増へ反転し、さらに第2四半期では黒字化も達成。「裁判所には救済の条件として半分の社員をリストラする」と条件を出したが、結果として「ひとりもレイオフせずに黒字転換した」と孫氏は胸を張った。


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 端末出荷台数は、第2四半期までの累計で521万5000台となり、前年同期から34万1000台増加した。一方、端末売上は、みまもりケータイなど販売単価の低い端末の比率が増えたことで微減となった。第2四半期における利用者のARPU(月平均利用料金)は4310円となり、前年同四半期から10円増えた。このうちデータARPUは、240円増の2520円となった。

 同社の純有利子負債は7287億円となり、2011年度末に残額を1兆円以下にするという目標を半年早く達成。孫氏は、2014年度末までに残額をゼロにするという同社のコミットメントに向けて順調に推移していることを強調した。

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