高畑さん あえてデジタル化しちゃいけないものシリーズで言うと、やはり僕が残しているのは、この筆記具の書き味を試すためのノートですね。
土橋さん おお、すごい(笑)。
高畑さん ノートに書く筆記具でその筆記具の説明を書いているんです。これって筆記したそのものがすごく重要なので、インクがどんな風に紙にのっているかなどの証拠品として残すんですよ。
清水さん びっしり書いてますねー。すげー!
高畑さん いや、このくらい書かないとなんかほら、一行だけ書いてだと分からないじゃないですか。太いボールペンなんかだと、紙にインクがにじんでいる感じなどはやはり現物でないと。だからデジタル化しちゃったら意味がないんです。
土橋さん これはもう筆記具専用の辞書みたいなものですね。
舘神さん 持って帰ってオークションで売っていいですか?(笑)
土橋さん 常にこのノートに書いていて、定点観測ですね。
高畑さん そうそう。ずっと同じノートに書きためているんです。ただ他にも、やはり紙のノートに書いたものは何十冊もありますが、常に持ち歩くわけにもいかず「他のは家に帰ったらあるんだよ」って言うしかありませんね。もしデータ化しておけばいつでも紹介できるかな、とも思うのですが。このノートを切るのは嫌だし。将来、ノートをばらさなくてもいいスキャナとか出てくるといいですね。
舘神さん 一応あるにはありますよね、スタンドタイプのスキャナーで、本を解体せずにスキャニングできるんです。こういう製品を普段使いのノートのスキャンにも応用できるといいですよね。
高畑さん 一般の人が使えるレベルのものが出るといいですね。
美崎さん ちょっと夢の話になりますが、個人的にはノートに書いたものを小人が翌朝までにデジタル化していてくれるようなものが欲しいですね。
竹村さん 実はそういう出張サービスのようなものを、KYBERもやろうとしていたんですよ。例えば女の子5人くらいがやってきて、テキスト化してほしいものを段ボールに入れてその子たちに渡すと、半日くらいで全部スキャンしてKYBERに送ってテキスト化してくれるというものです。
竹村さん 後はトランクがあって、そこに手書きしたものを入れるとテキスト化したものが出てくるなど。あくまでアイデアレベルですけどね(笑)。
高畑さん チューリングテスト(※)の逆で、箱の向こう側にいるのは人であれ機械であれ、出力されるものが一緒であればどっちでもいいという考えですよね。
(※)数学者のアラン・チューリング氏が考案した人工知能テスト。ある機械に対し、人間と同じような知能があるのかどうかを調べる
参加者 | 氏名・肩書・文具とのかかわりなど |
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高畑正幸(たかばたけ・まさゆき)さん 文具メーカー勤務・文具王 「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の文房具通選手権に過去3回参加し、全て優勝した“文具王”。「未来の普通は無理して買え」をポリシーとし、既存の文具のみならず、次世代の文具やガジェットも積極的に使う。 |
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美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)さん 著述家 会社員時代から文房具が好きで、文具術や仕事術に関する書籍を複数出版し、勉強会なども主催。2011年にフリーランスとなり執筆や全国で講演活動などを行っている。 |
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土橋正(つちはし・ただし)さん 文具コンサルティング 文具の展示会「ISOT」の事務局を経て、土橋正事務所を設立。文具メーカー、文具ショップのコンサルティングをはじめ、文具ウェブマガジンの発行、数々の執筆活動やテレビ、雑誌にコメントを寄せている。 |
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竹村譲(たけむら・ゆずる)さん 富山大学非常勤講師 DOS/V生みの親の1人であり、32年間の日本IBM勤務中に約20年ThinkPadのほかIBMのパソコンに携わった。現在は大学の非常勤講師としてブランドデザインやメディアリテラシーを教えている。ツバメノートの別製「Thinking Power Notebook」の発案者。 |
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舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)さん 手帳評論家 手帳評論家として手帳の活用術などに関する書籍出版や講演活動を行っている。スマートフォンと手帳、また電子ペンといったアナログとデジタルの融合についても探求。 |
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清水敬輔(しみず・けいすけ)さん 会社員 会社員として勤務する傍ら、さまざまな朝活に参加するようになって5年。最近は、休日の朝カフェに集まりお薦めの文具を持ち寄って紹介するという「文房具朝食会」の運営にかかわっている。 |
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