『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業をつくった男』著者が見たリクルート成長の秘密リクルート創業者の肖像【後編】(4/4 ページ)

» 2021年08月13日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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全員が60歳まで勤める日本の会社は「不幸」

 日本経済新聞社の記者だった大西氏は、51歳で退職し、ジャーナリストとして活躍している。会社員としての経験があるからこそ、江副氏が作った仕組みの先見性を感じている。

 「会社組織はどうしてもピラミッド型になります。新入社員として入社しても、歳をとっていくにつれて同期がピラミッドを上がれずに溢(あふ)れていき、役員になるのは一握り。社長は一人だけです。

 日本では全員を60歳まで持ち上げるのが良い会社とされていますが、本当にそうでしょうか。本来はポジションがないはずの人がずっと社内にいるのは、悪夢ですよね。本人にとっても組織にとっても息苦しく、不幸です。若いうちにしっかり鍛えていれば、役員を目指さなくても、外に出て行って通用します。

 会社で働いていて、インプットやスキルセットを多く得られるのは、40歳くらいまでです。それを過ぎると、むしり取られるばかりですよね。会社でしかできない経験を積んで、会社の金で勉強して、40歳くらいで辞めるのが一番賢いのではないでしょうか」

 『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業をつくった男』(は、江副氏の華々しい成功と大いなる失敗を描くと同時に、多くの起業家を生み出すリクルートの強さに迫ることで、コロナ禍を生き抜くヒントを提示している。

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