全ての社員が平等に競うことに加えて、多くの社員が40歳を前に転職や起業をすることで、社外に出ていくこともリクルートの特徴だ。
大西氏は本書で、江副氏が若い社員にビジネスのアイデアを聞いては、「この仕事は君にやってもらうよ」と事業を任せていく様子を描写している。新規事業を任せることは、起業家精神を養うことにもつながる。しかも、その人材を抱え込むのではなく、独自の退職金制度によって起業や独立を後押しする。大西氏は、先駆的だったリクルートの仕組みは、本人にとっても、組織にとっても健全だと評価する。
「米ゼネラル・エレクトリック(GE)では、社内のトップ2割がエリート、7割が普通に分類されます。残りの1割の人たちはドロップアウトに分類され、必ず解雇されます。しかし、ただ切り捨てるわけではありません。
GEを世界的な企業に育てたジャック・ウェルチは自著で、ドロップアウトの人にも、普通の会社であれば野球でいうところの4番を任せられる力を付けていると語っています。GEの中ではドロップアウトでも、社外では活躍できるように人材を育てているのです。
リクルートもGEと同じです。リクルートの元社員は『元リク』と呼ばれていて、人材市場では採用して間違いないと高く評価されています。『元リク』の社員は誰もが仕事ができるからです。解雇せず生殺しにして飼うよりも、いつ辞めても大丈夫な状態に教育することは、会社として一番の優しさではないでしょうか。だからリクルートは、優秀な人材を多く輩出できるのでしょう」
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