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コロナ禍の歌舞伎町に息づく「深夜薬局」 休むことなく営業を続けた理由とは?「ニュクス薬局」のビジネスモデル【後編】(3/4 ページ)

» 2021年11月06日 12時02分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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歌舞伎町で薬局を続けるために仲間を増やしたい

 全国的に話題になった「ニュクス薬局」には、調剤薬局のチェーンを展開する企業からM&Aの話も来る。しかし、中沢氏はこれまで全て断っている。その理由は、チェーンでは歌舞伎町のお客さんのためにならないと考えているからだ。

 「M&Aで事業を譲渡した場合、自分はいいかもしれませんが、お客さんにとってはこの薬局にくる価値がなくなってしまうのではないかと思いました。チェーン店は人事異動が激しいので、1年や2年で薬剤師がころころ変わります。そうなると、常連のお客さんが安心して通えなくなってしまうのではないでしょうか」

 その一方で、歌舞伎町で深夜に営業を続けていくためには、新たな仲間も必要だと考えている。ニュクス薬局のTwitterで、中沢氏は時々、こんな呼びかけをしている。

 『ニュクス薬局の名を元に独立してみませんか? 特に夜にこだわる必要はありません。夜のしばりは歌舞伎町だけで。成果によって、その気があるのであれば、弊社の役員への道も。』(2021年08月17日)

 『ニュクス薬局、フランチャイズオーナーをゆるっと、こちらで募集しています。既に手を挙げていただいている方もおりますが、しばらくしたら、HPその他でも募集をかけます。ご興味ある方はお気軽に。』(2021年08月25日)

 Twitterでの呼びかけの真意を聞くと、「自分と同じように、ひとつの薬局でずっと働いてくれる人を探したい」と説明してくれた。

 「もともと会社を大きくしようという考えはないのですが、跡継ぎのことは考えなければいけないと思っています。新しい店舗をオープンして、一緒に働く仲間を作っていく。世代交代をしていくには、その方法が一番スマートかなと思っています。

 私と全く関係ない会社に売ったのでは、歌舞伎町のお客さんに対して無責任という気がします。仲間入りしてくれた人に、自分がやりたいと思う店舗を任せるイメージです。将来的には社長の座を譲って、自分は会長として残る形でもいいと思っています」

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