――二酸化炭素を多く排出する鉄鋼メーカーは、脱炭素の取り組みが重要課題となりますが、どのように取り組まれますか。24年末までに二酸化炭素排出量を13年度比で18%削減し、50年にカーボンニュートラルの実現を目指しています。
24年度末までに年間の二酸化炭素排出量を13年度比で18%削減を想定し、そのためのコストも組み込んで、ある程度達成できると思います。問題は50年のカーボンニュートラルを目指して30年にどの程度削減できるかです。
30年までには革新的技術の実用化は難しいので、トランジション技術の積み重ねで削減していくしかありません。7次中期経営計画の終わるころまでには30年の削減目標を出しますが、50年までに二酸化炭素の排出を大幅に減らせる革新的な製鉄技術が実用化できるかは不透明です。
世界の鉄鋼メーカーは新しい製鉄技術を開発中で、欧州などではLNG(液化天然ガス)や再生エネルギーを使った研究が進められていますが、まだ実用化レベルには達していません。
――具体的な方策として、「カーボンリサイクル高炉」を軸とした超新技術に挑戦するとありますが、この技術が稼働するのはいつごろになりそうですか。その先の水素製鉄の将来性はどうみていますか。
二酸化炭素をメタンに変換し、高炉で再利用する「カーボンリサイクル高炉」は国のグリーンイノベーション基金を使って27年までに150立法メートルの小型高炉で実験し、30年過ぎくらいまでに実機できれば順調だと思っています。その先の水素製鉄はまだ明確なものはなく、これからの技術開発にかかっています。
――水素など新しいエネルギー源が注目されていますが、コスト的に競争力があるのかどうかが問題になります。
鉄鋼メーカーが、水素を製造するメーカーになるのは無理があります。水素で発電をするとなると、その発電コストが課題になります。日本の産業用電力料金は先進国の倍以上高くなっているため、電力多消費産業は海外に出てしまっています。仮に水素で発電した電力料金がこれ以上高くなると、日本での鉄鋼生産は成り立たなくなる恐れがあります。
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