マーケティング・シンカ論

フィリップ・コトラーが認めた鬼才 元ネスレ日本社長の高岡浩三に聞く「サラリーマンが内部からイノベーションを起こす鉄則」幾多のビジネスモデルを構築(3/3 ページ)

» 2022年01月27日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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マーケティングと経営はイコール

 高岡氏が起こしてきたイノベーションによって、ネスレ日本は食品メーカーとしては異例の20%を超える高い利益率を実現し、グループ内でもトップクラスの成長率を誇った。この成長を背景に、高岡氏は社員の働き方も変えた。コロナ禍になる以前から、社員にリモートワークができる権利を付与していた。これは社員を対象にしたマーケティングの結果だ。

 「コロナのかなり前からリモートワークを導入したのは、新しい現実を見ていたからです。満員電車での通勤や子育ては大変ですし、高齢の社員だと老老介護で会社を辞めるケースも考えられます。一方リモートワークを可能にすれば、親の面倒を見ながらでも自宅で仕事ができますよね。それでSkypeなどで仕事ができるように、リモートワークのための投資をしました」

 リモートワークの環境を整備したことで出張が必要なくなるなど、旅費交通費が削減されて利益率が上がった。その利益を還元しようと、社員の給料のベースアップと、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を同時に実施したという。

 「リモートワークでは残業がゼロになるので、給料のベースを上げることにしました。そもそもホワイトカラーの給料を時間給で考えているのは日本だけです。給料を上げても、その他のコストが減るので会社としては問題ありません。

 僕はマーケティングと経営は、ほぼイコールだと思っています。経営学がない時代には人を管理することが経営だと思われていて、マネジメントが経営を表す言葉になっていますが、今では違和感がありますよね。顧客の問題を見つけて付加価値を先につくることは経営と同じです。だから、マーケティングを経営という言葉に置き換えてもいいのではないでしょうか」

 高岡氏はネスレ日本在籍時から退社後の現在も、さまざまな業種の企業や個人にマーケティングの理論を伝える活動をしている。そのうちの1つが、2021年6月に就任した、宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズのマーケティングアドバイザーだ。次回は、高岡氏が宇宙ビジネスに参画した理由について聞く。(一部、敬称略)

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