高岡氏が起こしてきたイノベーションによって、ネスレ日本は食品メーカーとしては異例の20%を超える高い利益率を実現し、グループ内でもトップクラスの成長率を誇った。この成長を背景に、高岡氏は社員の働き方も変えた。コロナ禍になる以前から、社員にリモートワークができる権利を付与していた。これは社員を対象にしたマーケティングの結果だ。
「コロナのかなり前からリモートワークを導入したのは、新しい現実を見ていたからです。満員電車での通勤や子育ては大変ですし、高齢の社員だと老老介護で会社を辞めるケースも考えられます。一方リモートワークを可能にすれば、親の面倒を見ながらでも自宅で仕事ができますよね。それでSkypeなどで仕事ができるように、リモートワークのための投資をしました」
リモートワークの環境を整備したことで出張が必要なくなるなど、旅費交通費が削減されて利益率が上がった。その利益を還元しようと、社員の給料のベースアップと、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を同時に実施したという。
「リモートワークでは残業がゼロになるので、給料のベースを上げることにしました。そもそもホワイトカラーの給料を時間給で考えているのは日本だけです。給料を上げても、その他のコストが減るので会社としては問題ありません。
僕はマーケティングと経営は、ほぼイコールだと思っています。経営学がない時代には人を管理することが経営だと思われていて、マネジメントが経営を表す言葉になっていますが、今では違和感がありますよね。顧客の問題を見つけて付加価値を先につくることは経営と同じです。だから、マーケティングを経営という言葉に置き換えてもいいのではないでしょうか」
高岡氏はネスレ日本在籍時から退社後の現在も、さまざまな業種の企業や個人にマーケティングの理論を伝える活動をしている。そのうちの1つが、2021年6月に就任した、宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズのマーケティングアドバイザーだ。次回は、高岡氏が宇宙ビジネスに参画した理由について聞く。(一部、敬称略)
ホリエモンが明かす「民間ロケットとLinuxの共通点」 宇宙開発で今、切実に足りていない人材とは
ホリエモンが北海道で仕掛ける「宇宙ビジネス」の展望――くだらない用途に使われるようになれば“市場”は爆発する
堀江貴文に聞く インターステラテクノロジズと民間宇宙ビジネスの現在地
堀江貴文氏「正直、機体の動作はパーフェクト」 インターステラテクノロジズ「ねじのロケット」が同社2度目となる宇宙空間の到達に成功
ホリエモンが斬る「ビットコインで大損した人たちを笑えない事情」
ホリエモンが「次の基幹産業は宇宙ビジネスだ」と断言する理由
堀江貴文氏「積み重ねが結果に結びついた」 インターステラテクノロジズ「TENGAロケット」が宇宙空間に到達
インターステラテクノロジズのロケット「えんとつ町のプペル MOMO5号機」、打ち上げ実施も宇宙空間に到達ならず
ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由
インターステラ稲川社長が語る「SpaceXの偉業を支えた“天才技術者”」 民間による有人宇宙飛行成功の原点とは?
宇宙開発は製造業からインフラ・情報産業へ――インターステラテクノロジズとアクセルスペースが描く宇宙ビジネスの展望
インターステラが今夏に「ねじのロケット」を打ち上げ 花キューピットのバラを宇宙空間へ
ホリエモン出資のロケット「MOMO5号機」が5月2日に「打ち上げリベンジ」 新型コロナの影響で無観客打ち上げ
新型コロナで苦渋の決断――ホリエモン出資の宇宙ベンチャー・インターステラ稲川社長が“打ち上げ延期決定前”に明かしていた「人材育成と成長戦略」
ホリエモンとの出会いが人生を変えた――インターステラ稲川社長が語る「宇宙ビジネスの未来」
ホリエモン出資のロケットを開発、インターステラ稲川社長が目指す夢「早期に小型衛星ビジネスに参入」
ホリエモンが北海道“ロケットの町”で次の一手 「堀江流レストラン」開業に奮闘
僕の足を引っ張らない社会を作る――ホリエモンが演劇をアップデートする理由
超小型衛星4機を打ち上げ アクセルスペース中村友哉CEOが語る「民間宇宙ビジネスの未来」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング