出版業界ニュースフラッシュ 2012年11月第1週

出版業界で起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。先週は神保町ブックフェスティバルのにぎわいなどが話題になりました。そのほかのニュースダイジェストと合わせてどうぞ。

» 2012年11月05日 13時00分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

岩波書店、創業百年で山口昭男社長がステートメント発表

 11月1日、東京・一ツ橋の如水会館で、創業100年の企画説明会を行い、「問う。はじまる。岩波書店100th」をスローガンに掲げた山口社長が、ステートメントを読み上げて宣誓した。

 岡本厚取締役は「100年は祝い事ではない。政治、経済、社会に向き合い、問うていくもの」とし、創業者・岩波茂雄の志を継承していく姿勢を話した。取次会社約55人が出席した。

 主要企画は「日本歴史」(全22巻、来年11月刊)、「日本の思想」(全8巻、同4月刊)、「新版 アリストテレス全集」(全20巻+別巻、同10月刊)、「岩波 世界人名大辞典」(同12月刊)「創業百年記念文芸」(同1月刊)など。ステートメントはこちら

Amazon.co.jp、ファミリーマート全店で「店頭受取り」サービス開始

 10月31日、同サイトで注文した商品(一部商品を除く)を全国のファミリーマート約9100店で受取れるサービスを開始した。同サイト上より受取り店舗の指定もできる。ファミリーマート店舗では、Amazonギフト券(5000円、1万円)の販売を行うほか、マルチメディア端末「Famiポート」を通じて支払いもできる。

日販、書店の集客力アップに施策提案

 10月30日、東京・港区の品川プリンスホテルで「パートナーズ カンファレンス2012」を行い、契約に基づく流通改革の経過と構想を発表した。

 古屋文明社長は、今年4月から9月までの既存店売り上げが前年比6.0%減で、直近8年間で最悪であると報告。書店では年間、1回転もしない「不稼働在庫」が約4割あるとし、来店客数、買上げ率、来店頻度を高めながら、書店の有効な在庫政策を推進する考えを伝えた。

 また、同社の係長2氏が流通改革とCRM戦略について具体的な取り組みをプレゼンしたあと、安西浩和専務は書籍返品率25%と書店マージンアップを目的にした施策「パートナーズ契約」「PPI」「ハイプロフィット企画」「PSP」「時限再販」「PB商品」の枠組みを増やしていくと話した。「テスト段階ではない。後戻りできない本番です」とし、改革へ不退転の決意を表した。

新潮社、講座事業を立ち上げ

 来年1月から一般の人々を対象に「新潮講座」を開始する。「読む、書く、見る、知る」をキーワードにした教育講座。講師は同社の現役編集者をはじめ、第一線で活躍する専門家で、入会金はとらないのが特長。

 主催・企画は新潮社、申し込み、受講料の入金手続き、教室管理は朝日カルチャーセンターに委託する。場所は東京・西新宿の朝日カルチャーセンター新宿教室。

 1月19日には開講記念として、午後2時から東京・西新宿の新宿住友ビル47階に作家・石田衣良氏を迎え、講座「上手な年の重ねかた」を行う。定員130人。

神保町ブックフェスティバル、今年も盛況

 第22回「神保町ブックフェスティバル」が10月27、28日の両日、東京・神保町のすずらん通り・さくら通りを中心に開かれた。2日目は雨のため、予定終了時刻の午後6時を繰り上げて同4時半に終了した。

 196ブースが出展。このうち出版社のブースは128となった。自由価格本や汚損本が、定価の半額や100円均一で販売、多くの来場者がバーゲン本を買い求めた。

 毎年、国内外のSF作家を中心とした直筆サイン本を販売する早川書房などで、長い列ができた。

初日は天候にめぐまれ、大勢の来場者で賑わった(すずらん通り)

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