インタビュー
» 2014年01月07日 11時45分 公開

ついに新シリーズが単行本化! 京極夏彦さんインタビュー (2/2)

[新刊JP]
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京極ファン必読! あの2つの人気小説シリーズが……

―― 「未完」の章では、京極さんの小説のファンの皆さんが喜ぶ展開が待っていますね。

京極 喜ぶというか、怒るというか。

―― 少しインターネットで読者の感想を見たのですが、怒っている声は見られませんでしたよ(笑)。

京極 僕がちらっと耳にしたのは、“あそこ”に連れていった猫が、ほかのシリーズに出てくる猫の先祖なんじゃないかという推理ですね。でも、それはないです(笑)。あれはもらってきたと書いてありますし。

 もろもろの設定は最初からから決めていたもので、この作品のために創った設定ではありません。まさかこの作品で言及することになるとは思わなかったですが。

―― なるほど。でも、1つ結びつくとほかにも何かあるんじゃないかと探してしまいますね。

京極 世界観の共有は僕のほかの作品間にもあって、特に『百鬼夜行』シリーズと『巷説百物語』シリーズなんかには顕著なんですが、ただこの2作品の時代設定は100年以上空いているので、登場人物が直接重なることはありません。『書楼弔堂』の時代はちょうどこの2作品の中間になります。それなら、誰か出さない方がかえって不自然ではないかと。小説の中では虚実の差はありません。虚構の人物も作中では実在していますし、実在の人物も作中では虚構です。

―― このベストセラーズ・インタビューでは毎回同じ質問をしていて、人生に影響を与えた3冊の本を選んでいただいています。京極さんはいかがですか?

京極 これは……選べないですね! 影響を受けた本というと、すべての本に影響を受けていますから。甲乙つけられないです。どちらが面白いですか? と聞かれても、面白い部分が違うだけで、どの本も面白いと思いますし。人によって好き嫌いはあるのかもしれないけれど、僕はまったく好き嫌いがないですし。面白さは数値化できませんから、その手のランキングって僕はまったく受け付けないんですね。人気投票とか売り上げ順位とか、そういうことなら分かりますけど、ならその順位は『読書の楽しみ』にとってあまり意味のあるものではないです。

 本は楽しんで読むものです。本は全部面白いので、読んでください。面白さを感じられなくてもあきらめないでください。いつか必ず当たります。ライトノベルでも、マンガでも、字を読むのがどうしても嫌ならば、オーディオブックでもいい。本に貴賎はありません。読んで面白がるというのが、本に対する本当の接し方だと思います。

なんでもいいから、自分以外の人が発信した何かを受け取って、それを楽しむ力がつけば人生も豊かになります。『書楼弔堂』の主人もそんなことを言ってますし。

―― この『書楼弔堂』はこの「破暁(はぎょう)」で終わりではないんですよね?

京極 そうなんですね。連載が進んで書籍化が見えてきた段階で、版元に『これどうするの?』と聞いたんですが、『続けてくれ』といわれてしまって。続けるのなら弔堂の主人を殺すこともできないかなと(笑)。

―― え、主人が死んでしまうシナリオがあったんですか!

京極 いや、面白くないから終わりにしましょうといわれたら、もう続きはないわけですから、弔堂を火事にしてしまうとか、なんでもできたんですけど。続けるならプランを立てないといけないですし。僕は1冊ずつ独立して作るたちで、“1巻、2巻”という書き方ができないので、今回は“破暁”という タイトルでまとめました。これは、夜から急に朝になる瞬間のことですね。一瞬にして明るくなるあのタイミングです。朝が来たので次は昼です。そうなると夕方とか夜とかもないと収まりが悪いんですが、いずれ再開すると思います。ただ“破暁”はもうまとまってしまったので、高遠はもう出てきません。次は女性の視点人物を予定しています。

―― それは気になっていました。「未完」の章の終わり方から、どうつないでいくのだろう、と。

京極 まあ『誰も知らない。』という終わり方なのに、続編に高遠がひょっこり出てきたら、お前知ってたんじゃん! となりますからね。

―― 高遠は何をしているんでしょうね。

京極 さあ。何をしているんでしょうね。それは、誰も知らない(笑)

取材後記

 このインタビューは11月29日、京極さんが所属する大沢オフィスの朗読会イベント「リーディングカンパニー」のリハーサルの際に、楽屋にお邪魔して行わせていただきました。翌日に大きなイベントを控えているという大変お忙しい中も、新シリーズ『書楼弔堂』について、出版業界のことについて、「本を読む」ということについて、いろいろなことを語っていただきました。

 インタビューのさ中も新しい発見の連続だったのですが、この『書楼弔堂』、さらにいろいろな仕掛けがありそうです。けれども、本を読むということは同じ。まずはページをめくって、その物語の世界にどっぷり浸かってみましょう。まずは細かいことを考えずに、本を楽しむこと、それがわたしたち読者に与えられた最大の特権なのですから。

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