携帯端末向けマルチメディア放送「モバキャス」の放送局「NOTTV」を、mmbiが4月1日に開局する。これに合わせてモバキャス対応機種も登場。どんな番組がラインアップされ、どんな操作法で視聴できるのか。発表会で聞いた情報をまとめた。
NOTTVは、月額420円でリアルタイム型放送と蓄積型放送を楽しめる。リアルタイム型放送は月額料金だけで視聴できるものが多いが、より専門的な番組やデジタルコンテンツは追加料金が必要な場合もある。初回申し込みから30日間はNOTTVを無料で視聴できるが、ユーザーの申し出がないと、無料期間終了後は有料に切り替わるので注意したい。また、月額料金は毎月1日から末日までの1カ月分の料金であり、月の途中で契約をしても日割り計算にはならない。
モバキャスの利用エリアは、当初は東名阪地域を中心に展開し、2012年度末には世帯カバー率約73%、2014年度末には世帯カバー率約91%を目指す。2011年度以降は、よりきめ細やかにエリア整備していく。
NOTTVのリアルタイム型放送は、1〜3のチャンネルで編成されている。1、2チャンネルではスポーツ、音楽、バラエティ、ドラマ、アニメ、映画などのジャンルの独自番組や、BS・CS向け番組を放送する。3チャンネルはニュース専門で、4月から10月は「TBSニュースバード」、11月から(2013年)3月までは「日テレNEWS24」が24時間放送される。1、2チャンネルの番組はJ1リーグ戦を全試合放送する「2012 Jリーグ J1・J2」、毎週水曜日と木曜日にプロ野球中継を放送する「NOTTVプロ野球2012」、K-POPアーティストが人気曲を披露する「ミュージックバンク」、バラエティでは月〜金曜日まで毎日7時間、ファッション、コスメ、グルメ、イベント、セールなどの情報を生放送をする「notty★LIVE 7時間!」、スマートフォンアプリを解説する「スマホのトリセツ」などが用意される。詳細はこちらの番組表(外部リンク※PDF)を参照。
あらかじめ登録した番組が自動で端末に保存される蓄積型コンテンツは、ミュージッククリップを流す「音CLIP」、TBSと日テレの前日のニュースをまとめた「おまとめニュース」や、各種デジタルコンテンツが提供される。デジタルコンテンツは、雑誌DIME(電子版)や東京ウォーカー(電子版)(いずれも有料)がまず配信され、今後も増える予定。リアルタイム放送とあわせ、当初は50超の番組やコンテンツがそろう。
NOTTV(モバキャス)の対応機種として、シャープ製の「AQUOS PHONE SH-06D」とNEC製の「MEDIAS TAB N-06D」が3月から順次発売され、2012年度上期にはさらに5機種が追加される予定。このほか、mmbi 代表取締役社長の二木氏によると、「Wi-Fiルーター経由で放送波を流すなど、スマートフォンやタブレット以外でも実現可能で利用しやすい提供方法を検討している」とのこと。mmbiのWebサイト(外部リンク)にもこの構想は説明されている。モバキャス非対応の機種でも視聴可能になる、モバキャスチューナー内蔵の無線LANルーターなどが今後登場するかもしれない。
NOTTVのリアルタイム型放送で視聴できる映像の解像度は720×480ピクセルのSD(Standard Definition)画質。320×240または320×180ピクセルのワンセグと比べると解像度は約5倍高い。フレームレートは30/秒で、15/秒のワンセグより2倍高い。この5と2を掛けて、mmbiは「ワンセグより約10倍の画質」とうたっている。なお、蓄積型コンテンツの解像度は「配信側が自由に決められる」(説明員)ので、例えばより高画質なフルHDサイズの映像が配信されることもあり得るという。
NOTTVの番組を視聴するには、専用の「NOTTV」(mmbi製)アプリを使う必要がある。NOTTV起動後に表示されるホーム画面中央の「すべて」をタップすると全番組がジャンルごとに表示され、「すぐ見る」をタップすると、現在放送中のリアルタイム視聴の番組と、受信済みの蓄積型コンテンツが表示される。画面を左右にフリックすると1、2、3チャンネルが切り替わる。SH-06D(スマートフォン)の場合、本体を縦向きにすると上半分に映像、下半分に番組に関連するテキストや画像などの情報が現れる。ワンセグ視聴中にデータ放送が表示されるイメージに近い。端末を横向きに傾けると全画面表示に切り替わり、画面下部の情報は表示されなくなる。
番組やコンテンツ表示中に、画面下部にフキダシアイコンと「i」アイコンが表示される。フキダシをタップするとTwitterやFacebookにつぶやきができ、iアイコンをタップするとさらに詳しい情報が分かる。
N-06D向けアプリにはタブレット用のUIが採用されており、本体を横向きにすると、左半分に番組やコンテンツ一覧、右半分に番組を表示するといった2ペイン表示もできる(番組の全画面表示ももちろん可能)。
なお、会場で操作できたのはNOTTVの体験アプリのみで、実際の放送波を受信した端末を試すことはできなかった。アプリのUIについても実際のものとは変更になる場合がある。
モバキャスは、東京スカイツリーなどから発射される放送波を利用して番組やコンテンツを受信するので、パケット通信は不要。通信事業者のネットワークに負荷が掛からないのはもちろん、災害時などにネットワークが輻輳した際にも影響を受けずに情報を取得できる。番組と一緒に表示される(データ放送のような)情報も放送波で受信する。ただし、説明員によると、蓄積型コンテンツの受信時に電波状況が不安定な場合に、それを補完するためにパケット通信をする場合もあるという。また、TwitterやFacebook連携を利用する際にはパケット通信が発生する。
先述のとおり、モバキャスは“ワンセグの10倍”高画質でデータ容量も大きいため、バッテリーへの負荷も必然的にワンセグよりも大きくなる。説明員に確認したところ、モバキャスの連続視聴時間(暫定値)はSH-06Dが約190分、N-06Dが約320分だという。バッテリー容量はSH-06Dが1520mAh、N-06Dが3610mAh。SH-06Dのバッテリー容量はSH-01Dと同じで、モバキャス対応機ということを考えると、もう少し大容量のバッテリーを積んでほしかった。モバキャス以外の機能を使えばさらにバッテリーが減りやすくなることを考えると、充電なしでの長時間視聴は厳しそう。空き時間に少し観る、自宅など充電環境のある場所で(またはモバイルバッテリーを使って)充電しながら観るのが望ましいだろう。
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