HSPA+とLTEは並行して導入される――Ericsson、モバイルブロードバンドの動向を予測Mobile World Congress 2009(1/2 ページ)

» 2009年02月26日 17時20分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 底が見えない世界的な不況は、これまで急成長を遂げてきたモバイル業界にも影を落とし始めた。2008年後半から、複数の企業が厳しい業績報告書とともに、リストラを発表している。通信機器メーカー最大手のスウェーデンのEricssonも例外ではない。

 そんな逆風の中でも、Ericssonはモバイルブロードバンドのさらなる成長を予測する。同社CEOのカール-ヘンリック・スヴァンベリ氏は2月16日、スペイン・バルセロナで開催されたモバイル業界の展示会「Mobile World Congress 2009」のプレス発表会で「モバイル技術は経済成長を支える」と述べ、モバイルブロードバンド時代の到来を強調した。

photo EricssonのCEO カール-ヘンリック・スヴァンベリ氏

成長維持の中でのリストラ

 Ericssonは1月、2008年通年の業績報告として売上高11%増を報告した。スヴァンベリ氏は「2009年の見通しは今のところ変更はない」としながらも、「(経済環境が)通信投資にどの程度の影響を与えるのかは予測が難しくなった」と慎重に言葉を選ぶ。それでも、「前回のテレコムバブル崩壊に比べると、オペレーターの財務状況はよく、ネットワークも最適化されている」と続ける。

 Ericssonは第4四半期の業績発表時、従業員5000人を削減する計画を発表した。また、2008年2月に発表した1年半で100億スウェーデンクローナ(SEK、約1089億円)のコスト削減計画については、2008年だけで67億SEK(約729億円)を前倒しで完了させたと報告した。

 これらのリストラ計画について、スヴァンベリ氏は「市場での地位を維持するため」と説明する。その背景には、ネットワークのオールIP化への移行がある。IPで統一されることで、ハードウェアやソフトウェアで同じ基盤が使えるようになり、簡素化できるからだ。

モバイルブロードバンドは2010年に固定を上回る

 業界の方向性についてスヴァンベリ氏は (1)ユーザーの拡大 (2)モバイルインターネット (3)IPコンバージェンス の3点を挙げた。

 モバイルの拡大は、言うまでもなく新興国を中心とした市場の拡大だ。現在、全世界の60%にあたる40億人が携帯電話を利用しており、毎月4000万人のペースで増えているという。新興国だけではなく、成熟市場でも音声通話は引き続き重要な機能だ。高音質化などの改善を続けているという。

 モバイルインターネットは2008年に本格的に立ち上がり、モバイルにブロードバンドの波が押し寄せているとする。Ericssonでは、HSPAなどのモバイルブロードバンド加入者は、2010年に固定ブロードバンドの加入者数を上回ると予想している。Ericssonはモバイルネットワークで45%以上のシェアを誇り、好位置につけているという。

 ネットワークをIPベースに移行するIPコンバージェンスにより、オペレーターは大幅なコスト削減を実現できる。無線、固定、データ通信、TVが、IPとIMS(IP Multimedia Subsystem)により同じ基盤を共有するためだ。Ericssonはこれを“フルサービスブロードバンド”と称している。ただし、「オペレーターがこのアーキテクチャに移行するには数年を要する」とスヴァンベリ氏は予測する。

 Ericssonは会期中、オーストラリアのTelestraのHSPAサービス「Next G」の進化系、「Telstra Turbo 21」を発表した。Telstra Turbo 21の下り最大通信速度は21Mbpsで、Telestraのソル・トルヒーヨCEOは「世界最速」と胸を張る。2010年にはマルチキャストを導入して42Mbpsを目指すという。

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