ケータイメールとメール検索、強化された「手帳」性──ライフログ端末としても進化iPhone OS 3.0がやってきた(2)(2/2 ページ)

» 2009年06月24日 13時30分 公開
[松村太郎,ITmedia]
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 iPhone OS 3.0を入手して数日が過ぎ、日に日にその魅力にはまっていくのを感じる。アップデートした瞬間に文字入力インタフェースに惚れ込み、その後はメールや検索など、仕事で使えるiPhoneの手帳性の高さに助けられた。そして週末は、iPhone 3.0のライフログ性の高さをじんわりと感じる休日となった。

ダブルクリック機能呼び出しで、カメラ一発起動

Photo ホームボタンのダブルクリックで呼び出せる機能は、「ホーム」「検索」「電話のよく使う項目」「カメラ」「iPod」に増えた

 iPhoneのアプリの位置は、ネイティブアプリ、追加したアプリも含めて配置を自由に動かすことができ、よく使うアプリはDockの部分に登録しておくと便利だ。ただ、とっさに写真を撮りたいと思ったときに、カメラアプリをすぐ起動できるだろうか。

 iPhoneに限らず、タッチパネルを採用したケータイは、キーがあるケータイに比べて、キーの位置や半押しなどのフィジカルな操作に慣れることが難しい。端末側面にシャッターキーがあるケータイなら、それを押し込んだり長押ししたりすればすぐにカメラ起動ができて、いいシーンに出会ったとき、カメラ機能の起動時間程度のタイムラグで残すことができる。

 iPhone OS 3.0では、ホームボタンのダブルクリックで起動できる機能が増え、「よく使う連絡先」や「iPod」以外も選べるようになった。追加されたのは「ホーム」「検索」「カメラ」。これらの機能から1つ選んで割り当てられるのだ。個人的には、どんなアプリを使っていても、ホームボタンを2度素早く押せばカメラが起動して写真が撮れるようになるので、真っ先にカメラを登録した。

 ちょっとしたことなのだが、散歩しながら写真を撮りたいシーンに出くわしたとき、ポケットの中から取り出しながらダブルクリックしておいて構えたらすぐにシャッターが切れる、という流れがなかなか心地良い連携だ。

 ちなみに、ダブルクリックの使い勝手が非常によいので、ネイティブアプリ以外にも起動アプリが選べるようになるといいのに、と思ってしまった。例えば、普段からトイカメラ系のカメラアプリを使っている人なら、普通のカメラではなくトイカメラアプリが起動できた方がスナップにはいいだろうし、よく使うアプリが簡単に呼び出せるのも便利そうだ。

YouTubeアカウント対応で、お気に入り動画を持ち運べる

 iPhone 3Gでは動画の撮影ができず、YouTubeのアップロード機能も有効にはならないが、新たにYouTubeアカウントのログイン機能が搭載された。日頃からYouTubeを楽しんでいるユーザーにとっては、ちょっとしたことだが使い勝手が激変するアップデートである。

 YouTubeは動画をアップロードしたり、面白い動画を発見したり、ユーザーがそれぞれの使い方をしている。iPhoneのこれまでのYouTubeアプリでは、人気や注目といったYouTube全体の話題性の高い動画を見つけたり、検索して自分の好きな動画をiPhone内の「お気に入り」としてストックする使い方が主だった。

 それだけでも、出先で「面白い動画があるんだよね」と友人と一緒にのぞき込んで見られる端末として、iPhoneのYouTubeビュワーは十分楽しめた。加えて今回のアップデートでは、アカウント情報を参照できるようになったため、家のPCで見つけたお気に入りの動画を出先で友人に見せる、ということができるようになった。3Gネットワーク経由でYouTubeを視聴する際の画質はともかくとして、自分の作品をYouTubeにアップロードしておいて、iPhoneで見せることもできる。

 面白い動画や自作の動画をYouTubeで管理して、いつでも簡単に見られる、見せられる環境は、動画を介したコミュニケーションの姿を変えていくかもしれない。

 かつて、小学校では「昨日のテレビ、見た?」という話題がひとしきりあった(今もあるのかもしれないけれど)。見てない、と答えた瞬間に、親切な友人は面白さを真似をしながら教えてくれるが、たいていの場合は見ている人同士しで盛り上がって終わり。当時はビデオ録画も手軽にはできなかったので、その話題にキャッチアップすることはできなかった。

 しかし現在では、「昨日のテレビ、見た?」ではなく、「面白い動画があったんだよ、教えてあげる」に変わってきている。あるいはiPhoneやケータイがあれば、「面白い動画、見せてあげる」に変わる。iPhone OS 3.0のYouTubeアプリは、YouTube上の、あるいは自分で作った動画を見せられる環境として、非常にいい仕上がりだと感じた。

 ちなみに、iPhoneから初めてYouTubeにログインすると、iPhoneにたまっているよく使う動画(お気に入り)をYouTubeのアカウントに結合するかと聞かれる。結合すれば、iPhone上で貯めたお気に入りが自分のYouTubeアカウントにも反映される。

PhotoPhotoPhoto YouTubeアプリは既存のアカウントでログインすることが可能になった。マイ動画が表示されるのはもちろん、登録済みの「よく使う項目」はアカウントにひもづけられる

マイク性能の高さに驚かされるボイスメモ

Photo ボイスメモを起動すると、コンデンサーマイクとVUメーターが表示される

 iPhone OS 3.0で追加されたアプリはボイスメモ1つだ。起動するとラジオやレコーディングスタジオにありそうなコンデンサーマイクの絵が表示され、下にアナログのVUメーターが表示される。電気までついちゃっていて、完全にデジタルツールなのにアナログな演出がにくいところだ。

 使い方は単純で、左下の録音ボタンを押すとすぐに録音が始まる。iPhoneのマイクは端末の下側、Dockコネクターの右にある(左はスピーカー)。人の声を録音するとき、マイクが人に向くように構えると、その瞬間に画面の天地が逆転して、人にマイクを向けているような画面表示になるからついついにんまりする。

 録音したファイルはMacやPCと接続した際に、iTunesのボイスメモプレイリストに転送される。ファイルの拡張子はM4A。Apple Lossless形式、モノラル、44.1kHz、16ビットでの記録となる。ビットレートは手元の録音だと260kbps〜320kbps前後に収まっており、30秒で1.2Mバイト前後になる計算だ。

 ファイル形式自体も相当高音質だが、驚かされるのはiPhoneに内蔵されているマイクの音質だ。通話をしているときの印象から、あまり音質への期待はしていなかったが、試しに録音してみたら話し声はもちろん、蛙の鳴き声や街の中の音なども拾っており、ちょっとしたフィールドレコーダーとして使ってもいいのではないかという期待以上の音質だった。この音質なら、例えばPodcastやWeb配信向けビデオ用のコメント撮り、インタビュー録音など、かなり使い勝手のいいボイスレコーダーとして活用できるだろう。

 録音したファイルには録音の種類を設定する機能や、トリムといって前後の不要な部分をカットする機能もついている。また、さすがに通話中の録音はできなかったが、録音しながらメールや株価など、他のアプリを参照することは可能。録音中は画面上部が赤く点滅しており、録音中であることが一目で分かる。緑は通話中、青はテザリング中、赤は録音中というバックグラウンド動作の色分けも分かりやすい。

PhotoPhoto 録音中は画面上部が赤くなる。録音しながらほかのアプリの操作をすることもできる
Photo 残念ながら通話しながら録音することはできなかった

 録音したファイルはメールで送信するほかに、MMSに添付して送ることも可能だが、MMSの場合はファイルサイズの関係で30秒までしか送ることができない。より長いファイルを送る場合は、30秒分をトリムするインタフェースが現れるので、全部送りたい場合は何回かに分けるといい。

PhotoPhoto 右下のリストアイコンをタッチすると、録音済みの音声が一覧表示される。ここで詳細な情報も確認できる
PhotoPhotoPhotoPhoto ボイスメモはメールやMMSに添付して送れる。MMSで送る場合は30秒の時間制限があり、必要な部分を30秒切り出す機能が提供されている

 例えば友人の結婚式。披露宴や二次会で久々に会った友人たちと盛り上がり、急におめでとうのコメントを集めてプレゼントしたくなったら、iPhoneだけでみんなのコメントを吹き込んで集め、iPhoneを接続したiTunesのプレイリストをそのままCDに焼いてしまえば、すぐに「声の花束」ができあがる。

 カメラやYouTube、ボイスメモのような、目の前の状況や好みを記録してそれを持ち歩くツールとして、iPhoneは特にアプリを加えなくてもその体験を変えてくれる端末に進化している。オンタイムだけでなく、オフの時間にもちょっと楽しいこと、役に立つことをしてくれると、さらに身近で頼れるテクノロジーというとらえ方が際だってくる。

 今回紹介しなかったカレンダーの共有(CalDAV)への対応やBluetoothオーディオ対応、アプリ内課金、アプリのプッシュ通知への対応、DockやBluetoothを介した外部機器接続など、まだまだポテンシャルを持っているiPhone OS 3.0。何よりも驚かされるのは、今日も同じiPhone 3Gなのに、昨日までとは別世界の体験ができる端末に変わってしまうことだった。

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