機能だけじゃない、スピードとUIも改善――「F-06B」で目指した“最高峰”開発陣に聞く「F-06B」(1/3 ページ)

» 2010年07月29日 10時29分 公開
[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモの富士通製端末「F-06B」は、フルHD動画撮影可能な1320万画素カメラや3.5インチのフルワイドVGA液晶、Wi-Fi機能やマルチメディア対応の電子辞書など、ドコモの夏モデルの中でもスペックの高さが際立っている。さらに、ドコモの携帯販売ランキングでは6週連続で首位を獲得するほどの支持を集めており、単なるスペック偏重モデルでないことが分かる。F-06Bは何が進化し、どこが支持されたのか。

 マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティング部 担当部長の増田茂則氏、マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティング部の山本修久氏、先行開発統括部 プロジェクト部長の城山仁司氏、モバイルフォン事業部 第五技術部 プロジェクト課長の久保洋氏、モバイルフォン事業部長代理(機構・実装開発担当)兼第二技術部長の米山一暢氏、先行開発統括部 プロジェクト課長の淺原隆宏氏、モバイルフォン事業部 グローバル技術部 部長の井上欣也氏、ソフトウェア開発統括部 プロジェクト課長の高松屋嘉宏氏、モバイルフォン事業部 第一技術部の竹本裕治氏と湊清巳氏(いずれもモバイルフォン事業本部に所属)、プロダクト&サービスデザイン事業部 プロダクトデザイン部 チーフデザイナーの鎌田正一氏に話を聞いた。

photophoto 富士通製の「F-06B」。「F-09A」に続き、スライドヨコモーション機構を採用している
photo F-06Bの開発スタッフ。上段が左から山本氏、湊氏、鎌田氏、淺原氏、高松屋氏、竹本氏。下段が左から井上氏、増田氏、米山氏、久保氏

フレキケーブルの採用で防水構造を実現

photophoto モバイルフォン事業本部 先行開発統括部 プロジェクト部長 城山仁司氏(写真=左)と、モバイルフォン事業本部 モバイルフォン事業部 第五技術部 プロジェクト課長 久保洋氏(写真=右)

―― F-06Bはスライドヨコモーション機構のモデルとしては初めて防水性能を備えていますが、やはり防水の対応は苦労したのでしょうか。

城山氏 そうですね。F-06Bは(2009年夏モデルの)「F-09A」の後継モデルですが、F-09Aでは防水対応までは間に合いませんでした。富士通アドバンストテクノロジと連携し、スライドヨコモーションの操作性を保ち、なおかつ薄型化も図りつつ、防水性能を搭載できました。

―― 防水構造はどのように実現したのでしょうか。

城山氏 腐食しにくいステンレス素材をヒンジ部に使うことで、浸水しても問題がないようにしています。

久保氏 F-09Aでは(ディスプレイ部とキー部をつなぐ)細線ケーブルを使っていましたが、細線ケーブルは耐水性がないので、これを(耐水性のある)フレキケーブル(フレキシブルケーブル)に変えたことが大きな違いです。

城山氏 ディスプレイ部とキー部に隙間が空くと防水できないので、柔軟に動くフレキケーブルでその隙間を押さえることで、防水構造を実現しています。

―― スライドヨコモーションの構造自体はF-09Aと同じなのでしょうか。

城山氏 ディスプレイの裏側にパネルを貼ってキレイにするなど、構造は大きく変更しています。

山本氏 ディスプレイ裏側の“溝”はF-09Aよりも減らしています。また、F-09Aではどの本体色もディスプレイ裏側は黒で統一していましたが、F-06Bでは本体色に合わせた色にしています。

photophoto 左がF-09A、右がF-06Bのディスプレイ裏側

久保氏 細線ケーブルとフレキケーブルでは横スイングの動かし方が全く変わります。細線ケーブルでは横にスイングしたときに少し抵抗感がありましたが、フレキケーブルを使うことでスムーズに動くようになりました。F-09Aでは、完全に90度回さないと途中でディスプレイが止まってしまいますが、F-06Bは途中まで回すと、吸い込まれるように90度回ります。いわゆるアシスト機構ですね。また、縦横のスライドも、よりスムーズに動きます。

photo F-06Bは水深1.5メートル以内に端末を沈めた状態で撮影できる

―― F-06Bは水中でも撮影できるIPX8の防水性能に対応しています。

増田氏 やはり“防水の富士通”ということで、防水性能はリードしていきたいですね。

―― 水中カメラは、やはり夏の利用シーンをイメージしたのでしょうか。

米山氏 夏ということでプールでの利用を想定していますが、海水は保証しません。

―― 富士通の夏モデルはF-07Bが唯一防水に対応していませんが、今後は“全機種防水”を目指すのでしょうか。

米山氏 カメラが普通の機能になっているように、防水も普通の機能になるように頑張ります。

城山氏 F-07Bは細線ケーブルを使っています。フレキシブルケーブルを使って防水対応にするのは技術的なハードルがありますが、着々と開発を進めているので、ご期待ください。

photophotophoto モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティング部 山本修久氏(写真=左)。モバイルフォン事業本部 モバイルフォン事業部長代理(機構・実装開発担当)兼第二技術部長 米山一暢氏(写真=中)。モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティング部 担当部長 増田茂則氏(写真=右)
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年12月10日 更新
  1. スマートウォッチ「wena 3」、2026年2月末でサービス終了 Suicaも利用不可に (2024年12月09日)
  2. 増え続ける迷惑電話に有効 iPhone「ライブ留守番電話」とPixel「通話スクリーニング機能」の使い方 (2024年12月09日)
  3. 日本通信が「ネオキャリア」に向けて一歩前進 迷惑電話撃退や音声翻訳など、電話機能の拡張も具現化 (2024年12月07日)
  4. 12月26日からスマホ端末が実質値上げに? 半年間の「お試し割」導入も 総務省が改正ガイドラインを公表 (2024年12月09日)
  5. 楽天モバイルの“株主優待SIM”を使ってみた 毎月30GBを1年間、サブ回線の運用に最適 (2024年07月08日)
  6. 血圧計内蔵スマートウォッチ「HUAWEI WATCH D2」発売 寝ている間も自動で測定、“仮面高血圧”の発見にも (2024年12月06日)
  7. 中国版「Xiaomi 15」を試す コンパクトな最新“ライカ監修カメラスマホ”はiPhoneやGalaxyの対抗馬になる存在 (2024年12月09日)
  8. 楽天グループの28期株主優待、楽天モバイルの音声+30GBが1年間無料に (2024年12月06日)
  9. JRグループが廃止する「往復乗車券」「連続乗車券」って何? そもそもなぜなくすの? (2024年12月06日)
  10. irumo、Y!mobile、UQ mobileのキャンペーンまとめ【12月8日最新版】1円スマホや最大6万ポイント還元を見逃すな (2024年12月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー