NTTドコモの富士通製端末「F-06B」は、フルHD動画撮影可能な1320万画素カメラや3.5インチのフルワイドVGA液晶、Wi-Fi機能やマルチメディア対応の電子辞書など、ドコモの夏モデルの中でもスペックの高さが際立っている。さらに、ドコモの携帯販売ランキングでは6週連続で首位を獲得するほどの支持を集めており、単なるスペック偏重モデルでないことが分かる。F-06Bは何が進化し、どこが支持されたのか。
マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティング部 担当部長の増田茂則氏、マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティング部の山本修久氏、先行開発統括部 プロジェクト部長の城山仁司氏、モバイルフォン事業部 第五技術部 プロジェクト課長の久保洋氏、モバイルフォン事業部長代理(機構・実装開発担当)兼第二技術部長の米山一暢氏、先行開発統括部 プロジェクト課長の淺原隆宏氏、モバイルフォン事業部 グローバル技術部 部長の井上欣也氏、ソフトウェア開発統括部 プロジェクト課長の高松屋嘉宏氏、モバイルフォン事業部 第一技術部の竹本裕治氏と湊清巳氏(いずれもモバイルフォン事業本部に所属)、プロダクト&サービスデザイン事業部 プロダクトデザイン部 チーフデザイナーの鎌田正一氏に話を聞いた。
―― F-06Bはスライドヨコモーション機構のモデルとしては初めて防水性能を備えていますが、やはり防水の対応は苦労したのでしょうか。
城山氏 そうですね。F-06Bは(2009年夏モデルの)「F-09A」の後継モデルですが、F-09Aでは防水対応までは間に合いませんでした。富士通アドバンストテクノロジと連携し、スライドヨコモーションの操作性を保ち、なおかつ薄型化も図りつつ、防水性能を搭載できました。
―― 防水構造はどのように実現したのでしょうか。
城山氏 腐食しにくいステンレス素材をヒンジ部に使うことで、浸水しても問題がないようにしています。
久保氏 F-09Aでは(ディスプレイ部とキー部をつなぐ)細線ケーブルを使っていましたが、細線ケーブルは耐水性がないので、これを(耐水性のある)フレキケーブル(フレキシブルケーブル)に変えたことが大きな違いです。
城山氏 ディスプレイ部とキー部に隙間が空くと防水できないので、柔軟に動くフレキケーブルでその隙間を押さえることで、防水構造を実現しています。
―― スライドヨコモーションの構造自体はF-09Aと同じなのでしょうか。
城山氏 ディスプレイの裏側にパネルを貼ってキレイにするなど、構造は大きく変更しています。
山本氏 ディスプレイ裏側の“溝”はF-09Aよりも減らしています。また、F-09Aではどの本体色もディスプレイ裏側は黒で統一していましたが、F-06Bでは本体色に合わせた色にしています。
久保氏 細線ケーブルとフレキケーブルでは横スイングの動かし方が全く変わります。細線ケーブルでは横にスイングしたときに少し抵抗感がありましたが、フレキケーブルを使うことでスムーズに動くようになりました。F-09Aでは、完全に90度回さないと途中でディスプレイが止まってしまいますが、F-06Bは途中まで回すと、吸い込まれるように90度回ります。いわゆるアシスト機構ですね。また、縦横のスライドも、よりスムーズに動きます。
―― F-06Bは水中でも撮影できるIPX8の防水性能に対応しています。
増田氏 やはり“防水の富士通”ということで、防水性能はリードしていきたいですね。
―― 水中カメラは、やはり夏の利用シーンをイメージしたのでしょうか。
米山氏 夏ということでプールでの利用を想定していますが、海水は保証しません。
―― 富士通の夏モデルはF-07Bが唯一防水に対応していませんが、今後は“全機種防水”を目指すのでしょうか。
米山氏 カメラが普通の機能になっているように、防水も普通の機能になるように頑張ります。
城山氏 F-07Bは細線ケーブルを使っています。フレキシブルケーブルを使って防水対応にするのは技術的なハードルがありますが、着々と開発を進めているので、ご期待ください。
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