auの携帯電話やスマートフォンには、原則として契約時(最初)に装着したau ICカードしか使えないよう“キャリア内ロック”が掛けられている。ユーザーにとっては利便性を損なう面もあるが、万が一携帯電話やスマートフォンを紛失したり盗難に遭ったりしたときに、第三者にSIMを抜き取られて悪用される事態を防げる。ただ、auのスマートフォンの一部機種では、このキャリア内ロックが掛けられていないものがある。確認した限りでは、「SIRIUS α IS06」「iPhone 4S」「MOTOROLA RAZR IS12M」「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」「Optimus X IS11LG」にはキャリア内ロックが掛けられていないことが分かった。
iPhone 4SとIS12MにはmicroSIMタイプの「micro au ICカード」が採用されており、1枚のSIMを使い回せる。例えばSIMなし(白ロム)のau版iPhone 4Sを購入して、手持ちのSIMを挿して使うといったこともできてしまう。通常のau ICカードとmicro au ICカードはサイズが異なるのでそのままでは当然使い回せないが、SIMカッターなどを使ってmicroSIMサイズにカットすればiPhone 4Sでも使えるかもしれない(利用は自己責任となる)。IS06、ISW11SC、IS11LGはmicroSIMではない、通常タイプのSIMが採用されている。
ちなみに、富士通東芝製の「ARROWS ES IS12F」もmicroSIMを採用している。ARROWS ESのSIMをauのiPhone 4Sに入れたところ問題なく通信できたが、iPhone 4SのSIMをARROWS ESに入れると、ロック解除画面に「au ICカード(UIM)が挿入されていません」と表示され、通信できなかった。ロックを解除すると、「携帯電話を有効にする」という見慣れない画面が表示され、「有効にする」をタップしても「プログラムが設定されるまでお待ちください」と表示されたまま先に進まなかった。これはキャリア内ロックが掛かっているためだろう。なお、例えばARROWS ESからiPhone 4Sに機種変更をした後なら、電話番号が同じなのでARROWS ESとiPhone 4SでSIMを使い回せる。

au版「iPhone 4S」(写真=左)と「ARROWS ES IS12F」(写真=右)には同タイプの「micro au ICカード」(いずれもVer.02)が採用されている。違いはキャリア内ロックの有無のみKDDIによると、「グローバルメーカー製のスマートフォンはキャリア内ロックが掛かっていないものが多い」とのこと。国内メーカー製モデルではARROWS ESのほか、京セラ製の「DIGNO ISW11K」やシャープ製の「AQUOS PHONE IS14SH」も電話番号の異なるau ICカードでは利用できなかった。国内メーカーはフィーチャーフォンを開発しているころからキャリア内ロックを掛けており、スマートフォンでも引き続きロックしている。ただ、KDDI側からメーカーにキャリア内ロックを必ず掛けるようルール化しているわけではなく、ロックの有無はメーカーに委ねられているのが現状だ。
冒頭で述べたことの裏返しになるが、キャリア内ロックフリーとなったことでユーザーの利便性は上がるが、スマートフォンを紛失した際のリスクが高まることは念頭に置いておきたい(特に海外では注意したい)。電話回線を一時中断する「緊急通話停止・解除」などの手段を確認しておいた方がいいだろう。
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