ソフトバンク夏モデルと“最強のネットワーク”の中味/au LTEエリア化の今後:石野純也のMobile Eye(4月30日〜5月10日)(3/3 ページ)

» 2013年05月11日 14時55分 公開
[石野純也,ITmedia]
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障害の原因やLTEのエリアに関する方針、夏モデル以降のヒントも

photo KDDIの連結業績。前年比で、増収増益を達成した

 4月30日には、KDDIが決算会見を開催した。12年度通期の連結業績は、営業収益が3兆6622億円で前年比2.5%増、営業利益が5126億円で7.3%増、経常利益が5144億円で7.3%増となった。

 この決算会見に先がけ、KDDIは4月16日から19日に渡る、大規模な障害を起こしている。障害の内容は、iPhone、iPadでEメール(MMSを利用していない場合、ただしKDDIは以前から障害の対象となったEメールアプリを推奨していた)が利用しにくくなったというものだ。また、4月27日には、東京都、神奈川県、山梨県の一部でLTEの通信障害が発生した。障害は16時01分から22時18分に渡っており、総務大臣に報告義務のある「重大な事故」に該当する。

 会見の冒頭では、代表取締役社長、田中孝司氏がこれら一連の障害について謝罪。質疑応答で改めて今後の対策について語った。iPhoneのメール障害については別途会見を行っており、そちらは新機能搭載のバージョンアップ作業を行っている際に起こったもので、ハードウェアの障害や手順書の不備が原因。これらが重なったことで、障害が長期化した。これについては、既報のとおりだ。一方で、4月27日のLTEに関する障害は「原因がソフトウェアのバグ」にあった。

photophoto 田中孝司社長は冒頭、4月に起きた2件の障害について謝罪した

 具体的には、MME(モバイル・マネージメント・エンティティ)という基地局を制御する設備があり、ここで「フラグメント(分断化)されたパケットの長さが、ある一定より短い場合にエラーが起きるところまで分析が進んでいる」(田中氏)という。ここに対しては、「ソフトウェアの対策や修正を施していく」(同)方針だ。田中氏は「事象だけを見ると独立しているが、本当にKDDIの中で連続して障害を起こすことがないか、もう一度、私自身が先頭に立ち再チェックしていきたい」と陳謝している。

 KDDIはLTEの通信障害を年初にも起こしており、同社のネットワークに対する信頼が揺らぎつつある。一時は、spモードメールやネットワークの障害を連発していたドコモも、昨年初頭に大規模な対策を実施し、その後は障害が少なくなった。これはドコモが、パケット交換機の処理能力向上から、端末側の制御信号抑制、各種サーバの強化、IP技術者の増強まで、全方位に渡って改善に取り組んだ結果と言える。KDDIにも、こうした抜本的な改善をぜひ行ってほしい。

 決算会見では、LTEのエリアについても話が及んだ。田中氏によると、「Android搭載LTEスマートフォンが対象だが、実人口カバー率は96.4%まできた。今期末には99%目指したい」という。KDDIは現在、iPhone 5、iPad miniなどに2.1GHz帯を、Android向けに800MHz帯と1.5GHz帯を使用しているが、これらの周波数帯をどう使い分けていくのかも解説された。田中氏は次のように語る。

photo 800MHz帯のLTEは、年度末で96.4%を達成。今年度末までに99%を目指す

 「800MHz帯は隅々までつないでいき、99%を目指したい。2.1GHz帯の方は、どちらかと言うとトラフィックが集中しているところに重点的に(基地局を)打っていく方針で、都心から地方に(エリアの整備が)向かっている最中。今後の端末の発表を考えると、決してこの考え方は間違っていない」

 面は800MHz帯でカバーし、ネットワークが混雑しやすい地域は2.1GHz帯や1.5GHz帯を活用するというわけだ。ただし、田中氏のコメントからは、現状KDDIでもっとも売れているiPhone 5用の2.1GHz帯もエリアの拡大自体は続けていくことがうかがえた。「今後の端末」が何を指すのかは不明だが、少なくともKDDIが持つすべての周波数帯のLTEに対応した端末が出るのは確実視してよさそうだ。キャリアの意向に合わせて周波数帯を決めやすいAndroidはもちろん、次のiPhoneも800MHzのLTEに対応するのかもしれない。

 一方で、以前この連載でも指摘したように、端末によって対応する周波数が異なるという今の仕組みは、ユーザーにとって非常に分かりにくい。現状Androidのみが対応している800MHz帯の実人口カバー率を数字で出すのであれば、実質iPhone 5用になっている2.1GHz帯も同じ基準で情報を公開すべきだと思う(さらに言えば、他社と基準が違う実人口カバー率を用いるのなら、比較の目安にするため、通常の人口カバー率も併記してほしい)。少なくとも、現状のままだと、iPhone 5などの2.1GHz帯LTEにのみ対応している製品は、買うまでエリアの基準も分からず、手を出しにくい。これについて田中氏は「今どうするか検討している。近々にはっきりさせたいと思っている」とコメントしている。KDDIの一歩踏み込んだ対応に期待したい。

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