「その時代の日本で役に立てる」Samsung電子を目指すNote 3とGearとJで進める日本市場(2/2 ページ)

» 2013年10月23日 16時25分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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GALAXY Note 3を「新世代の製品」という理由

ITmedia 最新のGALAXY Note 3はどのように進化しましたか?

石井氏 GALAXY Noteは、大きな画面にペンで書き込めるという、アナログのノートをデジタル化した製品でした。また、GALAXY Note IIでは画面サイズやCPU速度の強化といったハードウェアを中心に進化したモデルでした。一方、GALAXY Note 3は、Noteシリーズとして新しいステップに入った新世代の製品です。

 例えば、スタイラスペン、Samsung電子は「Sペン」と呼んでいますが、GALAXY NoteとGALAXY Note IIでは入力デバイスとして使うことを重視した設計になっていました。それに対して、GALAXY Note 3では入力利用に加えて、さまざまな機能を呼び出せる役割も持たせました。Sペンを使うことで文字を書いたり、書いた文字からそのまま検索を行ったりと、5.7インチの画面を最大限に活用できるでしょう。Sペンを使うことで操作はより快適になるだろうと考えています。

Sペンで利用できる操作機能をそろえたパレットを表示する「エアコマンド」や(写真=左)、手書き入力の文字や数字をそのまま対応アプリで使える「アクションメモ」など(写真=右)、GALAXY Note 3ではSペンを操作デバイスとして使う機能を拡張している

ITmedia GALAXY Note 3はハードウェアスペックも高いです。

石井氏 高速なクアッドコアプロセッサの搭載や大容量の3GバイトRAMの実装など、GALAXY Note 3はSamsung電子のラインアップでも最高スペックのモデルになっています。ただ、単純に速いプロセッサを載せてメモリ容量を増やしたということではありません。Sペンを活用したり、マルチウィンドウを開いて2つのアプリでデータを受け渡ししたり、アクションメモを開いて手書き文字から電話を書けたり住所を地図検索したりと、GALAXY Note 3の機能は非常にパワフルなものになっています。その動作を快適にするために高いハードウェアスペックを実装したわけです。

ITmedia GALAXY Gearは本格的なウェアラブル端末ですね。

石井氏 スマートフォンと接続して利用できる「ウェアラブル」なデバイスは、これからもいろいろな製品が出てくるでしょう。Samsung電子は、現時点での技術で製品化できるサイズとユーザーがウェアラブル端末に求める利用方法を考え、GALAXY Gearは最終的に腕につける製品となりました。しかし、GALAXY Gearはただスマートフォンと連携するだけではありません。バッテリーは容量315mAhを搭載してほぼ1日の利用が可能です。通話はもちろん、メールやLINEなどのSNSの受信、音声メモやカメラ機能など、これまでのスマートウォッチやウェラブル端末になかった新しい活用方法を提案できると考えています。

CEATEC 2013のドコモブースでもGALAXY Note 3とGALAXY Gearの人気は高く、「待ち時間90分」の行列ができていた

Samsung電子のスマートフォン戦略とは

ITmedia ところで2013年9月にドコモがiPhoneを発売しました。この動きはSamsung電子ジャパンのビジネスにどのような影響を与えますか?

石井氏 これまでの2社に加えてNTTドコモもiPhoneを販売することで、日本のモバイル市場、そして、スマートフォン市場が盛り上がるならば、それはよいことだと思います。日本の移動体通信事業者大手3社がiPhoneの取り扱いを開始したというだけではなく、今回は2つのモデルを同時に投入しました。それまでのiPhoneは、カラーバリエーションやメモリ容量の差はあったものの1種類だけです。今回製品のバリエーションが広がったことで、ユーザーが選択できる幅が広がっています。このように、スマートフォンはユーザーのニーズを軸に進化していくと思います。

ITmedia アップルの動きだけではなく、国内外の各メーカーから意欲的な新製品が登場しています。グローバルメーカーであるSamsung電子の日本市場における事業戦略は?

石井氏 ユーザーのライフスタイルは日々変化し続けています。そのような時代では、日本のユーザーが使いたいと思うサービスや機能を提供していくことが不可欠でしょう。そこで、今回は日本市場向けに開発した専用モデルとして「GALAXY J」を投入しました。また、日本人に使いやすい入力方法「8フリック」や、災害などで電池を少しでも長持ちさせたいときに消費電力をセーブできる「緊急時長持ちモード」も導入しました。

 さらに、LINEとの提携によるオリジナルスタンプの提供や、エイベックスとの提携で音楽配信サービスを3カ月無料で提供するなど、日本独自のサービスやビジネスモデルを組み込みました。日本というモバイルの最先端市場でこれからも受け入れていただくためには、ユーザーに楽しんでいただき、社会貢献もできるような製品とサービスを提供していくことが重要と考えています。

左からSamsung電子ジャパン専務の石井圭介氏にWORLD TOUR 2013 TOKYOにゲストで登場した同社執行役員の舛田淳氏とエイベックスグループホールディングス CBOの林真司氏(写真=左)。LINEでは、GALAXY Gear対応バージョンを用意してスタンプを使った返事ができるようにしている(写真=右)

 製品展開では、アクセサリ関係にも力を入れていきます。まず、「S Viewカバー」など、スマートフォンに装着できるカバーやケースなどを強化します。今回は、ステーショナリーメーカーのMARKSとの連携で、GALAXY Note3専用ケースを作り、生活雑貨を扱う「ロフト」の全国各店で展開します。

 日本では2020年に東京オリンピックが開催します。その2020年にはデータトラフィックが2010年比で1000倍にもなるといわれています。これからLTEの普及が進む中、Samsung電子の研究開発成果や新製品が、その時代の日本で役に立てるようになれば幸いと考えています。

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