いわゆるガラケーのころから、ケータイは本職デジカメに比べて一回り小さなサイズの撮像素子を使っていて、デジカメに比べると画質は下、というのが普通だったけれども、とうとうデジカメと同じ撮像素子を積んだスマホが出てきたのである。
ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z1」だ。
同社のサイバーショット(の主力モデル)と同じ、1/2.3インチの裏面照射型CMOSセンサーを搭載。一般的なスマホは1/3インチ前後のサイズが主流なので、それらよりひとまわり大きいのである。いよいよ本気出してきたなソニー、といったところ。
Xperia Z1(以下、Z1)の撮像素子は1/2.3インチである。しかも2070万画素である。ソニーの主力モデルCyber-shot WX200などと同じ撮像素子だ。
ここでもう1台登場する。スマホ写真の代名詞ともえる「iPhone 5s」(以下、5s)だ。こちらは1/2.3インチより小さな撮像素子(サイズは非公表)を採用しているのだが、画素数を800万画素に抑えているため、画素ひとつあたりはZ1より大きく、暗所に強くなったと称している。
ではどっちが高画質なのか。やはり画素数が多い方がいいのか。気になるところであります。で、Z1のカメラレビューなんだけど、まずは基本性能チェックってことで、2070万画素のZ1 vs 800万画素の5sで比較しながらみてみたい。ちなみにZ1はauの「Xperia Z1 SOL23」を使用した。
その前に、ちょっとややこしくて申し訳ないのだけれども、Z1の画像サイズについて知っておくべし。Z1の撮像素子は2070万画素(20M)であるが、撮影モードによって記録画像サイズに違いがあるのだ。
例えば、最も基本的な撮影モードである「プレミアムおまかせオート」時は、画像サイズが800万画素(8M)固定なのである。それも、縦横比が4:3ではなく16:9。20Mの撮像素子で撮ったものを8M相当に縮小して記録してるわけだ。
20Mフルサイズで撮りたいときは、Mモード(マニュアル撮影モード)にしなきゃいけない。このときは記録画像サイズをいくつか選べる。撮影モードによって記録画像サイズが変わるのはややこしいので、表にしてみた。プレミアムおまかせオートは8M相当で16:9、特殊な撮影モードは200万画素(2M)相当の16:9(フルHDサイズ)、マニュアルモードは画像サイズを選べる、と思っていい。
以上を念頭において、まずは「プレミアムおまかせオート」(つまり8M同士)で象の滑り台対決から。
16:9と4:3という違いがあるので比べにくいのだけれどもご容赦を。
全体にZ1の方が明るめに写る傾向があるんだけれども、これなんかそんな感じ。
お次はあずまや……といいたいところだが、いつもの撮影場所が工事中で撮れなかったので、代わりに別の風景写真で。中央にある松の枝を見ると違いが分かりやすい。
20Mを8Mに縮小してディテールの描写感を上げているZ1 vs リアル8Mの5s。軍配はどちらに、とあおるまでもなく、一目瞭然の結果に。Z1の方が松や電線のディテールがはっきりしている。
もっとも、Z1のディテールに不自然さを感じる向きもあろう。それはプレミアムおまかせオートで撮ったからだ。プレミアムおまかせオートは自動的にシーンに応じた絵づくりをする。この場合、撮影したのが風景だと判断して、シャープネスを強めにかけてくっきりした絵づくりをしたのだ。
マニュアル撮影モードで撮るとここまでカリカリではない。せっかくなので、マニュアルモードで撮った8Mと20M相当(フルサイズ)の写真も見ておく。
総じて、ぱっと見では5sの方が青空が鮮やかに出ててきれいにみえるが、ディテールの描写力はZ1の方が上。ざっくりいってそんな感じだ。
次は人工物の画質を。Z1の各サイズと5s、合計4つ並べてみた。
同じ8Mで撮ったものを見比べてみると、Z1の方がノイズが少なくて滑らかな描写だ。2070万画素を8Mサイズに縮小しているメリットやサイバーショットで培った画像処理のおかげ。
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