6月1日にスタートしたNTTドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」。事前の予約受け付けが120万件を超え、スタートから10日後には300万契約を突破したという。
ドコモの新料金プランは、ユーザーの契約期間に合わせた4段階のドコモ割や、家族でデータ通信容量をシェアできる「シェアパック」、25歳以下のユーザー向けの「U25応援割」など、「長期契約者」「家族」「若者」に優しいプランだと言われている。
では、それ以外のユーザーはどうなのだろうか。新料金プランでは、スマートフォン+タブレットや、フィーチャーフォン+タブレットという1人の“2台持ち”を想定し、パケット通信のデータ通信量を分け合えるプランがある。新料金プランは1人で2台持ちの強い味方になってくれるのだろうか。
2014年8月31日まで申し込み可能な旧プランと比較して、どっちがお得なのか比べてみた。多くのユーザーが使うであろう、オーソドックスなプランで、なおかつなるべく安く2台持ちができるもの同士を比較した。
まずは、旧プランにおけるスマートフォンとタブレットの2台持ちの場合を考えてみよう。スマートフォンを契約する場合、基本プランは「タイプXiにねん」(743円、税別、以下同)を選ぶ必要がある。ドコモユーザーに定額通話が可能な「Xiカケ・ホーダイ」はオプションのため、今回は契約しない場合で考えた。パケット定額プランは、おおよそのユーザーのデータ通信量が月3Gバイト以内に収まるであろうことを考慮して「Xiパケ・ホーダイ ライト」(4700円)を選択した。「spモード」(300円)と合わせて、計5743円になる。
次にタブレットの旧プラン料金だ。こちらはデータ通信量が月7Gバイトの「Xiデータプラン フラットにねん」(5700円)を選択した。「spモード」(300円)と合わせて計6000円だが、2014年8月31日までに「プラスXi割」へ加入すると、月2861円の割り引きが最大25カ月間続くため月3139円で利用できる(26カ月以降は月2009円の割り引きになる)。
項目 | 料金(税別) |
---|---|
スマートフォン | |
タイプXiにねん | 743円 |
Xiパケ・ホーダイ ライト(3Gバイト) | 4700円 |
spモード | 300円 |
小計 | 5743円 |
タブレット | |
Xiデータプラン フラット にねん(7Gバイト) | 5700円 |
spモード | 300円 |
プラスXi割による割り引き | -2861円 |
小計 | 3139円 |
2台合計 | 8882円 |
スマートフォンとタブレットの合計額は8882円となり、2台で計10Gバイトのデータ通信を利用できる。
では、新プランの場合はどうだろうか。スマートフォンの場合は、音声定額通話の「カケホーダイプラン(スマホ/タブ)」(2700円)が必須となるので通話料金の初期設定額が旧プランより高くなる。データ通信はなるべく安く使いたいユーザー向けの「パケットパック(データSパック/2Gバイト)」(3500円)を選択。「spモード」(300円)と合わせて計6500円になる。ちなみに、フィーチャーフォンの場合は、基本料金が2200円となる。
タブレットの新プラン料金は、「データプラン(スマホ/タブ)」(1700円)、「spモード」(300円)、カケホーダイプランと同一名義でデータ通信量をシェアできる「シェアオプション」(500円)の計2500円。
項目 | 料金(税別) |
---|---|
スマートフォン | |
カケホーダイプラン(スマホ/タブ) | 2700円 |
パケットパック(データSパック・2Gバイト/データMパック・5Gバイト) | 3500円/5000円 |
spモード | 300円 |
小計 | 6500円/8000円 |
タブレット | |
データプラン(スマホ/タブ) | 1700円 |
spモード | 300円 |
シェアオプション | 500円 |
小計 | 2500円 |
2台合計 | 9000円/1万500円 |
スマートフォンとタブレットの合計額は9000円で、2台で計2Gバイトのデータ通信量を分け合う。新プランの方が旧プランより118円高いが、この差額で国内通話が定額になるのであればお得かもしれない。この差は旧プランの通話料金(20円/30秒)で計算すると2分30秒の通話時間に相当する。ただ問題は利用できるデータの上限が2Gバイトで、旧プランの5分の1になること。定額通話が付いてパケット通信量をシェアできるというメリットがあるものの、これでは少し足りないという人もいるだろう。
データ通信が5Gバイトまでシェアできる「パケットパック(データMパック/5Gバイト)」(5000円)では、スマートフォン(代表回線)の料金が8000円になり、2台目込みで計1万500円になる。ちなみに旧プランとの差額は1618円で、通話料(20円/30秒)で換算すると40分に相当する。
また、旧プランと同じように2台で毎月10Gバイトまで使いたい場合は、「シェアパック10」(9500円)という選択肢もある。もともと家族間での分け合いを想定したプランだが、もちろん1人でも利用可能だ。ただスマートフォン(代表回線)の料金は1万2500円になり、2台目込みのコストは計1万5000円。旧プランとの差額は+6118円に広がる。これは月152分30秒の通話料(20円/30秒)に相当する。
項目 | 料金(税別) |
---|---|
スマートフォン | |
カケホーダイプラン(スマホ/タブ) | 2700円 |
シェアパック10(10Gバイト) | 9500円 |
spモード | 300円 |
小計 | 1万2500円 |
タブレット | |
データプラン(スマホ/タブ) | 1700円 |
spモード | 300円 |
シェアオプション | 500円 |
小計 | 2500円 |
2台合計 | 1万5000円 |
賛否両論ある新プランだが、旧プランだとデータ通信料が使い切れないという人や、通話をする機会が多いという人は新プランの方がお得かもしれない。また、2台の端末間でデータ容量をシェアできるので今までより少ないパケット通信量でもムダなく使い切れる。また音声定額通話もできてこの程度の差額なら新プランを使ってみたいという人もいるだろう。選択肢が増えた分、工夫次第で賢く使うことができるようだ。
新プランはパケット通信量が超過した場合、1000円/1Gバイトを支払うことで速度制限を解除できる。旧プランは2500円/2Gバイトだったため、追加分のパケット単価は安くなった。しかし前述のように旧プランとの差額がかなりあるため、追加料金でお得と感じるケースは少なそうだ。
発表当時から話題になっている通り、新プランは「長期契約者・家族・若者」に手厚い内容になっている。
家族でデータ通信料をシェアできる「シェアパック」は、6年以上の契約で毎月300〜2000円(シェアパック30/16年以上の契約)が割引され、データS/Mパックの場合も、11年以上か16年以上の契約で月600〜800円の割引がある。25歳以下の人は「U25応援割」で基本プランが毎月500円割引になるほか、1Gバイトのデータがプレゼントされる。
また、6月10日に発売された「iPad Air」と「iPad mini Retinaディスプレイモデル」(Wi-Fi+Cellularモデル)は、新料金プランの「パケットパック」や「シェアオプション」が利用可能。ドコモは、iPadを購入して「データプラン」を契約、かつ「シェアパック」の代表・子回線または「2台目プラス」対象回線のユーザーに対し、申し込み月から最大13カ月間、ボーナスパケットとして1Gバイト(計1万3000円相当)をプレゼントするキャンペーンを実施している。申し込み期間は2014年12月31日まで。
さらに、iPhoneを購入するか利用中のユーザーが「カケホーダイプラン(スマホ/タブ)」および「パケットパック」に加入した場合は「iPhoneボーナスパケットキャンペーン」の対象となり、同じく申込み月から最大13カ月間、1Gバイト(計1万3000円相当)がプレゼントされる。このサービスは併用が可能だ。
携帯電話の通話定額については、ドコモに続いてソフトバンクモバイルも内容を見直した「スマ放題」を7月1日から提供すると発表した。金額などはドコモと同等だが、使い切れなかったパケット通信量を翌月に繰り越せるなどの違いがある。
またドコモのiPad発売に合わせたように、KDDI(au)とソフトバンクモバイルもiPad購入時の端末割り引きや、スマートフォンとタブレットの2台持ちユーザーを対象とするプランの見直しを行った。
→・KDDI、iPadの割引と新しいデータシェアキャンペーンを実施
→・ソフトバンク、最大1万4040円割引となる新規ユーザー向け「iPad購入サポート」を期間限定でスタート
iPadユーザーをめぐる3社間の競争はこれから激化しそうだ。
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