「ドコモ光よりauがお得」な理由は?――量販店・併売店のauスタッフによる「接客コンテスト2015」春商戦を想定

» 2015年02月04日 21時20分 公開
[村上万純,ITmedia]

 KDDIが2月4日、関東エリアの家電量販店と併売店(携帯電話専門店)に勤務するスタッフ(セールスアドバイザー)による接客コンテストの決勝戦を開催した。これまでキャリアショップスタッフを対象とする接客コンテストは各キャリアが実施していたが、量販店と販売店のスタッフを対象とする大会は今回が初の試みとなる。2014年12月ごろから関東エリアに勤めるKDDI社員1260人を対象に予選を行い、選ばれた16人のファイナリストが決勝に進出した。

photo ファイナリスト16人

 持ち時間は1人15分で、接客のロールプレイングを行う。これを、「話の切り出し方」「ヒアリング力」「提案力」「クロージング(関連商材の売り込み)」「総合評価」という5つの点から6人の審査員が評価する。観客も全員各量販店や併売店でセールスアドバイザーを務めるスタッフで、仲間の応援と共に、春商戦を勝ち抜くヒントを得ようとファイナリストの接客を見守った。

photophoto 接客の様子

 キャリアショップと異なり、量販店や併売店は全キャリアの携帯電話と固定通信サービスを扱うため、MNP(番号ポータビリティ)の主戦場になりやすい。どのキャリアの端末を買うのかを明確に決めていないユーザーも多い。

 また、NTTドコモとソフトバンクモバイルが、NTT東西の光回線(FTTH)を利用した固定通信サービス「ドコモ光」や「SoftBank 光」を発表し、スマートフォンとのセット割を行うこともあり、「固定通信も合わせたモバイルサービスのMNP」が主要なテーマに据えられていた。コンテストの狙いについて、KDDIは「2015年の春商戦は、これまでとは異なる状況での勝負になるため、MNPの主戦場である量販店・併売店の戦いに勝たないといけない。このタイミングで優秀なスタッフのノウハウを共有し、春商戦を勝ち抜く強い接客現場を作りたい」とコメントしている。

 テーマがMNPであるため、ロールプレイングで来店する客はau以外のユーザーで、何となくふらっとやってきた人がほとんど。明確な目的を持たない客に対し、ファイナリストたちは「現在使用している端末とその不満点」「欲しい機能、使ってみたい機能」などを丁寧に聞き出し、カメラ機能重視のユーザーには「Xperia Z3 SOL26」を、カメラ機能や防水性能、電池持ちなどを気にする主婦の客には、女性でも持ちやすいコンパクトな「AQUOS SERIE mini SHV31」を勧めるなど、相手に合わせて臨機応変に対応していた。

 3キャリアから発売されている「Xperia Z3」については、4G LTEの人口カバー率が99%であることや、キャリア・アグリゲーション、WiMAX 2+などの高速通信などを例に挙げ、ネットワークの広さと速さで他社に優位性があることを説明。映画をよく見るユーザーには月額562円(税別)で映画やドラマなどが見放題になる「ビデオパス」を、よく買い物に行くユーザーには電子マネーサービス「au WALLET」を、動画や写真をよく見るユーザーにはタブレットをそれぞれ勧めていた。

 そして今回の肝となったのが、auスマートバリューの説明だ。NTTの「フレッツ光」を利用している人から、モバイルWi-Fiルーターのみで家に無線LANルーターの環境がないという人まで、幅広い人に対してauスマートバリューのお得さをアピールした。一方、ユーザー側でなかなか理解しにくいのが料金の違いだ。

 「ドコモ光は家族向けではシェアパック(10Gバイト以上)のプランしか対応しないこと」や、「auならスマホとセットで1人あたり月1410円を割り引くので、人数が増えるほどお得になること」などを説明し、auに固定/モバイル通信合わせて乗り換えると現行プランよりいかに安くなるかを分かりやすく説明した。

 また、現状は固定通信の必要性を感じていないユーザーに対しても、「動画を見ている時に通信状態が悪くてストレスを感じることはないか」「SNSを見ていてうまく画像が表示されないことはないか」など、客が意識していない潜在的なニーズを明らかにした上で最適なプランを考え、提案していた。

 栄えあるグランプリに輝いたのは、群馬エリア代表の本田春樹さん。ユーザーの不満と徹底的に向き合う姿勢が評価された。本田さんは「現場では具体的な利用シーンを教えてもらうことは少ない」と話し、ユーザーの不満を先取りすることの大切さを語っていた。

photophoto グランプリに輝いた群馬エリア代表の本田春樹さん

 2014年の春商戦はMNPをめぐるキャッシュバック戦争が勃発したが、2015年は固定通信と合わせた新たなMNP戦争が起こることが予想される。auスマートバリューで固定通信とモバイル通信サービスの提供を他社に先駆けて行っていたKDDIは、そのアドバンテージを武器に春商戦を勝ち抜ける接客現場を築き上げていく。

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