―― L2接続について石原さんにうかがいたいのですが、先ほど事例として下りを絞った料金プランのお話がありました。ほかには、どのような料金設定が考えられるのでしょうか。
石原氏 例えば、24時から6時の間だけ使えたり、平日だけ使えたりするプランも考えられます。深夜にシステムアップデート的にコンテンツを更新するような案件には、こういうプランがいいですね。デジタルサイネージで、コンテンツは週1、2度、夜中に入れ替えるというものです。
また、今のMVNOの世界は基本的に500Mバイトや1Gバイト、3Gバイト、7Gバイトといった容量でのくくりになっていますが、M2Mの世界は本当にもっと小容量の通信がされています。そこにもっと細かく刻んだプランも必要です。たとえば、30Mバイトといったようなものもありえるのではないでしょうか。
―― それは、B2Cにも応用できるのではないでしょうか。
石原氏 工夫すれば、家電の使い方にマッチしたものもできると思います。まだそこまでの深掘りはできていませんが、B2Cの流通部門と連携しながら作っていきたいですね。
―― お話をうかがっていると、本当にオーダーメイドで通信を提供できるということですね。
石原氏 そうですね。
―― パナソニックとしては、この通信事業で本格的に利益を出すというもくろみがあるのでしょうか。それとも、あくまで機器を売るための付加的なサービスという位置づけでしょうか。
石原氏 もちろん、我々としては赤字の垂れ流しはよしとしてはいません。ただし、これで何千億ともうけるつもりもありません。IoT時代に端末が対応して、トータルで利益を出していきます。
一方で、格安SIMはWonderlinkの知名度を上げたいところに意図があり、我々がそこに対して協力しているイメージです。
増田氏 はい。まずユーザーさんとのつながりを作ることが大切で、その上でストック型のビジネスができればと思っています。サービスやコンテンツを乗せていき、顧客単価をアップさせる方針です。
―― パナソニックとして、IoTに向けた意思統一はできているのでしょうか。回線を提供しても製品が出ないということはない、という理解でよろしいでしょうか。
石原氏 通信対応した製品を、各事業部に作ってもらうことも、我々のミッションです。そのための啓蒙活動はしていますし、積極的に推進しろとも言われています。実際に足並みがそろっているかどうかは別としても、やっていくというスタンスではいます。
IoT時代を意識したMVNOという点で、パナソニックのMVNOはいわゆる「格安SIM」とは大きく異なる。さまざまな製品を作れるのはもちろん、自社で設備を持ちドコモとL2接続していることで、柔軟なプランが打ち出せる。通信と機器という両輪がそろっているというわけだ。
インタビューでは具体例としてB2Bのケースを聞くことができたが、応用はB2Cにもできそうだ。例えば、同社では「LUMIX CM1」のような、通信機能を持ったカメラを出している。ここに、写真のアップロード1枚につきいくらといった料金プランを出しても、面白いかもしれない。
残念ながらCM1には専用の料金プランが用意されていないが、将来的にはセット販売の可能性も十分ある。また、カメラ以外でも、ポータブルテレビやカーナビ、自転車など、モバイル通信と相性のよさそうな製品は多い。こうした製品が続々と通信に対応していくことにも期待したい。
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