Qualcommは9月15日(香港時間)、同社の最新プロセッサ「Snapdragon 820」に「X12 LTEモデム」を統合することを発表した。Snapdragon 820は、2016年第1四半期に搭載端末が登場する見通し。
X12 LTEモデムは、モバイル端末用のモデムとしては初めて、LTE Category 12/13に対応し、下り最大600Mbps、上り最大150Mbps(ともに理論値)の高速通信が可能となっている。4×4 MIMO(※1)や、LTEの方式(FDD-LTEとTDD-LTE)をまたいだキャリアアグリゲーション(※2)にも対応している。
※1 MIMO(Multiple Input Multiple Output):複数の送受信アンテナで同時通信を行い、通信速度を向上する技術。無線LAN(Wi-Fi)の高速化に使われているほか、モバイル通信でも「LTE-Advanced」において対応している。なお、「4×4」は、送受信用にそれぞれ4本のアンテナを搭載することを示している
※2 キャリアアグリゲーション:2つ以上の隣接していない周波数帯(キャリア)の通信を束ねることで、通信速度を向上する技術。X12 LTEモデムでは20MHz幅×3(下り通信時)および20MHz幅×2(上り通信時)のキャリアアグリゲーションに対応している
無線LANでは、IEEE802.11ac規格において2×2 MU-MIMO(複数端末で同時にMIMO通信できる技術)をサポートし、「IEEE802.11ad」企画(※3)に新たに対応する。LTEと無線LANで通信用アンテナを共有可能することも可能だ。
※3 IEEE802.11ad:60GHz前後の高周波数帯を使う無線LAN規格。4.6Gbps(ピーク値)で通信が可能
X12 LTEモデムは、免許不要な周波数帯を使ってLTE通信を行う「LTE-U(LTE-Unlicensed )」と、LTEと無線LANの通信を協調制御して通信速度の向上を図る「LWA(LTE and Wi-Fi Link Aggregation)」にも対応している。
Qualcommはこの発表と同時に、Snapdragon 820が新しい超急速充電技術「Quick Charge 3.0」に対応することも発表した。
「Quick Charge」はQualcommの急速充電技術。その第3世代となるQuick Charge 3.0では、対応機器に合わせて3.6〜20Vの範囲内で電圧を200mV単位で調整できる「INOV(Intelligent Negotiation for Optimum Voltage)」機能を新たに搭載した。INOV機能によって、第1世代(Quick Charge 1.0)比で最大2倍、現行の第2世代(Quick Charge 2.0)比で最大38%、効率的に充電できるようになっているという。
Quick Charge 3.0対応機器は、第1世代・第2世代の機器との前方・後方互換性を有する。また、充電コネクタはUSB Type-Cを含めた既存のものと互換性を持つ。
ただし、Quick Charge 3.0は、対応チップセットのオプション機能であるため、対応するかどうかは、端末メーカー(あるいは通信事業者)次第となる。
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