「gooのスマホ」第5弾は女性がターゲット――男性も巻き込んだ秘策とは?

» 2015年12月08日 19時35分 公開
[井上翔ITmedia]

 NTTレゾナントは12月8日、都内で2015年度下期の事業戦略説明会を開催した。説明会では、同社の年度戦略の進捗(しんちょく)状況と、同日に販売を開始した「gooのスマホ g05(グーマルゴ)」の製品説明を行った。

「あなたにフィットする」ポータルサイトへ

NTTレゾナントの若井昌宏社長 NTTレゾナントの若井昌宏社長

 同社では、2015年度の事業戦略として「スマホを中心とした“おもてなし”」を掲げている。これは、サービス、技術・プラットフォーム、開発プロセス支援の3点に注力し、スマートフォンを軸として「自分仕様に成長」(若井昌宏社長)できるポータルサービスの提供を行う姿勢を示したものだ。

 サービス面では、「教えて!goo」のQ&AデータをオープンAPIとして提供する「QAコネクト」を開始した。第1弾として、11社・13サービスがQAコネクトを利用したQ&Aサービスを提供する。2016年度末までに、100社以上でのQAコネクト採用を目指す。

QAコネクトの目的QAコネクトの導入企業 「QAコネクト」を使うと、「教えて!goo」のQ&Aデータを含めたQ&Aサービスを簡単にサイトに追加できる(写真=左)。初期の採用企業は10社で、2016年度末までに100社以上での採用を目指す

 主力事業のポータルサイト「goo」も、「(使えば)使うほどフィットするポータルサイト」を目指し、12月7日に全面リニューアルを実施した。「ひとりひとりに価値のある情報を出す(提供する)」ために、閲覧に使うデバイスやユーザーの利用内容(検索キーワード、goo内のコンテンツ閲覧状況など)からコンテンツの表示順序を自動変更する機能をはじめ、複数の新機能を搭載している。

ユーザーの好みに合わせて……ニュースの表示順序を変えたり、お勧めサービスを表示したりできる ユーザーの利用状況(写真=左)に合わせて、トップページの「マイニュース」の表示順序を変えたり、goo内のお勧めサービスを表示したりできるようになった(写真=右)

 技術・プラットフォーム面では、防災ソリューションの自治体や企業への提供を進めているほか、訪日外国人向けの観光情報のプラットフォーム作りも進めている。

 同社を含むNTTグループと、JTBグループが実証実験していた訪日外国人向けの観光情報サービスは、5月1日から「Japan Travel Guide」として正式な商用サービスとなった。実証実験中は福岡の観光情報に限られていたが、商用サービス化に当たっては九州全域に対応し、10月からは札幌市を皮切りに全国対応が進んでいる。

 同社では、2016年1月に訪日中国人向けのオンラインショッピングサービスを開始する。事前に商品をWebサイトから注文すると、日本からの帰国直前に空港で受け取れるというもので、開始当初は東京国際空港(羽田空港)での受け取りに対応する。今後、成田国際空港や関西国際空港での受け取りにも対応する予定だ。

訪日外国人向けアプリは正式サービスに訪日中国人向けのショッピングサービスも開始 実証実験を続けてきた訪日外国人向け観光情報サービスは、「Japan Travel Guide」として正式サービス化し、対応エリアも拡大中(写真=左)。2016年1月には、訪日中国人向けのショッピングサービスも開始する(写真=右)

 開発プロセスの支援面では、NTTグループで技術研究を行い、gooで運用しているクラウドコンピューティングプロジェクト「OpenStack」のノウハウを、ソリューションとして提供する。

OpenStackのソリューションをサービスとして提供 OpenStackのソリューションをサービスとして提供

「gooのスマホ」の第5弾は女性がターゲット

NTTレゾナントの鈴木氏 NTTレゾナントの鈴木氏

 端末、SIM、アプリ、アフターサポートを「四位一体」で提供するために登場した「gooのスマホ」。ポータルサービス部門長の鈴木基久氏によると、第1弾として登場した「g01」「g02」「g03」については、どの機種についても「おかわり状態」、つまり初期計画以上の販売数となったようだ。

 10月20日に発表された「g04」は、スマホへの移行をより促進するために「国産メーカー」「防水、おサイフケータイ、赤外線通信、3日間の電池(バッテリー)持ち」「アプリのフォルダリング(ホームアプリ上のグルーピング)」にこだわって開発した。この機種も、初速(初期の売れ行き)は好調であるという。

シャープ製の「g04」 シャープ製の「g04」は、スマホへの移行をより進めるために開発された。ちなみに、g04の本来の発表予定日は「今日」(12月8日)だったようだ

 しかしながら、gooのスマホは、ポータルサービスと比較して女性のユーザー比率が低い。SIMロックフリースマホ全体を見渡しても、特に20代女性の割合がとても低い。

 「SIMフリースマホは男性だけのものであってよいのか」という命題に対し、女性がより重視する傾向にある「色・デザイン」「カメラ・自撮り性能」「(ストレージの)記憶容量」の3点を重視して開発されたのがg05である。

goo全体と、gooのスマホの男女構成比SIMロックフリースマホ全体の男女構成分布 gooのスマホの利用者は、goo利用者よりも男性比率が高い(写真=左)。SIMロックフリースマホ全体の利用者構成比を見ても、男性が多い(写真=右)

 色・デザイン面では、2.25ミリのベゼル幅で5型画面を搭載しつつも女性の片手でも持ちやすいサイズ感を実現している。また、両面のガラスコーティングと2トーン加工のアルミフレームによって、デザインの上質感を演出している。とりわけ、シトラスカラーは「とてもきれい」(鈴木氏)に仕上がっており、g05のメインカラーにもなっている。

g05のシトラス(正面)g05のシトラス(背面) g05のシトラスカラーは色合いが良く、メインカラーにもなっている

 カメラ・自撮り性能面では、イン・アウトともに1300万画素のCMOSセンサーを採用し、インカメラにもフォトライトを搭載した。インカメラでは、最近のトレンドを反映して顔検出オートフォーカス機能と、「美肌モード」も搭載している。アウトカメラにはレーザー光線を使った位相差式オートフォーカスを採用し、より高速なピント合わせが可能となっている。

インカメラアウトカメラ インカメラ(写真=左)、アウトカメラ(写真=右)ともに1300万画素のセンサーを採用。インカメラにはLEDフラッシュライトも付いている

 ストレージは、32GBの容量を確保した。これは、女性はオンラインストレージよりも端末に写真をため込む傾向にあることを反映しているという。

 また、セキュリティにも力を入れており、g03の眼球認証(目の毛細血管をインカメラで撮影する方式)に加えて、指紋認証に新たに対応した。指紋センサーは、ホームキーと一体化しており、自然な動作でロック解除できる。

指紋センサーはホームキーと一体化 新たに搭載した指紋センサーは、ホームキーと一体化

 これだけ女性の声を聞いて開発したg05だが、女性は「SIMフリーの情報を調べられない」という理由でSIMロックフリースマホを選択できないという現実も調査から見えてきたという。そこで、「男性の力を借りて」購入できるように、「g05紹介キャンペーン」を実施する。このキャンペーンでは、紹介した側にはgooポイントが1000ポイント(1ポイント=1円相当)付与されるほか、買った側もデコシールか保護フィルムがプレゼントされる。

 また、オンライン販売だけでなく、ビックカメラグループ(ビックカメラ、ソフマップ、コジマ)とヨドバシカメラなどの店頭でもg05を販売する。店頭販売では、店員からの説明が聞けるので、「ひとり」でも安心して端末が買える。現に、g01・g02・g03は店頭販売を始めてから売れ行きがさらに好調になったという。

「g05紹介キャンペーン」と販路 「g05紹介キャンペーン」と実店舗販売で、女性ユーザーの拡大を狙う

 g05は、今までのSIMロックフリースマホが「苦手」としてきた女性ユーザーの拡大を意識したモデルである。端末は非常にバランス良くまとまっていて、デザインの上質感もある。ホワイトとブラックは、男性が持っても違和感は全くない仕上がりとなっている。

 g05を取り扱う家電量販店では、実機の展示も予定している。ITmedia Mobileの読者の皆さんも、家族や知人を連れてg05を体験しに行ってはどうだろうか。

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