KDDIが発表した子供向けケータイ「mamorino」の最新モデルは、シリーズ初のスマートウォッチ。「mamorino Watch」はIPX5/IPX7の防水、IP5Xの防じん、耐衝撃性能を備えており、通話、SMS、歩数計、ストップウォッチなども利用できる。ターゲットは未就学〜小学生の児童。発売は3月下旬を予定している。
前モデルの「mamorino3」が2013年1月に発売されてから約3年がたつが、なぜ従来と同様のケータイ型ではなく、腕時計型のモデルを採用したのだろうか。
今回のmamorino Watchも、石けんで洗えるスマートフォン「DIGNO rafre」と同様、KDDIのママ社員が企画をしたもので、実際に子育てをする中で気付いた意見が盛り込まれている。
KDDI 商品・CS統括本部 プロダクト企画本部 プロダクト企画1部の山下明子氏は、「小さいのはうれしいけど、置き忘れてなくしてしまうのでは」「子供が電話に出ず、肝心なときにつながらないのでは」「そもそも持ち歩いてくれるのか」「ネックストラップだと端末をぶつけて壊してしまう、首が引っ張られて危ないのでは」というケータイ型に対する声があり、購入をためらう人が多いことを紹介。腕時計型にすることで、こうした不安を解消できると考えた。
キッズ向けのスマートウォッチといえば、ドコモが2015年4月に発売した「ドコッチ 01」があるが、通話機能は備えていない。「親子が最も必要としているコミュニケーションができないことは、親のニーズを満たしていないのでは」(山下氏)と考え、mamorino Watchには通話機能を搭載し、VoLTEにも対応させた。音声認識にも対応し、オリジナルのキャラクターに向かって「ママに電話」などと話しかけて発信もできるので、子供が楽しみながら積極的に電話をかけてくれることも期待される。なお、LTEの対応ネットワークは800MHz帯(Band18)のみ。
SMSの送信もできるが、「子供がメールを読んだのかが分からないという声が多かった」(山下氏)ことから、子供がメッセージを読んだら、「読みました」と自動で返信する機能も加えた。定型文で返信をしたり、定型文を編集したりもできる。
安心・安全面にも配慮。歩きながら操作をしないよう、mamorino Watchを持って歩くと「あるきながらつかうとあぶないです」というアラートを画面に出し、歩いているときは操作できないよう工夫した。
自分の居場所を教えられる「安心ナビ」、緊急連絡先に自動で保護者に居場所を通知しながら音声発信も行う「防犯ブザー」、保護者から離れるとアラームが鳴る「はなれたらアラーム」も利用可能。保護者のスマートフォンにインストールした「mamorino Watchナビ」アプリから、mamorino Watchのアドレス帳の編集や各種設定、はなれたらアラームの設定がなどできる。
mamorino Watch専用プランも用意し、月額998円(税別)で家族間 (24時間)、au携帯電話宛 (1時〜21時) の国内通話が無料で利用できる。mamorino Watch本体の価格は未定だが、「べらぼうな価格ではニーズに合わないと考えているので、家計にあまり負担をかけない料金を目指して検討している」(KDDI 理事 商品・CS統括本部 プロダクト企画本部長の小林昌宏氏)とのこと。
実際にmamorino Watchを触れてみたところ、大人にとってもそれなりに大きいと感じたが、ケータイの代わりになること、なくしにくさなどを考えると、ちょうどよいサイズなのかもしれない。本体の形状も、当初はスクエアなものだったが、やさしいデザインになるよう丸形に変更したそうだ。
発表会場にいた子供のモデルたちの中には、mamorino Watchに向かって「ママに電話」を連呼していた子もいたそうで、この音声認識も楽しく使うことに貢献してくれそう。「妖怪ウォッチ」効果も手伝い、腕時計をすることに違和感を覚えない子供は多いのかもしれない。ちなみにmamorino Watchはバンドを取り外し、付属のペンダントも付けられるので、腕に付けるのが煩わしければ、カバンなどに装着させるとよい。
mamorino Watchは、スマートフォンを持たせるのはハードルが高いけど、子供の安全が心配……という人にマッチした製品といえそうだ。
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