3万円台で要注目のSIMフリースマホを徹底比較――スタミナ&ベンチマークテスト編 最新スマートフォン徹底比較(2/3 ページ)

» 2016年03月16日 10時00分 公開
[島徹ITmedia]

ベンチマーク性能はKIWAMIが圧倒的だが注意点も

 ベンチマークテストは、CPUや実際のアプリ動作、グラフィックスなどの性能を総合的に評価する「AnTuTu Benchmark(バージョン6.0.4)」と、3Dグラフィックスの性能を評価する「3DMark Ice Storm Unlimited」で計測した。測定は連続3回行い、最高値を比較した。

 ただし、AnTuTuはバージョン6に上がったことで、スコアの計測方法が以前の比較で利用したバージョン5とは大幅に変わっており、直接比べることができない。そこで、今回は他2機種のテスト結果を加えている。

 1つは、Huawei製「honor6 plus」の計測結果だ。Android OS 4.4と5.1の2種類を計測している。このモデルはそこそこ高性能だが、2015年末からセール販売が続いており、3月15日現在ではHuaweiのVモールや楽天モバイルでは2万9800円(税別)で購入できる。

 また、一般的なハイエンド端末の指標として少し前のモデルだが、ソニーモバイルコミュニケーションズのドコモ向け端末「Xperia Z3 Compact」の結果も加えた。

プロセッサとメインメモリ
機種名 OS プロセッサ メインメモリ
KIWAMI Android 5.1 MediaTek MT6795(2.0GHz/8コア) 3GB
ZenFone Selfie Android 5.0 Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/4コア+1.0GHz/4コア) 2GB
Huawei GR5 Android 5.1 Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/4コア+1.2GHz/4コア) 2GB
IDOL 3 Android 5.0 Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/4コア+1.0GHz/4コア) 2GB
AXON mini Android 5.1 Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/8コア) 3GB
arrows M02 Android 5.1 Qualcomm Snapdragon 410 MSM8916(1.2GHz/4コア) 2GB
AQUOS SH-M02 Android 5.0 Qualcomm Snapdragon 400 MSM8926(1.2GHz/4コア) 2GB
honor6 Plus Android 4.4→5.1 HiSilicon Kirin 925(1.8GHz/4コア+1.3GHz/4コア) 3GB
Xperia Z3 Compact SO-02G Android 5.0 Qualcomm Snapdragon 801 MSM8974AC(2.5GHz/4コア) 2GB

SIMフリー
「AnTuTu Benchmark」のスコア
合計スコア 3D UX CPU RAM
KIWAMI 55371 14078 19167 16035 6091
ZenFone Selfie 31567 2630 12793 14018 2126
Huawei GR5 36729 2640 15868 14397 3824
IDOL 3 31883 2670 13285 13252 2676
AXON mini 36398 2724 14781 14647 4246
arrows M02 24293 311 10725 10591 2666
AQUOS SH-M02 23538 253 9715 9071 4499
honor6 plus(4.4) 45729 9120 12476 19900 4233
honor6 plus(5.1) 52939 10347 17731 20561 4305
Xperia Z3 Compact SO-02G 48757 3583 18742 21574 4858

SIMフリー
「3D Mark Ice Storm Unlimited」のスコア
スコア
KIWAMI 16557
ZenFone Selfie 7348
Huawei GR5 8020
IDOL 3 7885
AXON mini 8368
arrows M02 4408
AQUOS SH-M02 4733
honor6 plus(4.4) 14247
honor6 plus(5.1) 13804
Xperia Z3 Compact SO-02G 19468

 AnTuTuの測定結果を見ると、CPUの動作周波数が2.0GHzと高いKIWAMIがトップだ。3DMarkの結果でも7機種の中ではKIWAMIがトップになっている。実際、アプリのインストールなどやや重たい処理も、他の6機種よりも確かに速い。

 だが、AnTuTuの内訳をよく見ると、KIWAMIとhonor6 Plusの3Dスコアが高く、他のQualcomm製CPUを搭載したモデルの3Dスコアが極端に低い。3DMarkの結果とも比較するとより分かりやすいだろう。Snapdragon 810など最新のハイエンドCPU搭載モデルではAnTuTuでも順当なスコアが出るのだが、ミドルクラスのスマホのベンチマークではAnTuTuの3Dスコアは差し引いて見た方がよさそうだ。実際のアプリの処理に近い3Dグラフィック性能は3DMarkのスコアを参考にしてほしい。

 一般的なアプリの動作速度についてAnTuTuのCPUスコアとUXスコアを中心に見ると、KIWAMIは確かに高速だ。だが、Snapdragon 615搭載モデルの動作もス ムーズだ。SNSやブラウザーの動作はもちろん、アプリ切り替えの速度も最新の ハイエンド端末と比べてあまり違いを感じられない。ローエンド寄りのarrows M02やAQUOS SH-M02はアプリの操作は快適でも、アプリの切り替えやインス トール、起動などでやや遅さを感じた。

 3Dグラフィック性能については、短時間ながら、高負荷なグラフィックス表示に加えてタッチ操作への高速な処理が要求される「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」でも、3D軽量モードの高難度曲で動作を少しテストしてみた。この条件で快適に遊べるなら、ほとんどのスマホ向けゲームは快適に動く。

 結果、この条件でコマ落ちしながらもギリギリ遊べるのは、意外にもHUAWEI GR5と参考のXperia Z3 Compactだった。グラフィック表示だけなら3DMarkの結果通り、KIWAMIやhonor6 Plusのコマ落ちが少ないのだが、KIWAMIは効果音が再生されず、honor6 Plusは効果音の再生が遅いという問題があった。

 ただ、KIWAMIとhonor6 Plusはタッチへの反応がやや芳しくないなど、総合的に見ると音楽ゲームやアクションゲームには向いていない印象だ。HUAWEI GR5と同じCPUのAXON miniは、画面に表示される譜面が増えるとコマ落ちと表示遅延が激しい。手頃なサイズで画面の発色が良く、タッチ操作への反応も高速なだけにもったいないところだ。

 処理性能について総合的に見ると、KIWAMIは確かに高速だが、テスト中もシャットダウンを起こすなど、やや動作が不安定な点が気になった。安定性とそこそこの処理性能を求めるなら、HUAWEI GR5やAXON mini、ZenFone Selfie、IDOL 3を選んだ方がいいだろう。arrows M02とAQUOS SH-M02もベンチマークスコアは低いが、SNSやブラウザ、動画再生など通常の操作であまり遅さは感じない。若干の高速化よりも、日本人向け機能の使い勝手を優先するなら、これらの端末を選んで何ら問題はない。

 なお、3DCGのゲームを高画質かつ快適に遊びたいという点で見るなら、今回の7機種はやや力不足だ。次回取り上げる、より高額なハイエンドのSIMロックフリースマホから選ぶことをオススメする。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年