ベンチマークテストは、CPUや実際のアプリ動作、グラフィックスなどの性能を総合的に評価する「AnTuTu Benchmark(バージョン6.0.4)」と、3Dグラフィックスの性能を評価する「3DMark Ice Storm Unlimited」で計測した。測定は連続3回行い、最高値を比較した。
ただし、AnTuTuはバージョン6に上がったことで、スコアの計測方法が以前の比較で利用したバージョン5とは大幅に変わっており、直接比べることができない。そこで、今回は他2機種のテスト結果を加えている。
1つは、Huawei製「honor6 plus」の計測結果だ。Android OS 4.4と5.1の2種類を計測している。このモデルはそこそこ高性能だが、2015年末からセール販売が続いており、3月15日現在ではHuaweiのVモールや楽天モバイルでは2万9800円(税別)で購入できる。
また、一般的なハイエンド端末の指標として少し前のモデルだが、ソニーモバイルコミュニケーションズのドコモ向け端末「Xperia Z3 Compact」の結果も加えた。
機種名 | OS | プロセッサ | メインメモリ |
---|---|---|---|
KIWAMI | Android 5.1 | MediaTek MT6795(2.0GHz/8コア) | 3GB |
ZenFone Selfie | Android 5.0 | Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/4コア+1.0GHz/4コア) | 2GB |
Huawei GR5 | Android 5.1 | Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/4コア+1.2GHz/4コア) | 2GB |
IDOL 3 | Android 5.0 | Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/4コア+1.0GHz/4コア) | 2GB |
AXON mini | Android 5.1 | Qualcomm Snapdragon 615 MSM8939(1.5Ghz/8コア) | 3GB |
arrows M02 | Android 5.1 | Qualcomm Snapdragon 410 MSM8916(1.2GHz/4コア) | 2GB |
AQUOS SH-M02 | Android 5.0 | Qualcomm Snapdragon 400 MSM8926(1.2GHz/4コア) | 2GB |
honor6 Plus | Android 4.4→5.1 | HiSilicon Kirin 925(1.8GHz/4コア+1.3GHz/4コア) | 3GB |
Xperia Z3 Compact SO-02G | Android 5.0 | Qualcomm Snapdragon 801 MSM8974AC(2.5GHz/4コア) | 2GB |
合計スコア | 3D | UX | CPU | RAM | |
---|---|---|---|---|---|
KIWAMI | 55371 | 14078 | 19167 | 16035 | 6091 |
ZenFone Selfie | 31567 | 2630 | 12793 | 14018 | 2126 |
Huawei GR5 | 36729 | 2640 | 15868 | 14397 | 3824 |
IDOL 3 | 31883 | 2670 | 13285 | 13252 | 2676 |
AXON mini | 36398 | 2724 | 14781 | 14647 | 4246 |
arrows M02 | 24293 | 311 | 10725 | 10591 | 2666 |
AQUOS SH-M02 | 23538 | 253 | 9715 | 9071 | 4499 |
honor6 plus(4.4) | 45729 | 9120 | 12476 | 19900 | 4233 |
honor6 plus(5.1) | 52939 | 10347 | 17731 | 20561 | 4305 |
Xperia Z3 Compact SO-02G | 48757 | 3583 | 18742 | 21574 | 4858 |
スコア | |
---|---|
KIWAMI | 16557 |
ZenFone Selfie | 7348 |
Huawei GR5 | 8020 |
IDOL 3 | 7885 |
AXON mini | 8368 |
arrows M02 | 4408 |
AQUOS SH-M02 | 4733 |
honor6 plus(4.4) | 14247 |
honor6 plus(5.1) | 13804 |
Xperia Z3 Compact SO-02G | 19468 |
AnTuTuの測定結果を見ると、CPUの動作周波数が2.0GHzと高いKIWAMIがトップだ。3DMarkの結果でも7機種の中ではKIWAMIがトップになっている。実際、アプリのインストールなどやや重たい処理も、他の6機種よりも確かに速い。
だが、AnTuTuの内訳をよく見ると、KIWAMIとhonor6 Plusの3Dスコアが高く、他のQualcomm製CPUを搭載したモデルの3Dスコアが極端に低い。3DMarkの結果とも比較するとより分かりやすいだろう。Snapdragon 810など最新のハイエンドCPU搭載モデルではAnTuTuでも順当なスコアが出るのだが、ミドルクラスのスマホのベンチマークではAnTuTuの3Dスコアは差し引いて見た方がよさそうだ。実際のアプリの処理に近い3Dグラフィック性能は3DMarkのスコアを参考にしてほしい。
一般的なアプリの動作速度についてAnTuTuのCPUスコアとUXスコアを中心に見ると、KIWAMIは確かに高速だ。だが、Snapdragon 615搭載モデルの動作もス ムーズだ。SNSやブラウザーの動作はもちろん、アプリ切り替えの速度も最新の ハイエンド端末と比べてあまり違いを感じられない。ローエンド寄りのarrows M02やAQUOS SH-M02はアプリの操作は快適でも、アプリの切り替えやインス トール、起動などでやや遅さを感じた。
3Dグラフィック性能については、短時間ながら、高負荷なグラフィックス表示に加えてタッチ操作への高速な処理が要求される「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」でも、3D軽量モードの高難度曲で動作を少しテストしてみた。この条件で快適に遊べるなら、ほとんどのスマホ向けゲームは快適に動く。
結果、この条件でコマ落ちしながらもギリギリ遊べるのは、意外にもHUAWEI GR5と参考のXperia Z3 Compactだった。グラフィック表示だけなら3DMarkの結果通り、KIWAMIやhonor6 Plusのコマ落ちが少ないのだが、KIWAMIは効果音が再生されず、honor6 Plusは効果音の再生が遅いという問題があった。
ただ、KIWAMIとhonor6 Plusはタッチへの反応がやや芳しくないなど、総合的に見ると音楽ゲームやアクションゲームには向いていない印象だ。HUAWEI GR5と同じCPUのAXON miniは、画面に表示される譜面が増えるとコマ落ちと表示遅延が激しい。手頃なサイズで画面の発色が良く、タッチ操作への反応も高速なだけにもったいないところだ。
処理性能について総合的に見ると、KIWAMIは確かに高速だが、テスト中もシャットダウンを起こすなど、やや動作が不安定な点が気になった。安定性とそこそこの処理性能を求めるなら、HUAWEI GR5やAXON mini、ZenFone Selfie、IDOL 3を選んだ方がいいだろう。arrows M02とAQUOS SH-M02もベンチマークスコアは低いが、SNSやブラウザ、動画再生など通常の操作であまり遅さは感じない。若干の高速化よりも、日本人向け機能の使い勝手を優先するなら、これらの端末を選んで何ら問題はない。
なお、3DCGのゲームを高画質かつ快適に遊びたいという点で見るなら、今回の7機種はやや力不足だ。次回取り上げる、より高額なハイエンドのSIMロックフリースマホから選ぶことをオススメする。
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