2016年の格安SIM市場は、オンライン中心の展開から、一般ユーザーに向けた店頭での展開がより活発化するとみられている。量販店でも、大手通信事業者のカウンターは総務省による規制の影響で人影がまばらになる一方、SIMロックフリースマホと格安SIMコーナーは徐々に注目が集まりつつある。
こうした状況を受け、国内外のさまざまなメーカーが日本向けSIMロックフリー市場に参入し、2015年も多くの機種が登場した。今回の記事ではその中でも、売れ筋といえる3万円台(税別)で購入できるミドルクラス7製品のスペックや性能を比較していく。前編となる今回の記事では各機種の特徴やスペックについて比較、後編では処理性能、バッテリーのベンチマーク、対応ネットワークについて掲載する。なお、本稿で紹介している価格はいずれも税別となる。
今回取り上げる7機種は、FREETEL「KIWAMI」、ASUS「ZenFone Selfie」、Huawei「HUAWEI GR5」、ALCATEL ONETOUCH「IDOL 3」、ZTE「AXON mini」、富士通「arrows M02」、シャープ「AQUOS SH-M02」だ。まずは各機種の概要について見ていこう。
日本人の設計と品質をウリとする、FREETEL(プラスワン・マーケティング製)のハイエンドモデル。今回取り上げる製品の中では、6型WQHD(1440×2560ピクセル)と、プロセッサにMediaTek製のMT6795(2.0GHz/8コア)、カメラは約2100万画素といずれも最高スペックだ。さらに指紋認証センサーも搭載する。画面サイズはiPhone 6s Plusの5.5型よりもさらに一回り大きく、操作は両手持ちが前提となる。
スペックは今回の7機種のなかで突出しているが、その一方で、操作中に突然シャットダウンしたり、ゲームの音声が途切れたりするなど、数年前の不安定なAndroidスマホを思わせる動作も見られた。新興メーカー初のフラッグシップ機だけに、今後の改善に期待したい。
セルフィー(自分撮り)という名の通り、インカメラにもアウトカメラと同等の約1300万画素カメラ+レーザーオートフォーカスを搭載したモデル。デュアルLEDフラッシュもアウトカメラとインカメラ両方に搭載されている。
価格は3万円台前半と、5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)モデルとしては低価格だ。ハードウェアのセンサーキーを搭載しているので、他の5.5型モデルと比べてソフトキーを表示せずに済む分、より多くの情報を表示できる。プロセッサはQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/4コア+1.2GHz/4コア)を搭載。動画再生やSNSはもちろん、処理の軽いゲームも快適に遊べる。
5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)液晶と指紋認証センサーを搭載して3万円台半ばとコストパフォーマンスが高いモデル。さらに、背面にはヘアライン加工が施されたアルミニウムマグネシウム合金を採用。見た目や質感が良いうえに158グラムと軽量だ。
液晶は明るく鮮やかで、カメラの画質も良好。プロセッサはQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/4コア+1.2GHz/4コア)を搭載。ビジネス用途には十分な性能を持つ。Wi-Fiが2.4GHzのみなど細かい機能は省かれているが、ビジネス向けの大画面スマホを求める人にとっては、価格と性能のバランスの取れた魅力的なモデルとなっている。
中国のTCLグループ傘下のTCLコミュニケーションが「ALCATEL ONETOUCH」ブランドで販売するスマートフォン。5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)モデルながら、厚さ7.4ミリ、重量約141グラムで、他のモデルとは一線を画す薄さと軽さを実現。プロセッサは他の5.5型モデルと同じQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/4コア+1.0GHz/4コア)を搭載する。
本体前面には、JBL音質認証を取得したフロントステレオスピーカーを搭載。薄型軽量のボディからは考えられない、クリアかつ広がりのある音で動画やゲームを再生できた。さすがに低音の迫力は控えめだが、動画をよく見る人は要注目だ。一方、付属のJBL製カナル型イヤフォンは、低音を強調した2000〜3000円前後の製品の音といった印象。既にこだわりのイヤフォンを持っているなら、そこまで期待しない方がいいだろう。
5.2型の色鮮やかなフルHD(1080×1920ピクセル)有機ELを採用した高画質モデル。黒の締まりがよく、特にブルーからグリーンにかけた海やネオンの色はくすみがなく鮮やか。プロセッサはQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/8コア)で、一般的なアプリは快適に動く。一方、有機ELを生かせる高画質な3DCGゲームに向いていないのはやや残念。
重量は今回の7機種では最軽量の約132グラムを実現。背面パネルが金属で質感が良く、指紋認証センサーも搭載。約1300万画素カメラの画質も良好だ。薄型軽量モデルを求めるビジネスユーザーにうってつけの製品といえる。
防水・防じん、耐衝撃やおサイフケータイに対応した国内メーカー製のスマートフォン。ドコモやY!mobileの回線を利用する格安SIMに加えて、au回線を利用するmineoやUQmobileの格安SIMにも対応。さらに、高音質なVoLTE通話も利用できる。
価格は3万円台前後と手頃だが、プロセッサはQualcomm製Snapdragon 410 MSM8916(1.2GHz/4コア)なので処理性能はあまり期待できない。ローエンドの高機能モデルといった方がいいだろう。だが、簡易留守電やアドレス帳登録でのふりがな自動入力など、海外メーカー製にはない国内メーカーならではの使い勝手の良さがある。通話やSNS、ブラウザー利用が中心なら多くの人にオススメしやすい端末だ。ホームUIは独特な操作性の「Leaf UI」と、Android標準に近い「NX!ホーム」の2種類を搭載する。
防水やおサイフケータイに対応した、国内メーカー製モデル。VoLTEの高音質通話も利用できる。簡易留守電話やアドレス帳など細かい部分は日本メーカー製らしく使いやすい。だが、プロセッサはQualcomm製Snapdragon 400 MSM8926(1.2GHz/4コア)と低スペック。ホームUIは独自の「Feel Home」と、ほぼAndroid標準の「Google Nowランチャー」の2種類を搭載する。
本体価格は量販店だと4万円台後半とかなり高額だが、楽天モバイル「SH-RM02(写真はSH-RM02)」や、NTTコムストアの「gooのスマホ g04」など、MVNO事業者の限定カラーモデルなら3万円台後半で購入できる。同じ国内メーカー製のarrows M02との違いは、カメラが約1300万画素で画質が良くキャップレス防水だが、au回線のSIMには非対応といったところだ。
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