MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する格安SIMサービスは、2014年後半から2015年前半にかけて、SIMロック解除の義務化やヨドバシカメラやビックカメラといった大手量販店の本格的な取り扱いが始まったことに加え、イオンスマホや楽天モバイルといった他業種からの本格的な参入が増えてきた。
この流れのなか、一般の利用者がSIMカード契約と一緒に購入できるSIMロックフリースマートフォンへの需要が創出され、これまでSIMロックフリースマートフォンを日本向けに販売してきたASUSやHuaweiなどに加えて、国内メーカーからも複数のスマートフォンが販売され始めた。
結果、量販店の店頭や各MVNO事業者の販売ラインアップには、キャリアが販売するモデルに匹敵するハイエンドモデルや、低価格で高性能な高コストパフォーマンスモデルはもちろん、高画質カメラや防水などの付加価値で勝負する端末も並ぶようになってきた。結果、利用者の選択肢は大きく広がりつつある。
今回は、2015年前半に発売されたLTE対応かつ注目度の高いSIMロックフリースマートフォンのスペックや性能を比較していく。取り上げるのはASUSの「ZenFone 2」、Huaweiの「honor6 Plus」と「HUAWEI P8lite(以下、P8lite)」、NTTレゾナントの「g03(ZTE Blade S)」、京セラの「S301」、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia J1 Compact」だ。前編では、基本的なスペックや各機種の特徴、スペック表では読み取れない画面の視認性や持ちやすさについてチェックした。
まずは各機種の簡単な特徴を紹介していく。なお、本稿で紹介している価格はいずれも税別。
ASUSが2014年に投入した「ZenFone 5」は、低価格かつ十分な性能の高コストパフォーマンスで人気モデルとなった。後継のZenFone 2は5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)ディスプレイと1300万画素カメラを搭載する、3万円台後半からの進化版だ。
ラインアップはIntel製プロセッサにメインメモリを4Gバイト搭載した上位モデルと、メインメモリ2Gバイトの下位モデルを用意。ストレージ容量の違いを合わせて最大5モデルとなる。「ATOK」のプリインストールや、「Quick Charge 2.0」互換の急速充電対応など、細かい機能も充実している。
800万画素カメラを2つ搭載し、一眼デジカメふうのボカしを生かした写真を撮影可能。インカメラも800万画素で高画質。ディスプレイにはジャパンディスプレイ製IPS-NEO方式の、高画質な5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)液晶を採用。カメラとディスプレイの表示画質にこだわったモデルだ。
プロセッサにはHiSilicon製の8コア(1.8GHz+1.3GHz)を採用し、メインメモリも3Gバイト搭載と処理性能も高い。バッテリーも3600mAhと、今回比較した6機種の中では最大容量だ。単体での販売はHuaweiのネット通販「Vモール」限定となる。楽天モバイルのSIM契約とセットでも購入可能だ。
Huawei製の最新SIMロックフリースマートフォン。3万円台前半という低価格ながら8コアプロセッサや1300万画素カメラを搭載し、コストパフォーマンスに優れたモデルとなっている。
5型のHD(720×1280ピクセル)液晶はタッチ操作への反応がよく、厚さ7.7ミリ、重量131グラムと薄型軽量だ。内蔵スピーカーは薄型ボディにもかかわらず音割れが少なく、高音から低音までバランスの取れた音を再生できる。
NTTレゾナントが販売する、gooブランドを冠する「gooのスマホ」最上位モデル。NTTコミュニケーションズの「NTTコムストア」でOCN モバイル ONEのSIMとセットで販売するほか、ヨドバシカメラやビックカメラなどでも販売されている。
P8liteと同価格帯で5型HD表示(720×1280ピクセル)液晶に1300万画素カメラ、Qualcomm製の8コアプロセッサ搭載などスペックもかなり近い。Wi-Fiは5GHzのIEEE802.11acにも対応。ヘッドフォンのオーディオ出力用に旭化成エレクトロニクス社のオーディオDAC「AK4375A」を搭載する。
イオンの「イオンスマホ」にて2万9800円で販売されている、防水・防じん・耐衝撃対応の5型ディスプレイ搭載スマートフォン。
京セラ製スマートフォンの特徴である、大きい文字や見やすいアイコンを採用したメニュー画面や、ケータイユーザー向けのシンプルなホーム画面も搭載。アウトドア性能だけでなく、シンプルで使いやすいスマートフォンを求める層にも向いた端末だ。
イオンの「イオンスマホ」やフュージョン・コミュニケーションズの「楽天モバイル」でおもにSIMの契約とセットで販売されている4.3型ディスプレイのコンパクトなスマートフォン。
デザインと性能は、以前ドコモから販売されていた「Xperia A2」に近い端末で、2070万画素カメラやおサイフケータイに対応する。ただし、おサイフケータイは対応サービスが限られている点は注意が必要だ。特に(現時点で)モバイルSuicaを利用できないのは残念なところ。
デザインはXperiaシリーズを踏襲したもので質感が高く、ホーム画面やPOBox Plusの日本語入力もほぼ同じものを搭載。以前にXperiaを使ったことがある人ならすぐに使いこなせる。防水・防じん機能や伝言メモといった日本メーカーならではの機能も搭載する。
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