DSDS+au VoLTEが強みに、高価格帯でも勝負――ASUSに聞く「ZenFone 3」シリーズ:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)

» 2016年12月28日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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日本のZenFone 3は高い?

―― ZenFone 3に関しては、内外価格差も一部で話題になりました。こちらに関してはいかがでしょうか。

リー氏 そもそも弊社としては、さまざまな国で商品を出していて、価格設定も国によってまちまちです。日本においてそういったお声を以前からいただいていたことは、承知しています。ただ、スペックと価格帯の設定を見ていくと、全てが高いというわけではなく、バランスを取っています。

出浦氏 確かにZenFone 3は台湾と比べると高いのですが、そうでない国もあり、機種によっては日本の方が安いこともあります。

リー氏 ZenFone 3 Laserは海外の方が高かったりもします。

村上氏 ローカライズをきっちりやるために、時間をかなり割いたことも大きいです。発売と同時にやることを考えると、その点が影響していることもゼロではありません。一方で、ローカライズをしないと、SIMフリー市場では厳しくなると思っています。

ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)は「ブレークした」

―― 確かに、単に並行輸入しているわけではないですからね。流通コストもかかりますし。ちなみに、あの価格でもZenFone 3 Deluxeの最上位モデルが完売し、予約をストップしていましたが、これはめちゃくちゃ売れたのか、そもそもの台数が少なかったのか、どちらでしょうか。

ASUS 想定を超える予約が集まったため、一時予約を停止した「ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)」(右側)(現在は再開)

出浦氏 よく聞かれますが、決して台数が少なかったというわけではありません。十分な数を用意していましたが、私たちの予想より売れてしまいました。

リー氏 弊社にとっても、8万9800円(税別)の商品にここまでお客さまが来るというのは予想外で、うれしい悲鳴でした。上を求める方は、いくら使っても求めるということだったのだと思います。

阿部氏 価格設定はかなり強気でしたが、いざフタを開けたら大ブレークといったところです。

―― やはりスペックでしょうか。

阿部氏 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)は、CPUに世界で一番早く「Snapdragon 821」を採用し、メモリも4GBが最高なところを6GBにして、まさに「性能怪獣」を体現しているモデルです。私のようなライトユーザーもいますが……。

―― えっ。阿部さんはライトユーザーなんですか(笑)。

阿部氏 そうですよ(笑)。私と違って、3Dグラフィックスをふんだんに使ったゲームをするユーザーもいて、例えば「デレステ」(アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ)をやる方はすごく高いスペックを求めます。そういう人たちは、他の人が持っていない端末を触りたいという欲求も高い。そういったギーク層には、かなり受け入れられたと思っています。

―― 逆に、さすがにMVNOで導入するところはほとんどありませんでしたね。

村上氏 多くはなかったですね。製品としては認めていただけたのですが、本当に売れるのか疑問を持たれていました。MVNOの場合、新規の契約がベースにありますが、この製品はどちらかといえば買い替えの方向けです。通信契約を取るというところだと、なかなか難しいところがありました。

低価格帯だけでなく、高価格帯でも勝負する

―― ZenFone 5から2年以上がたち、そろそろ機種変更需要も出てくるのではないでしょうか。

村上氏 確かに会社によっては、買い替えキャンペーンで端末だけの販売を始めているところもあります。また、SIMフリーの場合、1年ぐらいで変えたいというお客さまも多い。2万円前後の端末を購入した方は買い替えをしやすく、そこをどうするかはMVNOさんの悩みどころにもなっています。

―― ASUSというと、どちらかと言えば男性ユーザーだらけのイメージがありましたが、ZenFoneを出してからそこは変わりましたか。

テン氏 日本のユーザー登録ベースでは、ZenFone 5を出したときは弊社全体で男性が9なのに対して、女性は1でした。これが最近では、男性7、女性3になってきています。

出浦氏 昔からコアな方々はいましたが、徐々に一般層、女性層にも広がってきていると思います。そこにリーチするキャンペーンやプロモーションをしていかないと、SIMフリーの市場自体が伸びないですからね。また、MVNOさんと組ませていただいているのも大きいですね。それによって、弊社だけではリーチできなかった層に、アプローチができています。

村上氏 例えば、地方で頑張っているMVNOさんもいらっしゃいます。年配の方がお客さんで、そこにZenFoneを販売していただける。その企業(MVNO)が安心だから買おうという方も、徐々に増えています。例えば、ケーブルテレビのユーザーだと年配のお客さんが多く、定期的に訪問することで契約していただけることもあり、ジワジワと伸びています。もちろん大手MVNOも重要ですが、こういうユーザーは私たちではアプローチできないところです。

―― 年末ということで、最後にZenFoneにとって、2016年はどういう年だったかを振り返っていただけないでしょうか。

出浦氏 マーケティングの観点で言うと、2016年はZenFone Zoomから始まり、9月にZenFone 3シリーズで幕開けができました。ZenFone 3シリーズはデザインからカメラまで、全てを進化させ、「ワンランク上のぜいたく」を実現しています。市場も大きくなり、上から下まで売れるようになり、廉価帯はボリュームゾーンとして大きく飛躍した1年でした。この傾向は来年(2017年)も加速していく、と見ています。

阿部氏 技術的な観点では、au VoLTE対応を含め、他のメーカーに、日本向けのローカライズで差をつけることができました。これは今までもやってきたことですが、さらにレベルアップできたと思っています。

村上氏 前半、ZenFone Zoomが出て以降、かなり時間が空いてしまいましたが、ZenFone GoのVoLTE対応を挟むことで、再度われわれに目を向けていただけました。後半はZenFone 3シリーズで注目度が上がり、MVNOさんともいいビジネスができたと思っています。高価格帯のものが、きっちり受け入られたのも大きいですね。これなら、来年(2017年)以降も、低価格帯だけでなく、高価格帯で勝負できます。そこで勝負することで、SIMフリー市場だけでなく、スマホ市場全体で勝負できるようになりたい。キャリアモデルと比べてもそん色ないという勝負ができる、きっかけになればと思っています。

取材を終えて:日本に特化した製品にも期待

 この2年でMVNOユーザーの母集団は大きく増え、多様化も進んだ。結果として、売れ筋になる端末のバリエーションも広がり、メーカーにとってSIMロックフリースマートフォンを販売しやすい環境になった。ZenFone 3やZenFone 3 Deluxeは、まさにその市場にフィットした製品だったというわけだ。ASUSが、グローバルで高級路線にかじを切ったことも、功を奏した。

 一方で、ライバルも増えている。いち早く参入し、市場を切り開いてきたASUSも、うかうかしてはいられないだろう。インタビューでは、ローカライズに注力している姿勢を示していたが、市場が広がれば日本に特化した製品も作りやすくなる。特にシェアの高いASUSは、この点で先行者メリットがあり、FeliCaや防水への対応も含め、今後の展開にも期待が持てそうだ。

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