全体的に上昇傾向にある大手キャリア(MNO)のスマートフォンの実質価格。それを受けて、比較的安価なMVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービス(MVNOサービス)やSIMロックフリースマートフォン(SIMフリースマホ)に興味を持つ人は確実に増えている。
MMD研究所によると、2016年前半(1月から6月)は、MVNOサービスにおける「メイン利用者」「女性ユーザー」「音声通話プラン選択者」の比率がそれぞれ高まったという。MVNOサービスをMNOに並ぶ選択肢の1つとして捉える人が増えているのだ。
2016年全体を見通した時、この傾向に変化は無かったのだろうか。そして、2017年のMVNOサービスを取り巻く環境はどうなっていくのだろうか。同研究所が1月23日に開催したメディア向けMVNO勉強会「2016年の振り返りと2017年に向けて」において吉本浩司所長が行った報告を交えて見ていこう。
MMD研究所では、年次でスマホとケータイ(フィーチャーフォン)のユーザー比率を調査している。2016年の調査でのスマホ比率は、前年比2.4%増の64.8%となった。スマホ比率は依然として増加傾向にあるものの、その伸びは鈍化している。
年代別に見ると、10歳代(15〜19歳)の90%を筆頭に、そこから年代を重ねるごとにスマホ比率が低くなるが、50代まではスマホ比率が過半となっている。しかし、60歳以上ではスマホ比率が36.9%で、3分の1を少し超える程度となっている。
スマホの普及をより一層図るためには、60代以上のユーザー比率をもっと高める必要がありそうだ。
MVNOサービスは、MNOよりも月額料金が安価な傾向にあることから「格安SIM」と呼ばれることが多い。MMD研究所では、この言葉に関するファネル分析(サービス認知から継続利用までの各段階における離脱率調査)を定期的に行っている。
2017年1月に実施した最新調査では、格安SIMという言葉を知っている「認知」段階の人が83.3%、個別のサービス名(「OCN モバイル ONE」「IIJmio」など)まで知っている「サービス認知」段階の人が51.2%と、いずれも過去最高の比率となった。これについて、同研究所の吉本浩司所長は「(MVNO)各社がCMやプロモーション活動を積極的に行った結果ではないか」と分析する。
同じ分析においては、MVNOサービスの契約を検討する「利用検討」段階にある人が22.6%、実際に利用している「継続利用」段階の人が11.8%となっていることにも注目だ。MVNOが、MNOと並ぶ選択肢として視野に入るようになった様子が伺える。
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