MVNOサービスは、SIMカード単体での契約がしやすい。新品のSIMフリースマホ、中古のスマホや手持ちのスマホなど、端末を自由に選択できることが強みだ。一方で、ユーザー層の多様化で、SIMカードとスマホのセット販売も充実しつつある。
MMD研究所が2016年10月調査において端末の入手方法を尋ねたところ、SIMとのセット購入と量販店・通販での新品購入がそれぞれ約3分の1ずつ、手持ちの端末の利用者が約2割、中古購入が約1割となったという。音声プランの契約者に絞るとセット販売の比率は約4割となり、データプランの契約者に絞ると新品購入の比率が4割となる。
音声プランを契約しようとする人は、MNOと同じようにSIMカードと端末がバンドル(セット)されていることに安心を覚える傾向にありそうだ。一方、データプランを契約しようとする人は、SIM(回線契約)と端末を自由に組み合わせたいと思う人が多いといえそうだ。
MVNOサービスにおける音声プラン比率の高まりを受けて、今後は端末のセット販売がより重要になってくるものと思われる。
MVNOサービスのSIMカードは、長らくWebサイト上での販売が主流だった。しかし、ユーザー層の広がりに合わせて、実店舗での販売も広がりを見せている。
MMD研究所の2016年10月調査では、調査対象の6割程度がWebで、残りの4割程度が実店舗でMVNOサービスを購入(契約)したと回答している。販売は相変わらず過去の調査と比べると店頭での購入比率は確実に高まっている。
プラン別に見ると、音声プランではMVNOのWebサイトや直営・専門店での購入が多い傾向にあり、データプランではAmazon.co.jpを始めとするWeb通販サイトや家電量販店での購入が多い傾向にある。
店頭購入者に絞ってより詳細な調査をすると、音声プラン契約者はどのサービスを契約するか「決め打ち」して店舗に向かうという傾向も明らかとなった。
音声プランの比率が高まっていることと合わせて考えると、これからはよく下調べをした上で、店頭でMVNOサービスを“指名買い”する人も増えると考えられる。
各種調査の結果を受けて、吉本所長は上記のような流れが2017年も続くと予想している。筆者も、2017年は2016年の傾向がより強まる方向で進むと考えている。
ただし、MVNOの競争環境は厳しさを増している。MNOだけでなく、MNOが直接手がける格安ブランド(Y!mobile)や、MNOの子会社が手がけるMVNOサービス(UQ mobile)が勢いを増していることはもちろん、MVNO同士の競争も激しい。順風満帆に事が進むかといえば、そうとも言いきれない面もある。
このような環境で、MVNOは2016年をどう乗り切り、2017年をどう戦っていくのだろうか。今回のMVNO勉強会では、NTTコミュニケーションズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ビッグローブとケイ・オプティコムのMVNOサービス担当者も登壇し、各社の取り組みを紹介する時間もあった。その模様については、別途記事化する予定なので楽しみにしていてほしい。
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