―― Mate 9がここまで品不足になったのは、なぜでしょうか。
呉氏 実はMate 9は、P9よりも台数で3、4倍は用意していましたが、それでも間に合いませんでした。代理店から品切れの一報を受けたときは、われわれも慌ててしまったほどです。(社内の)営業には、最初の1週間で1日100通の電話が集中してしまいました。ただ、ずっと欠品が続くとブランドにも傷がつくため、全力を尽くして製品台数を確保しようとしてきました。その結果、現在、欠品は全体で見ると限られてきています。これからは、安定的に供給していきたいですね。
―― 1日100通も電話があると、仕事にならないですね……。それが仕事とはいえ。
呉氏 弊社には携帯電話のリテールを30年経験している社員がいますが、「こんな事態になったのは初めてだ」と言っていました。やはり優秀な製品は、ユーザー同士の口コミで評価が広がるのでしょう。スマートフォンは同質化しているといわれていますが、消費者が一番欲しいと思うポイントにしっかりアプローチできれば、売れるのだと思います。
―― Mate 9に関しては、やはり評価されているのがカメラで、ディスプレイ、バッテリーの持ちでしょうか。自分は実際に使ってみて、指紋センサーの認識精度の高さや、認識の速さに驚きました。
呉氏 まさにおっしゃった通りで、まずはカメラ機能です。Mate 9では、本当にユーザーが満足できる写真が撮れる。そして、充電も急速で、大容量バッテリーを搭載しています。毎日夜にコンセントを探さなくても済みますし、モバイルバッテリーを持ち歩く必要もありません。そして、指紋認証だけでなく、とにかくレスポンスが速い。われわれがアピールしているのは、(機械学習で)使えば使うほどスピードが上がるという特徴です。
バッテリーの持ちを実現できたのは、Emotion UI 5.0でユーザーインタフェース(UI)を最適化できたおかげでもあります。大容量バッテリーだけなら他のメーカーでも採用していますが、省電力機能を最適化し、なるべく長時間バッテリーが持つよう、UIを改善しました。
―― 2017年も、ハイエンドにフォーカスしてく予定でしょうか。
呉氏 弊社は戦略として、ハイエンドモデルだけでなく、よりすぐりの商品にフォーカスしています。よりすぐりというのは、ハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドまで含んでのことです。ローエンドといっても価格が低いだけで、ユーザーエクスペリエンスが悪かったり、品質が悪いという意味ではありません。日本市場においてはハイエンドモデル、ミドルレンジモデルには力を注ぎ続けますが、これからもいろいろな価格帯のものを出していきたいと考えています。
―― 日本市場に特有の機能に、どう対応していくのでしょうか。おサイフケータイや防水について、日本法人としてどう考えているのかを教えてください。
呉氏 おサイフケータイは、必須でしょう。私自身もおサイフケータイは持ち歩いていて、ほとんど全てをケータイで支払っています。決済機能は、これからますます、エンドユーザーの基本的なニーズになっていくと思っています。
防水に関しては、現時点では、日本市場に独特なニーズだと捉えています。ただ、2012年、2013年ごろの端末で防水仕様への対応はしていますし、昨年出したウェアラブル端末の「Fit」も防水で、技術的な問題はありません。
日本で生き残るためには、市場のニーズに応えられる製品を出さなければならない。今申し上げることができるのは、日本の事業者と協業しているというところまでになりますが、防水仕様のものが出る場合は、いち早くお知らせしたいと考えています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.