Androidに刷新しておサイフケータイにも対応 「NuAns NEO [Reloaded]」投入の狙いを読み解く石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)

» 2017年02月25日 10時44分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

おサイフケータイに対応し、他のSIMロックフリー端末との差別化も図る

 もう1つ、NuAns NEO [Reloaded]を語るうえで忘れてはいけないのが、おサイフケータイだ。冒頭で述べたように、おサイフケータイはSIMロックフリースマートフォンの中にも採用例がある一方で、3大SIMロックフリーメーカーのASUS、Huawei、FREETELは、まだ(SIMロックフリーでは)搭載端末を出せていない。

 ことSIMロックフリー端末のおサイフケータイに関しては、大手キャリアでの採用実績が多い、富士通やシャープが先行している状況だ。富士通の「arrows M02」「arrows M03」のように、売れ行きがいい端末もあるが、全体として見ると、まだまだ対応端末は少数派といえるだろう。

NuAns NEO [Reloaded]
NuAns NEO [Reloaded] おサイフケータイに対応する。対応サービスは未定ながら、モバイルSuicaなども期待ができそうだ

 対応するサービスは未定だが、星川氏は「個別のサービスについては、現在、コンテンツプロバイダーと調整している」としながらも、「基本的にはいわゆるおサイフケータイで使えるサービスは、全部使えるようにしていきたい」と語った。これを素直に受け取るなら、モバイルSuicaやiD、楽天Edyなどに完全対応するという意味になる。星川氏は明言を避けていたが、モバイルSuicaに対応するために、JR東日本の試験も行うと見ていいだろう。

 おサイフケータイへの対応にあたっては、FeliCaネットワークスの協力を仰いだ。FeliCaネットワークス側でも、おサイフケータイを広げるため、SIMロックフリー端末への対応を進めていた。ソニーモバイルの「Xperia J1 Compact」を皮切りに、富士通やシャープの端末が続々とおサイフケータイに対応したのは、そのためだ。同社のプラットフォーム推進部 相澤浩氏は「現在伸びているSIMフリー市場でも、FeliCa端末を拡充していきたい」と意気込みを語っている。

NuAns NEO [Reloaded] 発表会には、FeliCaネットワークスの相澤氏がゲストとして登壇。「NuAns NEO [Reloaded]」への期待を語った

 目標は2020年で8000万台にFeliCaを搭載すること。ユーザー数も、同年までに2000万へと拡大させる計画を立てている。2017年は端末数とユーザー数がそれぞれ5000万台、1000万人。3年間で3000万台の端末を増やし、ユーザー数を倍増させるには、市場の拡大が急速なSIMフリースマートフォン市場への対応が欠かせないと判断しているようだ。その相澤氏も、「通信キャリアには納入していないメーカーとしては初のおサイフケータイ対応で、それだけでも驚くべきことだが、これまでに例がないほど開発スピードが速い」とトリニティのフットワークの軽さを称賛する。

NuAns NEO [Reloaded]
NuAns NEO [Reloaded] 2020年には、8000万台、2000万ユーザーの獲得を目指す

 星川氏が、「Suica、PASMOを使っていた人が、明日から切符を小銭で買ってくださいと言われるのはハードルが高いが、おサイフケータイからそうでないものに行くのも同じ」と語っていたように、おサイフケータイは、一度使い始めると、元の生活には戻りづらい、生活に密着した機能だ。現在、同機能を利用している1000万人をターゲットにできることは、販売面でのインパクトも大きいだろう。

 とはいえ、SIMロックフリー市場はまだまだ拡大途上で、2016年からようやくハイエンドモデルも数が出始めるようになってきたところだ。キャリア経由の販売が大半を占める日本市場で、数十万台規模の大ヒットを飛ばせる可能性は残念ながら低いだろう。星川氏も2017年のSIMロックフリースマートフォン市場を300万台から350万台と推定したうえで、「そのうちの5%がハイエンド端末だが、アクティブな端末は4、5台。そのうちの1台に入れば、それなりの数を想像できる」と目標を語っていたが、これを最大で見積もっても3〜4万台といった数になる。

 逆の見方をすれば、わずか数万の規模でも、ここまでの端末を作ることができるということだ。見方もできる。しかも、トリニティのように小規模な日本メーカーが、だ。もちろん、これは日本市場に限った話。同社は2月27日から開催されるMobile World Congressにも、NuAns NEO [Reloaded]を出展する予定で、ここで商談がまとまれば、海外市場への進出も実現できるかもしれない。Androidに対応し、対応バンドも増えたことで、以前よりもその可能性はずっと高くなっているはずだ。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  5. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  9. NHK ONE、簡単には「閉じられないメッセージ」表示へ 目的は“NHK受信料”の徴収 なぜ強引な仕様に? (2025年11月12日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー