インタビュー
» 2017年04月10日 06時00分 公開

SIMロックフリースマホメーカーに聞く:トリニティ星川社長が語る「NuAns NEO [Reloaded]」 Android採用の理由、おサイフケータイ搭載の苦労 (3/4)

[石野純也,ITmedia]

カスタマイズはOSバージョンアップの弊害になる

―― メーカーとして、Androidのアップデートを保証したのも珍しいと思います。ここは予算にも関わってくることなので、頑張った部分といえるのではないでしょうか。

星川氏 Androidは昔からやってきたメーカーほど、足りないところがあったせいもあり、使いづらい部分をカスタマイズしています。その副産物として、カスタマイズしすぎてアップデートできない、セキュリティパッチすら流れてこないということがあります。ただ、現状、iPhoneユーザーの自分がNougat(Android 7.0)を使ってみても、そんなに使いにくいということはありません。ユーザーインタフェースを含めて、あまりカスタマイズするお金もわれわれにはありませんし、やる必要性も感じていません。お金がないことを逆手に取りつつですが(笑)。

 基本的にはおサイフケータイがプリインストールされている以外は、Androidの設定のなかで、できる/できないをやっているだけで、新たに設定項目を作ったり、別のUIを起こしたりはしていません。(手を加えているところとして)あとは、カメラですね。このアプリは、GoogleもNexusやPixel用に作っているだけで、仕様を見ると実はOEMメーカーに提供されていません。カメラはQualcommのレファレンスアプリがあり、それをベースにカスタマイズしたものを搭載しています。

 Windows 10 Mobileをやったときに、「(Androidは)セキュリティが怖い」と言っていましたが、Androidを出すからには、何もしないわけにはいきません。NexusやAndroid Oneのような形で素のAndroidを打ち出しつつ、パッチも当てていきます。これは、それなりにお金がかかることではありますが、やっていくつもりです。期間についてはまだ曖昧なままにさせていただきたいのですが、Googleが18カ月と言っているので、それに準じていこうとは考えています。

―― 次の「Android O」へのメジャーアップデートはいかがですか。

星川氏 夏、秋ぐらいまでに出てくれば、「O」もいけると思っています。ただ、まだ検証はしていません。正直にいうと、おサイフケータイの部分が対応しないと、われわれだけで勝手に出せないこともあります。(アップデート用の)長いチェック項目はGoogleからもらっていますが、それさえOKになれば出せると思います。われわれもまだやり始めているわけではないので、Googleが出してからどのぐらいで提供できるようになるのかが分かりませんが。

―― この価格で、そこまでやるのは大変じゃないですか。

星川氏 この端末で、ものすごい利益を得ているかというと、そうではありません。ただ、せっかくだったらやってみたい。いいものなら、自分でも使いますし、正直今回はiPhoneからメイン端末を乗り換えるつもりでいます。それもあって、安心も含めてやってみたいと考えています。

 これによって、われわれの会社をもっと知ってもらったり、SimplismやNuAnsの他の製品を知ってもらえたりすればいい。われわれの中心になる製品なので、ここは頑張っています。

おサイフケータイがなければもっと早く出せたが……

―― いちばん驚きだったのが、おサイフケータイに対応してきたことです。これは最初から狙っていたのでしょうか。

星川氏 われわれも目玉として頑張りました。現在はFeliCa検定をもうちょっとで通るかも……というところですが、今のところはいい感じですね。FeliCaは、Windows 10 Mobileのときからやりたいと思い、FeliCaネットワークスにもコンタクトを取っていました。ただ、「Windowsでは正直難しい」と言われていたので、諦めていました。僕らとしては、物理的なカードを使う人が多いということで、背中にカードを入れて疑似的ですが、ICを読み取れる仕組みにしていました。

 ただ、やはりSuicaなどにはチャージをしなければなりません。オートチャージもありますが、改札でなければいけないなどの制約もあります。iPhoneのApple Payも、スターバックスではバーコードを見せる必要がありますが(Apple Payが対応していない)、これならピっとやるだけです。そういった便利さがあり、新しいライフスタイルという意味では、おサイフケータイは必須としてやりたかった。開発費も上がり、これがなければもっと早く出せたという議論はありましたが、僕としては必須ということで押し切りました。

―― これは、あってよかったと思います。

星川氏 iPhoneもSuicaに対応して便利になりましたが、それを超える形になります。新幹線の予約もできますし、われわれの地元(埼玉県新座市)でいえば、イオンがあるのでWAONも使えます。イオンでは普通にお買い物をする方が、入り口でかなりチャージしてますからね。Edyも使えますし、マクドナルドやビックカメラ、ヨドバシカメラのポイントカードも入ります。これは、かなり大きな一歩だと思っています。

―― 対応サービスは、おサイフケータイにある全てと考えてよろしいですか。

星川氏 FeliCa検定をパスすることで、ハードウェア的にはSuicaもEdyも対応する形になります。サービス名をいつアナウンスできるかは調整が必要になりますが、皆さんが思われているようなサービスには、全部対応できます。

―― 星川さんが押し切ったということですが、どんな反対理由があったのでしょうか。

星川氏 携帯電話は、普通は商戦期が3月で、そこに間に合わないのはちょっと……というのがありました。販売側が特に、ですね。おサイフケータイを使っていない人も多く、そのよさが分からないということもあったんだと思います。ただ、そういう人に「カードのSuicaが消えて、明日から切符を買うようなもの」と説明すると、「それはやだね」となります。実際、SIMフリーになって消えてしまう機能がこれで、この市場の7割を占めるASUS、Huawei、FREETELがやっていません。他社もおサイフ対応をにおわせていますが、絶対にまだだと思っていました。その間は、確実にわれわれだけになります。

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