NTTドコモは6月20日、第26回定時株主総会を開催した。同社の吉澤和弘社長が議長となり、第26期(2016年度)の事業報告を行った後、第27期(2017年度)から取り組む中期戦略「Beyond宣言」と第27期の事業方針説明と、第26期の監査報告と内部統制報告が行われた。
株主総会は、株主が経営陣に直接質問できる貴重な機会でもある。今回の総会では、来場した約2000人の一般株主のうち10人が質問に立った。この記事では、体裁を整えた上で主なやりとりをご紹介する。
なお、本文中の写真は全て、会場の別室に設けられたモニターを撮影したものとなる。また、本文中の役員の肩書きは株主総会前のものを使っている。あらかじめご了承いただきたい。
―― 「docomo with」という魅力的なプランが出たが、こちらの展開方針について伺いたい。
こちらのプランは端末の購入が(適用の)条件と認識しているが、すでに2年以上同じ端末を使っている人やSIMロックフリー端末に対する対応はどう考えているか。
大松澤清博取締役 docomo withは、1つの端末を長くおトクに使いたいというお客さま向けのプランとして導入した。
当社は今まで、お客さまから頂いた声を踏まえてご利用の少ないお客さまや多いお客さま、あるいは長期利用のお客さま向けなど、継続的にお客さま還元をしてきたところであるが、今回は「長く(1つの)端末をお使いの人向け」に、ということにさせていただいた。
対象端末はスタートに当たって2機種としたが、これからもっと魅力的なものを増やすように検討していきたい。また、今後もひとりひとりのライフスタイルに寄り添うような、安心して長く使い続けられるような料金プランのさらなる充実を検討していきたい。
引き続き、さらに使いやすい料金プランとお客さま還元をさらに検討し、結果として当社を長く使って頂けるように顧客基盤を強化して事業の成長に資するようにしていきたい。
吉澤社長 既存のお客さま対応やSIMロックフリー端末についてのご質問があったので、私からも補足させて頂きたい。
対象端末を購入してdocomo withに加入したお客さまが、手持ちのSIMロックフリー端末を使う場合はdocomo withの端末として使うこともできる(※)。そういう意味では、(対象端末購入から)2年経過して3年後、4年後もずっと1500円引きで使えるということになる。
対象端末は今後も増やしていき、既存の(docomo with対象ではない)端末にどう適用していくかは検討していきたいと思っている。
※筆者注:docomo withが適用された回線契約のSIMカードをSIMロックフリー端末を含むdocomo with対象外端末に挿入することを指す。
―― FOMAで提供している「2in1」のような追加番号サービスを今後どうするのか。
大松澤取締役 現段階では仕様上困難であるため、スマートフォンでの2in1の提供を見送っている。お客さまの要望を鑑みて検討してはいるが、規格上の観点から現時点での提供予定はない。
―― 「世界恐慌」や「リーマンショック」並みの経済危機が起こった場合、配当金や自社株買いを維持するつもりなのか、それとも減らすつもりなのかのか。減らす場合は具体的な数字で教えてほしい。
佐藤啓孝取締役 株主還元を充実・強化していくことは重要な経営課題の1つであると認識しており、それに向かって取り組んでいる。社長も説明したが、配当については継続して増配していく方針で取り組んでいく。自己株式の取得についても、株価の状況、当社のキャッシュ(資金)の状況、成長投資に振り向ける配分の状況などの要素をきちんと見極めながら機動的に取り組んでいきたいと考えている。
今お話頂いたような、世の中の極端な状況については、あまり想定していない。株主還元の充実に引き続き取り組んでいく。
―― 自社株買いについて、しない場合に比べると株価が上がるとは思う。しかし、個人投資家の視点からすると、自社株買いで上がった株価は「げた」を履いているようなものだと認識している。長期保有の個人株主にとって、株価ショックで「げた」が外れた際に余計に株価が下落してしまう懸念がある。長期保有の個人株主にとって、自己株式取得にはどういうメリットがあるのか。
佐藤取締役 自己株主の取得について、株価に与える影響は一概に言うことは難しい。一般的には、自己株式を取得するとROE(自己資本利益率)やEPS(1株あたりの利益)といった効率性を示す指標が向上することが想定される。また、市場から株式を買い取ることになるので、需給バランスが改善する効果もある。
従って、1株あたりの価値が向上することが期待できる。そのため、当社では株主還元の一環として増配に加えて自己株式取得に積極的に取り組んでいきたいと思っている。
―― ドコモは昔、株価が盛り上がって(高くなって)、投資家のドコモファンもいたかと思うが、今は(ファンが)少なくなっているように思う。それはなぜか。
中山俊樹副社長 ドコモファンが少なくなっているという指摘について、少し残念に思うが、私たちは必死になって(ファンを増やそうと)頑張っている。ここ1、2年は株価も非常に堅調に推移しているが、もっと高く、もっと上昇軌道に乗っけるべく経営陣一同頑張っているところだ。これからもファンを増やしていくように頑張っていく。応援願いたい。
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