―― なるほど。とすると、ドコモの「docomo with」や、auの「ピタットプラン」「フラットプラン」のような、いわゆる分離プランは追い風になるかもしれません。
呉氏 はい。ドコモに続き、auでも同じような施策(分離プラン)を打ってきました。こういった料金プランは、端末に対する補助が減るか、なくなります。ですので、分離プランが導入されたことは、SIMフリースマートフォンにとっていい知らせでもあります。キャリアの端末の購入補助が減ることで、ようやくキャリアのスマートフォンとSIMフリースマートフォンの値段が、同じスタートラインに立てるからです。私が思う、成長のスピードは今まで以上になるでしょう。
―― 逆に、キャリア市場でスマートフォンを販売するという可能性もありそうですか。
呉氏 日本では、キャリア市場とSIMフリー市場は確かに対抗関係にありますが、一方で、共存共栄の関係でもあります。これまで、SIMフリー市場では、スマートフォンの普及に力を入れてきました。SIMフリーを始める前の普及率は50%に満たなかったのですが、今ではその割合も上がっています。
また、弊社の売り上げの多くは、やはり3大キャリアからきています。3大キャリアとは、密で持続的な協力関係を築いていますから、キャリアからHuaweiのスマートフォンが出るということに関しては、可能性があると思っています。
―― 2017年は、2016年にはなかった“Plus”も発売しましたが、これも市場が拡大したおかげでしょうか。実際、出してみていかがでしたか。
呉氏 その通りで、今回が初の投入になります。実はどちらかというと、P10 Plusの方がよく売れています。ユーザーからのフィードバックとしては、3つのライカレンズ(アウトカメラ2つ、インカメラ1つ)を搭載したことが非常に好評です。P10 Plusにのみ、SUMMILUX (ズミルックス)という、上位のレンズが使われているのがその理由です。2つ目の理由として、P10 PlusにはPANTONEとのコラボレーションになるグリーナリーというカラーがあり、これの受けが非常にいいですね。
―― ちなみに、P10 Plusのみという意味では、グローバルの発表で紹介されていた生活防水機能もありますが、これを日本の発表時にうたわなかったのは、なぜでしょうか。
呉氏 日本市場に投入したP10 Plusもグローバルモデルなので、スペックは同じです(生活防水に対応している)。なぜそれを宣伝しなかったのかというと、防水という機能をどのように使っているのかを、もっと見てみたかったからです。今後、日本市場で防水対応のスマートフォンを出す可能性はあり、そこに向けて、データの収集や準備をしているところです。
(あえて言わなかったのは)この業界の慣習にならったやり方でもあります。他社も同じようなことをしていますが、日本の消費者は、防水ニーズを最重要視しています。ですから、日本で通常、防水というと、IPX5/7や6/8が常識ですが、弊社の場合はIPX3で、生活防水という程度のものでしかありません。防水と言ってしまうと、いらぬ誤解を生むおそれもあったので、大々的な宣伝はしませんでした。
実際、過去にあるキャリアから生活防水のスマートフォンが出たことがあったのですが、消費者はIPXの数字を知らずに、5/7だと思って使ってしまい、問題が起こったという事例があります。消費者はそこまで細かい数字を知っているわけではなく、防水かそうじゃないかの2つしかないのだと思います。
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