ソフトバンクSIMを提供する日本通信の勝算は? 福田社長に聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2017年09月05日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

他社が段階制プランをやりたがらない理由

日本通信 日本通信が導入した段階制の定額プラン。こちらはドコモ回線を使った「おかわりSIM」

―― 変動制の料金プランについては、MNOのauも導入しました。これについても、日本通信は早かった印象があります。

福田氏 その方向になってまいすね。うちはオプションとして、5GBより上も提供できるようにしようと思っています。キャップを自分で決められる仕組みも開発は進めていて、どこかでご案内しようと思っています。例えば、3GBで上限にしたり、逆に6、7、8、9とオーバーしてキャップを設定できるようにしたりして、もっと使っていただけることも考えています。その辺の不安感がない形に持っていきたい。おかわりSIMも、そこが評価されています。

 なぜ他から出ないかというと、これは世界中の通信事業者の収益の出方の問題で、お客さまに完全にフィットしたプランだと、みんな赤字になってしまうからだと思います。フィットしていない、無駄な部分が収益なので、なかなかやりづらい。ただ、きちんとコスト計算をすればそんなことにはならないはずです。

 これは伝統的にそうですが、一般消費者の1人1人が通信料を払う時代になると、そこでもうけるのはいかがなものかとなります。ちょうど今は固定ブロードバンドでも、その見直しが行われているところで、年中「Netflix」を見る人と、ちょこちょこブラウザを使うだけの人だと全然データ量が違いますが、同じ定額になっていて、(料金的に)分けなければコストの公平性が保てないとなってきています。

 もともとうちが1GBプランを出し、「Fair」という名称で売っていたときは、キャリアさんのプランは使い放題の定額でした。あのときの計算だと、確か49人で1人を支えているという構図になっていたので、それは公平ではないと1GBプランを盛り込んだことを覚えています。それが本来のあるべき姿だとは思いますが、とはいっても使いすぎてしまうことがないように、(段階制プランでは)キャップがあります。

―― 20GB、30GBのプランが登場し、またほぼ使い放題に戻っている感もあります。

福田氏 その容量でも複数回線でシェアできれば、違った形になります。もともと、複数のSIMで1つの容量を使う「PairGB」を出していましたが、その辺の仕組みも入れていこうと考えています。

MVNOとしてやることは、まだたくさんある

―― お話を聞いていると、MVNOとしてやれることは、まだまだたくさんあるようにも感じました。

福田氏 いっぱいあります。根本的なのは、今のキャリアが時代にそぐわない高コスト体質になっているところにあります。これは、ネットワークの作りからしてそうですね。装置を特注でベンダーに作らせて、とんでもなく高い金額を払っています。ここに端末のincentiveも加わり、通信のコストがものすごいことになる。さらに、販売店にもコストが掛かりますが、あれも全てエンドユーザーの料金に跳ね返っています。

 もちろん、丁寧に対応しなければいけない人がいるのは事実ですが、これだけ業界が成熟してくると、そこまでしなくてもいいという人もいます。みんながみんな、同じではないですからね。そのコストを捻出しようとすると、最適ではない料金プランを売ることになってしまいます。

―― データ通信に関してはU-NEXTが同時にサービスを始めていましたが、音声は日本通信単独です。これはなぜでしょうか。

福田氏 短期的なお話をすると、8月16日のサービスインが確定したのが、プレスリリース前日の夜だったからです。さすがに2週間では、イネイブラーとしてのサービス展開は無理です。当然MVNOをやる方はいらっしゃいますが、お盆を含めた2週間では間に合わないので、b-mobileが先行した形になりました。

―― なぜ、足並みをそろえなかったのでしょうか。

福田氏 この件は、日本通信だけではなく、総務省も重視していますからね。うちのビジネスリーズンだけで、9月スタートというわけにはいきません。また、実際に待っているお客さまも多い。僕も知らなかったのですが、ソフトバンクには(請求が)20日〆というお客さまがいて、そういう方から早く変えたいというお問い合わせもいただいています。

―― ちなみに、データ通信のときは日本通信だけが料金プランを変更でき、U-mobileではできませんでした。やはり、こういう形で日本通信側が先行することはあるのでしょうか。

福田氏 APIとして機能は提供していますが、システムをつなぎ込むのはあちらです。これは、お互いの戦略の違いや、プラン変更をどのくらい重視しているかの違いにもよるのだと思います。ただ、APIを用意しているので仕組み自体はあります。その部分の開発強化は、ずいぶんとやってきました。それが生き、イネイブラーとしていろいろな方にサービスをご提供できています。

問い合わせの90%以上がMNPについて

―― 16日からの開始ですが、反響はいかがでしょうか。

福田氏 初期の反応としては、結構な数がいらっしゃっています。コールセンターに来る問い合わせは、90数%がMNPのご質問ですね。それがすごい数になっています。何と比較するのかにもよりますが、少なくともデータ通信オンリーに比べると、数字は桁違いです。さらにMNPが始まれば、本格的に数も上がってきます。

 900万台という数字を持ってまだまだユーザーはいるとは思っていますが、1年前、2年前に比べたら当然減ってはいるので、不安はありました。ただ、この2日ぐらいの反応を見る限り、私たちの仮説は正しかったという感触を持てるようになりました。

―― 100万契約という目標を掲げていましたが、達成はできそうですか。

福田氏 まだ始まったばかりですが、ドコモのときは音声SIMがなく、データオンリーで始めています。あのときは、2台持ち、3台持ちで使われていました。ただ、今の格安SIMは音声がないといけないところまで来ています。その意味では、来週(MNP開始の8月22日)がようやく本格ローンチという感じです。やっぱりそうかという感触は得ていますし、手応えとしてはいいですね。

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