楽天はなぜFREETELのMVNO事業を買収したのか? 楽天 大尾嘉氏に聞くMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2017年11月24日 10時30分 公開
[石野純也ITmedia]

 「垂直統合」をキーワードに掲げ、端末の開発からMVNO事業までを一気通貫で手掛けてきたプラスワン・マーケティング(以下、POM社)だが、競争の激化やコストのかけすぎが原因で業績は低迷。MVNO事業を切り離し、楽天モバイルを運営する楽天が、事業を承継することになった。11月1日には買収も完了。現状はまだ「FREETEL SIM」のブランドは残っている状態だが、こちらについても、2018年1月に変更される予定だ。

 この買収で、楽天のMVNO事業は契約者数を一気に増加させた。もともと楽天モバイルで100万契約程度あったところに、FREETEL SIMの約35万契約が加わり、合計で140万回線を突破。ブランドを統合すれば、個人向けMVNOではシェア1位になる見込み。楽天はMVNO以外の事業とのシナジーも重視しており、契約者の増加によって、その効果がさらに高まりそうだ。

楽天モバイル 楽天が承継するFREETELのMVNO事業

 一方で、2社はそれぞれドコモに相互接続するMVNOで、システムは統合されていない。規模は大きくなっても、2つのシステムが同時に走っているのは効率がよくない。買収効果を最大化するには、こうした統合作業も必要になる。こうした点を、楽天側はどう考えているのか。同社のMVNO事業を率いる執行役員の大尾嘉宏人氏に、買収の狙いを聞いた。

FREETELの契約者1人あたりを約1万円で買い取る

楽天モバイル 楽天 執行役員の大尾嘉宏人氏

―― あらためて、一連の買収劇の経緯を教えてください。

大尾嘉氏 POM社とは、端末(導入)の交渉をしていて、以前から面識はありました。その中で、FREETELのMVNO事業に興味はありませんかというお話になりました。

―― 助けてほしいという、SOSのお願いでしょうか。

大尾嘉氏 僕の立場からはお話できませんが、適時開示を出しているので、そこから察していただくしかないです。ただ、1ついえるのは、楽天モバイルの事業全体を見えている立場からすると、いろいろなところが大きく違っていました。

―― そのお話があったとき、どう思い、どう判断されたのでしょうか。

大尾嘉氏 彼らの話とは関係なく、「MVNOの淘汰(とうた)」というキーワードも出てきていて、恐らく苦しくなるところは出てくるだろうなとは思っていました。苦しくなくても、楽天に高い事業価値で売れるのであれば、エグジットとして売りたいというMVNOも出てくる。楽天モバイルが成長する中では、オーガニックにお店やWebでお客さまを獲得する以外に、「お客さまを買う」という意味で事業譲渡を受けることも、選択肢としてなくはないと話していました。

 POM社さんからお話がきたとき、僕の中の戦略としては「あり」だったので、適正な価格で買収しました。きちんと運営できれば、新規のお客さまを獲得するよりも、メークセンス(理にかなっている)です。

―― 約35万のユーザーがいるのであれば、負債を継承しても安いという判断でしょうか。

大尾嘉氏 買収金額が安いといわれることもありましたが、負債も合わせて価値を考えていますからね。現金を払い、さらに負債も受け取ってお金を払っているので、総額では36億円ぐらいになります。契約者1人あたりにすると1万円ぐらいで、僕らとしてはそれが適正だと思っています。

―― 端末を「三木谷割」する原資を考えると、確かにそうかもしれません。

大尾嘉氏 僕らのやっている値引きや、テレビCM、デジタル広告といったマーケティング活動からすると、35万人のユーザーを36億円で譲渡してもらえたのは、適正だと思っています。

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