―― 買収で規模を拡大しましたが、市場全体を見渡すと、MVNOの成長にはブレーキもかかっています。ここについては、どうお考えでしょうか。
大尾嘉氏 確かに去年(2016年)の今ごろは、ここまでサブブランドが勢いを増し、MNO自らも料金を下げてくることは想定していませんでした。その意味では、若干の影響は受けています。ただ、恐らく他のMVNOと比べると、影響は少ないとも思っています。
1つは、Y!mobileとUQ mobileのおかげで……おかげというのも変ですが(笑)、「ドコモの回線なら楽天モバイル」という見え方になっています。カタログにもVOC(ボイス・オブ・カスタマー、ユーザーの声)の順にアピールポイントを記載していますが、ドコモの回線ということが意外と売りになっています。
(楽天モバイルの料金は)Y!mobile、UQ mobileと同じ1980円(税別)からですが、そこに使い放題がつき、キーワードになっています。もともとアラカルトの料金をやっていましたが、新プランは圧倒的に強いですね。それがあることもあって、ある種、サブブランドのようにも見られているようです。ちょっと便乗しちゃいましたかね(笑)。
―― 確かに、Y!mobileの店舗では比較表があり、そこに載っているのがUQ mobileと楽天モバイルでした。優位点をアピールしているつもりで、あれが逆に楽天モバイルの宣伝になっているというか、同じ土俵に上げている感じもします。
大尾嘉氏 量販店で僕らのカウンターがあるところは、シェアも大きいと思います。プロダクト、サービスに競争優位性があり、お客さまに喜ばれるものができたと思っています。逆に負けているのはプロモーションで、あの規模のことは僕らにはできません。そこは資本力の差があります。その範囲の中でビジネスとしてやっていければと、考えています。
FREETELのMVNO事業を買収し、規模を一気に拡大した楽天モバイル。システム統合など、越えなければいけない壁はまだまだあるが、他の事業とのシナジー効果を発揮できれば、同社にとって、FREETELは“高くない買い物”になりそうだ。
インタビューでは、競合をMNOのサブブランドと見ている様子もうかがえたが、確かにここに対抗するには規模が必要になる。MVNOの成長にブレーキがかかりつつある現状を考えると、第2、第3の買収があっても不思議ではないかもしれない。
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