ソフトバンクのサブブランド「Y!mobile」は、同社とウィルコム沖縄が“MNO”として直接サービスを提供している。
同社から見たY!mobileブランドは、他社における「低料金プラン」と同じ位置付けだという。他社対抗の低料金プランを「ソフトバンク」ブランドに新設する代わりに、すでにあるY!mobileブランドを活用して対抗する、という戦略を取っているのだ。
ソフトバンクブランドとY!mobileブランドの差別化は、料金面だけではない。前者では高価格帯のスマートフォン中心の端末ラインアップとし、電話窓口の通話料を原則無料としている。それに対し後者では端末ラインアップを低〜中価格帯中心として、電話窓口の通話料を有料としている。
低価格を実現しつつ、Y!mobileブランド単体での収益性を高めるためにこのような「差別化」を図っているようだ。
ネットワーク設備にかかるコストについて、同社では自社ブランドとMVNOが利用帯域幅に応じて「応分負担」する仕組みとなっているという。ネットワークコスト負担において、ソフトバンク、Y!mobile、MVNOに「差はない」ことを訴えた形だ。
先述の通り、ソフトバンクではY!mobileブランド単体での採算性の向上に努めているという。
しかし、親会社(ソフトバンクグループ)が発表する決算資料では両ブランドの経営成績が「移動通信サービス」としてまとめて示されるため、外部からはY!mobileブランド単体の経営状況が分からない。そのため、ソフトバンクブランドとY!mobileブランドの会計を「分離」して、客観的に経営状況を検証できるようにできるようにするべきだ、という声も会議の一部構成員から挙がっている。
そのような声に対し、同社はブランドごとに会計を分離計算して検証することは「同一会社のブランディング」であるため不要との見解を示した。ただし、検討会の議論によって会計を分離して試算することになった場合、以下の点を整理した上で行うように注文を付けた。
NTTドコモは、今回ヒアリングに参加したMNOで唯一サブブランドを持たない。強いて言えば、兄弟会社であるNTTコミュニケーションズ(NTT com)が提供する「OCN モバイル ONE」がそれに相当するとも言えなくもない。
しかし、ドコモは電気通信事業法第30条の規制対象で、NTT comは同社の「特定関連法人」として指定されている。法規制によって、OCN モバイル ONEを“特別扱い”できないのだ。
そのこともあって、同社はNTTグループ企業を含む全てのMVNOに対して公平かつ公正な条件で回線を貸し出していることをアピールした。
総務省令の定める条件を満たす移動体(携帯電話)通信事業者は、以下の行為が禁止される。
記事執筆時現在、この規制の対象になっている移動体通信事業者はNTTドコモのみ。また、NTT comを含むNTTグループの主な通信事業者は、この規制における「特定の電気通信事業者」として指定されている。
1月30日に開催される次回(第4回)会合では、引き続き事業者からヒアリングを行った上で、意見交換が行われる。会合は全6回の予定で、あと3回で検討会としての「結論(提案)」が出る見通しだ。
今回の会合に参加した総務省の小林史明政務官(衆議院議員)は、この検討会のゴールは「二度とこのような会を開かなくて済むようにすること」であると語った。
果たして、「会を二度と開かなくて済む」ような結論が出るのだろうか。引き続き動向を注視したい。
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