ワンセグスマホをどう説明する? 5G基地局は「2021年度末までに5万局」――2019年度KDDI株主総会、注目の一問一答(2/2 ページ)

» 2020年06月17日 15時15分 公開
[井上翔ITmedia]
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会場での質問

 会場では、5人の株主が質問に立った。通信や携帯電話に関する質問は、大きく3つ寄せられた。

―― (携帯電話に搭載される)ワンセグについて質問です。昨年(2019年)に行われた裁判で、携帯電話でのワンセグ視聴についても(放送法に定めるNHKとの)受信契約が必要という判決が出ました。

 本来であれば、(ユーザーが)受信契約が必要であることを把握していなければワンセグが付いている携帯電話を売ってはいけないと思います。しかし、携帯電話の販売店ではそのような周知がされておらず、カタログにも掲載されていません。これが顧客満足度の低下につながるのではないかと懸念しています。

 「受信料に関する問い合わせは(契約先である)NHKに」で良いとは思いますが、法令順守の観点では、受信器たる携帯電話を販売するKDDIも一定の責任を持たないといけないと思います。今後、ワンセグ搭載携帯電話を購入する顧客に対して、どのように説明をしていくのでしょうか。

 また、NHKがストリーミング配信(NHK+)を開始したことと関連して、(NHKから受託して)訪問してくる料金徴収員が「テレビがなくてもネット環境がある人は契約を結ばないといけない」という旨の誤案内をしてくることがあります。これに対して、「ネット接続環境だけでは受信契約を結ぶ必要がありません」といった旨の資料や説明、情報提供をするべきではないでしょうか。

雨宮俊武常務 ワンセグについてですが、受信機能を持つ携帯電話(の所有者)は、2019年3月の最高裁判所の判決にもある通り、NHKの受信料の支払い義務があるとされています。

 NHKの受信料は、NHKとお客さまとの契約関係となるので、当社からのコメントは控えさせて頂きます。店頭では、お客さまから質問があった場合にNHKの支払い窓口を案内するようにしています。

 ネット配信についてもKDDIとしてのコメントは控えますが、ご指摘の通り「丁寧な説明」は重要なことです。KDDIとして、どのようにお客さまに案内をしていくのか検討していきます。

雨宮常務 質疑に応じる雨宮常務

―― 楽天モバイルが、世界中どこへ行っても特別な契約なしで使えるプランを提供しています。ソフトバンクも、米国限定ですが同様のサービスを提供しています。KDDIとして対抗策は考えていないのですか。

(筆者注:この株主は、Rakuten UN-LIMITアメリカ放題といった、海外ローミング中でも国内とほぼ同じ条件で使えるプランやサービスを提供しないのかと聞いている)

東海林崇専務 当社でも、海外ローミング(自体)は基本的には特別な契約をすることなく使えるようになっています。

 お客さまから好評を頂いているものとして「世界データ定額」があります。2月1日に導入した「早割」を利用すれば、Wi-Fiルーターのレンタルサービスと遜色のない料金で利用できるようになっています。お客さまの使いやすい料金で提供できると考えています。

東海林さん 質疑に応じる東海林専務

―― 5Gにおける周波数政策と(基地局)の開設計画について質問です。

 5Gネットワークは重要で、(移動体通信事業者としての)一丁目一番地だと思います。KDDIは開設計画で2023年度末までに5万3000局設置する計画を立てているはずですが(参考リンク)、総務省は同年度末における基地局の整備計画を3倍に引き上げる考えだという報道もあります。KDDIに当てはめると、約15万局を整備することになる計算です。

 (競合の)NTTドコモも基地局の新設は「1年間で1万局」という計画で、(単純計算すると)2023年度末まででも4万局くらいしか作れません。4G(LTE)用の周波数帯を5Gに転用するという話もありますが、この場合エリアは広がるものの5Gの特徴である大容量通信を実現しづらいです。

 今後、5Gにおける周波数の使い方と、基地局の建設についてどう考えているか教えてください。

吉村和幸執行役員 総務省の「3倍」という話は、総務省の「Beyond 5G推進戦略懇談会」において出てきたものです。KDDIでは、2019年度に割り当てられた周波数帯を利用して5Gネットワークの構築を進めている所ですが、2020年度内に1万局の整備が完了する計画となっています。

 4Gから5Gへの周波数の転用については、今年(2020年)秋に(必要な)法令改正が行われる予定ですが、それに合わせて、KDDIとしても4Gの周波数帯の一部を5Gに転用することを考えています。

 さらに、KDDIではソフトバンクと共同で「5G JAPAN」を設立し、相互に基地局のリソースをシェアすることで特に地方部でのエリア展開を加速する予定です。

 これらによって来年度(2021年度末)には5万局、2023年度末くらいには現在の4Gと遜色のないネットワークにできると考えています。KDDIとしては、お客さまへと早期に5Gネットワークを提供できるように取り組んでいきます。

吉村さん 質疑に応じる吉村執行役員
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