「iOS 15」では、新たに「テキスト認識表示」機能に対応した。アナウンスされた情報としては、同機能は日本語未対応とされていたものの、部分的に利用することは可能だ。本稿では、日本語環境で利用できることについてまとめてみた。
なお、本稿の検証には、iOS 15.1を搭載したiPhone 11 Proを使用した。
iOS 15で追加された「テキスト認識表示」は、A12 Bionic以降を搭載したiPhone(18年発売のXS・XRシリーズ以降)で利用できるとされる新機能だ。iOS 15の機能を紹介する公式ページでは、「テキスト認識表示」機能について、以下のように説明されている。
“すべての写真の中のテキストが完全にインタラクティブになるので、コピー&ペースト、検索、翻訳などの機能が使えます。テキスト認識表示は、写真アプリ、スクリーンショット、クイックルック、Safari、カメラアプリのライブプレビューに対応します。”
また、同ページでは、注釈で「現在、英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応」と記載されているように、日本語はまだ対象言語に含まれていない点に注意が必要だ。
しかし、「iPhoneの使用言語」で日本語を選んだ状態でも、一部限定されたシーンにおいて同機能は利用できる。事前準備としては、「設定」アプリの「一般」を選び、「言語と地域」の画面にある「テキスト認識表示」というスイッチをオンにしておく必要がある。
結論から言ってしまうと、上記の設定を施しても、日本語は正しく認識できなかった。そのため、活用できるのは、一部の限られたシーンのみに限られる。
例えば、日本語で書かれた記事をスクリーンショットした画像を「写真」アプリで開いてみると、右下に3本線のアイコンが表示される。これをタップすることで、自動認識できたテキストがハイライトされる。ハイライトされた部分に関しては、選択操作が可能で、そのままコピーや検索、翻訳といった連携を実行可能だ。
ただし、認識したテキストをコピーしたところで、ペーストすると中国語として認識されていたことが分かった。これでは使い物にならない。
一方、画像として写っているテキストが対応言語だったらどうなるだろうか。試しに米国版のiOS 15の公式ページをキャプチャーし、同様に確認してみたところ、文字が飛ぶことなくしっかりと認識されていた。これならコピー操作や翻訳操作を行う際に実用的だ。
例えば、書類に記載されたURLや電話番号をコピーしたり、外食のメニューに記載された読めない単語を検索したりする場合には便利だろう。
また、カメラアプリのライブプレビュー画面にも3本線のアイコンが表示されるので、写真を撮影することなく、カメラを向けるだけでテキスト認識機能は利用できることも覚えておきたい。こちらも英数字は正しく認識されたので、URLや電話番号のコピーには使えそうだ。一方、この場合も日本語はうまく認識できなかった。
では、英字や数字が手書きだった場合には、テキストとしてうまく認識できるだろうか? 付箋のメモに書いた手書きの数字や英字にカメラを向けてみたところ、見事に認識した。少し角度を斜めにしていたにもかかわらず、認識精度は高かった。コピーした状態で認識している文字がないかも確認したが、この程度の短文ならさほど問題ないようだ。
当然、認識したテキストの内容が間違っていないかどうかの確認は必要になるだろうが、電話対応中にとっさにメモをとった電話番号やメールアドレスなどをデジタル化するうで、入力の手間を削減するためには役立ちそうだ。
このように「テキスト認識表示」は、日本語未対応ではあるが、英数字ならば認識できるようだ。本稿では詳細を省いたが、Safariで開いた画像中に記載されているURLや電話番号なども選択して、直接リンクを開いたり電話を発信できたりするので、あわせて覚えておきたい。
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