HISモバイルに聞く“290円プラン”誕生の背景 OCNに対抗して価格ナンバーワンを維持MVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2022年04月28日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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Androidフィーチャーフォンの提供も検討、店舗も順次立ち上げ

―― そういった料金プランの場合、Androidベースのフィーチャーフォンがあると便利に使えそうですが、現在ラインアップにありません。どのようにお考えでしょうか。

猪腰氏 中古の端末は扱っていますが、新品はありません。端末を作る、作らないという話はしていて、そこがちょっと前に進んでいない状況です。料金プランと同時に発表できればかなり前向きな話になったのですが、料金プランの発表ありきで先に進んでしまいました。ガラホのようなものを安く作れないかは、並行して進めているので、今後出る可能性はあります。

 折りたたみの電話になぜニーズがあるのかというと、おじいさん、おばあさんだけというわけではなく、例えば工事現場で手袋をしている方からも、ボタンがないと使えないという声が挙がっています。そこに対して、電話メインならうちが安いですが、さらに端末も一緒にいかがですか、ということはすごくやりたい。状況がよさそうなら、本当に開発して作ろうと思っています。

―― その端末がHISモバイルステーションで販売されていたら、セット販売しやすそうですね。その店舗ですが、どのように広げていく予定でしょうか。

猪腰氏 フランチャイズオーナー制なので、応募状況次第ですが、今のペースだと月に数店舗は開けると思います。広島はほぼ決まっていて、4月中にオープンできそうです。その後も、ポロポロと話が決まり始めています。

HISモバイル 専用ショップの「HISモバイルステーション」も増やしていく

―― どういったところが応募しているのでしょうか。

猪腰氏 空いている店舗がある不動産オーナーが多いですが、キャリアショップを運営しているそれなりに大きな企業からも応募があります。今回は修理なども含めてやり、MVNOに特化しているわけではありませんが、別の案件で修理をするという方もいます。余力のある企業が路面で何かやってみたいということや人脈があって、自分たちのユーザーに月額課金を継続してもらえるという方々も応募しています。

―― HISの店舗は活用しないのでしょうか。

猪腰氏 チラシは置かせてもらおうと思っていますが、今はコロナ禍でお客さんが誰も来ない。新しいものを出すための従業員もいないので、そこにリソースを割いても調整にばかり時間がかかってしまいます。ですから、やってもチラシまでですね。旅行のスタッフがMVNOの案内までする予定はありませんし、恐らくやれません。また、テナントに入っているような店舗では、競合他社排除の条項が入っていることもあります。チラシを渡すぐらいなら大丈夫なのですが、携帯を売るとなると他社からクレームが入ってしまうこともあり、難しいですね。

旅行者が減って、届けたいところに届けられていない

―― 新料金プランは100MB未満から7GBまでがターゲットですが、中容量プランは「格安弐拾プラン」がそのままです。ここは改定する予定などはないのでしょうか。

猪腰氏 残しています。20GBプランは、新料金プランに統合してしまうのか、そのまま残すのかは、今も検討中です。プランが別だと分かりにくいという声もあるので、分散させるより、同じフレームに入れて、音声通話やかけ放題が安いというふうにした方がいいという考えもあります。ですから、7GBの上に20GBを作る可能性はあります。ただ、そこは競争もすごく激しい。これを1500円ぐらいにして、というようなことはまったく考えていません。

―― MVNEの日本通信が音声通話対応のeSIMを始めました。HISモバイルでも利用できると思いますが、今後ありえますか。

猪腰氏 ありえます。ただし、今すぐ欲しいとは思っていないので、置いたままにしてもらっています。将来的には訪日外国人の旅行者が来たときなどに、データSIMをやれると思います。場合によっては、海外に現地店があれば音声もやれます。代理店は上海やベトナムなどに届け出があり、音声の開通もできます。今はSIMを物理的に送ってというスキームですが、eSIMが増えてくれば現地で本人確認をしてもらい、日本に来る前に契約するといったアイデアは出しています。

―― 以前、当面の目標は50万契約というお話をうかがいました。現状はどのぐらいで目標達成は可能かどうかを教えてください。

猪腰氏 規模感でいうと、2桁万契約の入口ぐらいです。(達成できるかどうかは)新料金プランの反響次第だと思っています。以前は新プランを出してもほとんど反応がありませんでしたが、格安ステップやかけ放題などを始めてから、増えてきました。Webでの露出量が増えているのはもちろん、日々の新規契約者数も増えています。

 2年、3年で旅行需要が戻ってくるのであれば、社内的なパワーもついてきます。HISのお客さまにも一緒に発信していきたい。今は、旅行のお客さまが減っていて、届けたいところに届けられていません。本来掛け算になるところがなっていないと感じています。

取材を終えて:290円の背景に納得、フィーチャーフォンにも期待

 100MB未満290円という大胆な料金プランが誕生した背景に、OCN モバイル ONEの500MBプランがあったのは面白いエピソードだ。実際、両プランともフィーチャーフォンからスマートフォンへ買い替えるユーザーをターゲットにしている。エコノミーMVNOで販路の広いOCN モバイル ONEに対抗するためには、290円というインパクトが必要だったというわけだ。

 一方で、3Gケータイからの切り替えを考えると、やはりフィーチャーフォン型の端末は必要なようにも思える。スマートフォンでよければ、大手キャリア内で契約変更してしまえば済むからだ。HISモバイルでは独自端末の開発も検討しているというが、ぜひ実現してほしいと感じた。また、日本の水際対策も徐々に緩和され、海外への渡航が復活し始めている。インタビューにも出てきたeSIMを使った新サービスの登場にも期待したい。

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