堀江貴文氏が語る「HORIE MOBILE」を始めたワケ 「楽天モバイルからユーザーを取るのが一番簡単」MVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2023年09月07日 10時44分 公開
[石野純也ITmedia]

楽天モバイルをいじるとHORIE MOBILEにも注目が集まる

―― HORIMO発表の動画でも、楽天モバイルへの言及がありました。堀江さんも普段配信で、楽天モバイルを取り上げることが多いですが、意識はしているのでしょうか。

堀江氏 楽天は、単純にネタに使わせてもらっているだけです(笑)。個人的には、楽天はモバイルに突っ込まない方がいいんじゃないかと思っていますが、三木谷(浩史)さんをイジると、みんなすごい見てくれる。それだけHORIE MOBILEにも注目が集まります。

―― 確かに、楽天モバイルを取り上げるとネットメディアでもビューが多いと聞きます。PV(ページビュー)を持っているというか。

堀江氏 みんな気になってしょうがないんですよ(笑)。

 通信業界を知っていると、3MHzのプラチナバンドをもらってもねぇと思いますよね。ドコモですら、5Gになって苦戦しているのに。あれだけ帯域幅を持っている企業でも、大容量時代になるとひっ迫するのに、3MHz幅だけプラチナバンドをもらっても逆効果なんじゃないかな。アンテナが一応立っているだけでつながらないというか。今はauのおかげで辛うじてつながっていますが、これが楽天の基地局になるわけじゃないですか。そもそも、そんなに(基地局を)建てるのかっていう話もありますし。

―― 三木谷さんは、1.7GHz帯に併設するのでコストはかからないと言っていますが、電波の飛び方も違いますからね。

堀江氏 周波数特性に応じたアンテナの建て方や向きもありますよね。それは、今の1.7GHz帯と今度もらう700MHz帯だと全然違う。「三木谷さん、そんなに簡単じゃないんじゃないの」とは、僕も思いますね。

 と、これだけ話題になって、やいのやいのと楽しめるんです(笑)。「うちは楽天モバイルと違って、ドコモを使っているのでそういう問題がない。ぜひHORIE MOBILEに入ってください」と、そういう誘導をしているだけです。楽天モバイルから(ユーザーを)取るのが一番簡単ですからね。うちには、大手3キャリアのような信頼性もなければ、ブランド力もないですから。

 でも、通信はつながらないといけないのに、楽天に変えるって相当ですよ。清水の舞台から飛び降りるようなものです。

―― 清水の舞台(笑)。

堀江氏 そこを越えてきた方は、むちゃくちゃ入りやすい。一番ハードルの高いMNPを既にやっているわけですから。企業の戦略として、楽天から移ってきた方には楽天ポイントをプレゼントしたいぐらいです。木野さん、やりましょうよ、それ。

木野氏 やりましょうか(笑)。

100万契約を達成したらプロ野球の球団を買収したい 球団は……

―― HORIE MOBILEのアイデア出しも、今のような感じでテンポよくやっているのでしょうか。

堀江氏 そうですね。今のような時代は、スピード感を持ってやれる会社が強い。すぐやれることは、すぐやる。新サービスを作るのは難しいですが、1カ月無料のようなことだったらすぐできる。それを宣伝する動画もすぐ撮れますからね。

―― 木野さんからスタートダッシュはよかったとうかがっているのですが、これは堀江さんの想定内でしたか。

堀江氏 まだまだですよ。もっとドカンと来るようなイベントはありえます。それをがんばって探しているところです。MVNOのムーブメントは確実に来ると思いますが、どこをたたけばそれが来るのかは試行錯誤しています。

木野氏 1000回線は最初の2日間で達成しました。MNPは60%、純粋な新規契約が40%です。YouTube経由でMVNOを初めて知った方も、相当数いらっしゃったので、啓もう活動になっていると思います。今まで、テレビCMをやったり、店舗をやったり、自身でもYouTubeをやったりしてきましたが、HORIE MOBILE一発でこんなに広がるのか……と思いました。HORIE MOBILEでは、僕らはあくまで黒子です。堀江さんのサービスであって、僕らはそれをサポートする。そういう形になった方がいいんだと思いました。

―― ちなみに、HORIMOの料金だと、堀江さんのコンテンツを個別に購読していくより安くなってしまうような気もするのですが、そういったことはあまり気にされていないのでしょうか。

堀江氏 全然気にしていないです。要は、そんなに細かくやったところでうまくいくわけじゃないですから。ごめんなさいね、大ざっぱで(笑)。

HORIE MOBILE HORIMOにも、堀江氏のコンテンツを無料で利用できる特典が付く

―― いえいえ。ところで、HORIE MOBILEの発表時に100万契約を達成したらプロ野球の球団を買収したいというお話がありました。あれはどこまで、本気なのでしょうか。100万契約だと、資金的なめども立つのでしょうか。

堀江氏 本当に100万ぐらいまでいったらやりたいですね。(100万契約あれば)今だった余裕でできます。100万で月3000円のARPU(1ユーザーあたりの平均収入)だったら、売り上げは毎月30億円、年間360億円です。余裕っしょ。携帯は、(ユーザーが)買ったらその後自走する(※サブスクリプションのように毎月料金が入ること)ビジネスですから。今はプロ野球ももうかるビジネスに変わっています。僕らが最初にやろうとしたときとは違って。

―― なるほど。買えたら、その後は球団単体でも利益を出せるということですね。ちなみに、買いたいのはやはり楽天ですか。

堀江氏 楽天(ゴールデンイーグルス)は売りに出るかもね。出る可能性は十分あると思っています。

 三木谷さんは(モバイルを)黒字化すると言っていますが。これは何回も言っていることですが、楽天は新規契約じゃなく、絶対に大手3キャリアを切り崩さなければいけない。今、既にMVNOの人はMVNOでいいと思っているわけですから。大手3キャリアで無駄にお金を使っている人を、いかに引っぺがせるかです。でも、ドコモから楽天モバイルにどういう理由で移るんですか。これはそんなに簡単じゃありません。

 シナジーと言っていますが、それで他の事業がいくらうまくいったとしても、今の赤字水準を続けるわけにはいかない。NewsPicksの動画(※緊急生配信「どうなる楽天!?」徹底分析)に出たとき、「追及が甘い」と書いている人もいましたが、社債の償還も来年度4000億円ぐらいあるわけじゃないですか。それで借り換えができるのかは、ちょっと不安が残ります。三木谷さんは、楽天カードは上場しないと言っていましたが、準備はしているんじゃないかな。ただ、楽天カードは虎の子です。銀行や証券は(上場で)切り売りしたところでそんなに本体への影響はないですが、ポイントは楽天にとって核となる事業ですから。

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