「iPhone 15」でもTouch IDは見送り 今後も復活しないと考える理由

» 2023年09月13日 06時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 iPhoneで利用される生体認証といえば、顔認証「Face ID」と指紋認証「Touch ID」がある。iPhone 15シリーズはFace IDを搭載するが、今回もTouch IDは搭載しない。

「Face ID」と「Touch ID」の違いをおさらい

 2017年以降の全画面のiPhone、つまりiPhone Xから採用されてきたのがFace IDに対し、iPhone 8やiPhone SEをはじめとするホームボタン付きのiPhoneで採用されてきたのがTouch IDとなる。

 Face IDは通常のインカメラとは別に設けられた「TrueDepthカメラ」で認証する。これを使い、顔の「深度マップ」と「赤外線イメージ」を作成し、そのデータを登録済みのデータと照合。これにより本人かどうかを判断する。

 一方で「Face IDを使用するには注視が必要」という項目が有効である場合、カメラに目を向けなければ、認証されない。マスク認証時には目の周りの特徴を認識して認証を行うことから、この項目をオフにした状態でのマスク認証はできない。

TouchID Apple iPhone 15 マスクをつけたままFace IDを利用する様子

 この項目がオフであっても、机上に置いたiPhoneのロックを解除するためだけに、カメラをのぞき込んだり、手に取ったりしなければならず、登録した指がセンサーに触れるだけで認証できるTouch IDと比べて面倒だ。

 メリットとデメリットはTouch IDにもある。Touch IDは指紋をセンサーで認識して事前登録された指紋と照合するため、指が汚れていたり、ぬれていたりすると、Touch IDでの認証はしづらい、あるいはできない。

TouchID Apple iPhone 15 事前に登録した指でロック解除などを行えるTouch ID

iPhone 15でTouch IDの搭載が見送られた理由

 ところで、Face ID搭載のiPhoneの後継機でもこれまで度々、Touch IDの搭載がうわさされてきたが、いまだ実装に至った例はない。

 ただ、搭載のされ方も多様な見方がある。仮に搭載されたとしても、センサーはホームボタンを兼ねた形ではなく、全画面を阻害しないようiPad Air(第5世代)のように側面への搭載される可能性があるだろうし、Appleの情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo氏によれば、Appleが2023年には画面内指紋認証を採用するとの予測を明らかにしていた。

TouchID Apple iPhone 15 iPad Air(第5世代)では側面Touch IDを実現している

 しかし、画面内指紋センサーはいまだ実装されていない。2022年2月、Appleに関する情報を発信するiDROPNEWSは、Appleがこれまで指紋認証に取り組んできたチームを、顔認証のチームに移管させた、と伝えている。その上で、iPhoneが進むべき方向性はTouch IDではなくFace IDだろう、とも述べている。

 Kuo氏は3月、2023年と2024年の新しいiPhone(iPhone 15を含む)では画面内指紋認証を採用しない、との考えを自身のX(旧Twitter)で伝えていた。

I previously predicted iPhones would support under-display fingerprint sensing/Touch ID in 2023 at the earliest. But the latest survey indicates new iPhones in 2023 & 2024 may not adopt under-display Touch ID. Face ID with a mask on iPhone is already a great biometrics solution.(私は以前、iPhoneは早ければ2023年にディスプレイ下の指紋認証/Touch IDをサポートすると予想していた。しかし最新の調査によると、2023年と2024年の新しいiPhoneは、ディスプレイ下のTouch IDを採用しない可能性があるという。iPhoneのマスクを使ったFace IDは、既に優れた生体認証ソリューションだ。)

 画面内指紋認証対応のスマートフォンは既に他社が製品化している。国内で販売されている主要なハイエンドクラスとしては、「AQUOS R8」「Galaxy S23」シリーズが超音波式の画面内指紋認証を採用している。

 だが、この仕組みで難しいのが、指紋認証の精度だ。シャープは、指と画面内超音波指紋認証センサーの間にある保護ガラスの厚みや素材などによって、指紋センサーが機能しない場合があると述べている

TouchID Apple iPhone 15 Androidでは対応機種が増えている画面内指紋センサー。写真はGalaxy S23 Ultra

 仮にiPhoneでこの仕組みを用いて実装できたとしても、認証精度に影響が出てしまう他、アクセサリーメーカーも対応する保護フィルムや保護ガラスを製造しづらいだろう。

iPhone Xで示されていた方向性

 繰り返しにはなるが、iPhoneで先にFace IDを搭載したのがiPhone Xとなる。その後、AppleのフラグシップモデルではFace IDが継続して搭載されてきた。ティム・クックCEO(最高経営責任者)はApple Special Event(Let's meet at our place.)でiPhone Xを「今後10年の方向性を示す新たな製品」と紹介していた。

TouchID Apple iPhone 15 「iPhone X」発表時のプレスリリース。現iPhoneの原型にもなったiPhone Xは、未来を象徴するモデルだった

 つまり、それはその先の10年、Face IDを含むテクノロジーで、先進性を表していく、とも受け取れるため、その過程で急にTouch IDを採用するのはこれまでの流れに逆行するし、先進性をアピールするiPhoneに実装される可能性は低いだろう。

 また、特に昨今は部材の高騰が端末価格に反映されやすく、これまでの仕組みを変えるとなれば、Touch IDの構造や部品は必然的に見直されることになるはずだ。今後、iPhoneにおいてFace IDとTouch IDが両立することはないのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月14日 更新
  1. KDDIのpovo、「つながらない」に悩む楽天ユーザーを本気で救済開始か Xで意味深投稿 (2026年06月13日)
  2. シャープが「AQUOS」を中高価格帯へシフトする理由 メモリ高騰が直撃するエントリースマホの限界 (2026年06月13日)
  3. PayPayの誤送金トラブル、なぜ「強制キャンセル」できない? 広報に聞いた理由と自衛策 (2026年06月13日)
  4. DAZNのW杯「月額980円」表示に落とし穴 ユーザーを困惑させた2つの“ダークパターン”とは (2026年06月12日)
  5. スタバ長時間滞在、なぜ「一律ルール」設けない? “スマホでゲーム、PCで仕事も…広報見解は (2026年06月12日)
  6. ゲオの“今だけ”スマホ買い取り額UP、実はうそ? 消費者庁が厳しい目 (2026年06月12日)
  7. 「JALモバイル powered by ahamo」のお得度を検証 本家ahamoやIIJmio版とは何が違う? (2026年06月12日)
  8. 新エントリースマホ「arrows We3」発表 コンパクトな高耐久ボディーに5000mAhバッテリーや新カメラを搭載 (2026年06月11日)
  9. 追加料金なしで海外データ通信が使える快適さ そして外国で「シャッター音」を忘れて羽根を伸ばすスマホ (2026年06月12日)
  10. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー