もう1つ、今回何気に注目したいのは、28mmと35mmモードが追加されたこと。
2xにすると48mm相当で50mmに近いわけで、カメラユーザーにはなじみ深い「24mm/28mm/35mm/50mm」という焦点距離をさっと選べるようになったのはいい。
かくして、搭載するカメラは3つだけど、実質7つのレンズを持っているようなものだ、といいだしたわけである。
ちなみにiPhone 15にはマクロ機能がないのでそこもProの優位点だ。
動画は最高で4K/60fpsだが、USB-C端子を搭載したことで、外付けストレージにProResで直接録画できるようになった。これは映像ガチ勢向けの機能だ。
動画でユニークなのは「空間ビデオ」撮影。超広角カメラとメインカメラの両方を使って、3D動画を撮るものだ。Vision Proでの視聴を考慮したもの。この機能は年末までに使えるようになるということなので、Vision Proの米国での発売に合わせてくるのだろう。
最後はiPhone 15と15 Pro共通のコンピュテーショナルフォトグラフィーの話。
もともとiPhoneのカメラってシャッターを押した瞬間の写真を1枚撮って終わり、じゃなくて、実は裏側でシャッターボタンを押す寸前から何枚も超高速撮影をしてそれらを1枚の画像にするという超絶な技巧を繰り広げているようなのだが、今回の発表でそれがさらに進化したようなのだ。
どうも48MPの高解像な画像と、12MPの画像の両方を撮ってそれを組み合わせているのである。
詳細は分からないけど、12MPの画像をベースに48MPの画像を使ってディテールの描写力を上げているんじゃないかと思う。
iPhone 15 Proの28mmや35mmの画像もその技術を使っているのだろう。
そして今回、24MPや48MPの画像も保存できるようになった。iPhone 14 Proで48MPの画像を得ようと思ったら、サードパーティーのアプリを使うかProRAWで撮る必要があり、それをやると画像1枚あたり60MBとか90MBとかおそろしいサイズになっていたのだ。
iPhone 15シリーズはHEIFでも保存できるし、12MPと48MPの中間にあたる24MPでの画像保存も可能になったので、これも使ってみたい。
最後にもう1つ。ポートレートモードの話。今回、「自動ポートレートモード」な機能が付いたのだ。通常の写真モードでも「人物か犬か猫」を見つけると、通常の撮影をしつつ自動的に「深度情報」も一緒に記録する。
深度情報を使えば「ポートレートモード」として背景をぼかした写真にできるし、使わなければ通常の写真と同じになる。人や犬や猫が被写体なら、あとからぼかしのコントロールができるというわけだ。
いちいち撮影モードを変えなくてもよし。迷っている暇があったらまずシャッターを押せ、である。よいことだ。
カメラ自身の性能も大事だけど、何気に48MPや24MPでの保存ができたり、新世代ポートレートモードでより背景をぼかした写真を撮りやすくなったりと、コンピュテーショナルフォトグラフィーを進化させた実用的な機能にも注目したいなと思うのである。
で、個人的にどれを買うかというと……実は発表まではPro Maxはデカくて重いし高価だし、15 Proでいいよなと思っていたのだけど、15 Pro Maxのテトラプリズムな望遠カメラを使ってみたい、15 Pro Maxはチタン化によって14 Pro Maxより少し小さく軽くなったってことでちょっと揺らいでいる。
うらめしいのは、何といっても円安である。
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