ソニーに聞くXperiaのデザイン戦略 人気色「パープル」誕生秘話から21:9比率まで(4/4 ページ)

» 2023年11月23日 11時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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アウトカメラが見せ場にも 飽きさせない工夫とは

―― コロナ禍で変化した生活様式はデザインに影響を与えますか?

村井氏 それを表立って意識しているわけではないですが、例えば、在宅時間が増えたとともに、動画視聴時間が増えていますから、スマートフォンを手に持つ時間が増えることを考えた場合、光沢感よりもマットな質感の方がいい、と各デザイナーが実際の利用シーンを考えています。

 Xperiaは2023年現在、1、5、10、Aceの計4シリーズを展開していますが、全てで同じマットな質感にせず、シリーズごとで異なる質感にすることで、お客さまに合わせた提案ができると思います。

Xperia デザイン 左が「Xperia Ace III」、右が「Xperia 10 IV」

鈴木氏 環境への意識の高まりなどを受けて、スマートフォン全体の造形と合わせて表現できる部分もあります。

―― 買い替えのサイクルが平均4.4年というデータがあります。これもデザインに反映されるのでしょうか?

村井氏 指紋や傷が目立たないような工夫もそれぞれのモデルで行っています。

鈴木氏 それだけをデザインに反映することはないですが、Xperiaを長期的に使ってもらうことを想定し、傷などが目立たないようにする工夫はあります。

―― 長期的な利用が想定される一方で、デザインへの飽きを防ぐための工夫はありますか?

村井氏 先ほど申し上げたリサーチの情報が毎年更新されますから、なるべくそうした部分を反映できるようにはしています。飽きる、飽きないに直接つながるかは分かりませんが、その時々のトレンドだけを意識するのではなく、常に将来を見据えた提案をどの製品でも行っているので、新鮮に捉えてもらえるとうれしいです。

Xperia デザイン ソニーグループ クリエイティブセンター インキュベーションデザイン部門 スタジオ2 チーム4 アートディレクター 村井薫氏

鈴木氏 買い換えのサイクルが長期化している、ということは毎年買い替えてくださるわけではないです。何年たっても持ってもらえるようにするためには、素材や色の表現が違えどコンセプトを大きく変えないことも重要になってくる、と考えています。

村井氏 色や質感の違いはあっても、それを1枚の板に見えるように、合わせ込むことは以前から行っていることです。ただ、一つ一つの質感や表現を変えていくことで、新鮮なイメージを与えられるように工夫しています。

鈴木氏 カメラもご存じのようにすごく進化していますから、カメラを1つのトラック形状(楕円の台座)の中に収めています。過去を振り返ると、Ericsson時代は銀のフレームがグルッと囲むようなデザインでした。その考え方はフィーチャーフォンに近かったです。Zのタイミングでよりシンプルな板のようなデザインに戻しました。

Xperia デザイン カメラ周りの仕上げの違い(左がXperia 1 IV、右がXperia 1 V)

―― シンプルになっていく中でモデルごとに差異化していく必要もありそうですね。

鈴木氏 シンプルになる中でカメラが1つの見せ場になっています。

村井氏 例えば、1 IVと1 Vの違いでもう少し説明しますと、光沢のあるガラスを採用してレンズ周りを保護していましたが、1 Vはあえてレンズを強調する方針に変えました。レンズの周りをマットにして質感を背面に寄せていきました。

Xperia デザイン 1シリーズ(2019年発売のXperia 1から2023年発売のXperia 1 Vまで)

取材を終えて:シリーズの一貫性を保ちながら進化を遂げたXperia

 Xperiaのデザインを振り返ると、基本的なコンセプトは2013年のZ以降、最新モデルの5 Vに受け継がれていることが分かる。Zで初めて採用されたパープルの衝撃は現在でも忘れられず、Xperiaファンの方々なら迷わず選びたい色だろう。

 一方で大きな変化が少なくなってきたスマートフォンにソニーらしい工夫が見られるのも事実だ。細長い21:9比率は2画面分割で複数のタスクをこなせるし、比率さえ近ければ映画コンテンツは視聴しやすい。

 機能や性能だけでなく、色や質感も時代やユーザーニーズなどの移り変わりとともに変化しているが、シリーズの一貫性を保ちながら進化を遂げていることが分かる。これから先も1、5、10の細長いボディーは続きそうな雰囲気だが、どのように変化していくのかも気になるところだ。

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