もはやカメラだけが競争軸ではなくなってきたなかで、久しぶりに大きなトピックになりそうなのが「生成AI」。それをいち早くスマートフォンに取り入れたのが「Pixel」で、Googleに先見の明があったと思います。消しゴムマジックで味をしめたのか、「編集マジック」という機能も増えましたし、見せ方がうまいですよね。被写体を移動して、後ろの空いたスペースを生成して埋めてしまうというのは、体験として違う次元に来たなと思いました。まぁ、実際にPixel 8を買った上でそれを使っているかというと、ほぼ使っていませんが……(笑)。それでもインパクトはすごかったです。
また、残念ながら今のところPixel 8 Proにしかなく、英語のみですが、レコーダーの要約機能も、生成AIを端末の機能として昇華している例かと思います。そういう前提のもとで、Pixel 8とPixel 8 Proのどちらがいいかと考えました。Feature Dropでの機能差はあるものの、コンパクトでスマートフォンとして使いやすく、そのうえで生成AIを使えて、なおかつキャリア版の価格が非常にリーズナブルなPixel 8の方を評価しました。
一方で、iPhone 15 Proも素材から、USB端子、ボタンまでフルモデルチェンジをしてきたので、今年を語るうえでは外せない1台です。ですので、Pixel 8を頂点に据えつつ、今年(2023年)を代表するような機種に5点ずつ付けました。
Galaxy Z Flip5も大きなサブディスプレイを備えて、閉じたまま使うというスタイルを提示をしてきたので、フリップスタイルのフォルダブル端末として新しさを感じました。ちなみに、サムスンの公式モジュールである「GoodLock」がついに日本でも解禁されたので、これがあればほとんどのアプリを使えるようになって、モトローラとの差もなくなるでしょう。
逆にmotorola razr 40 Ultraは、点を入れませんでした。MVNO販売でグローバルモデルそのままという事情は分かりますが、この価格帯でFeliCaを搭載していないというのは、ちょっと売りづらい。ローカライズも含めてサムスンに対抗してほしかったなと思います。
その反面、ミッドレンジに移ると、しっかりローカライズしてきて、サムスンが対応していない防塵(じん)にまで対応したmotorola razr 40/40sはよかった。特に、MNPした場合に実質1万円で使える価格感は特筆すべき。ディスプレイサイズやSnapdragonのクラスや世代は、正直目をつぶることができます。ミッドレンジというサムスンも展開していないところを、モトローラが狙ってタイムリーに日本に投入してきたのが、意欲的だったと思います。
Pixel 7aのインパクトも相当大きかったです。円高が進行する中で、どこからお金を用意したのかは分かりませんが、Google独自のレートといえる価格設定からは、日本市場を意識していることが感じられました。ドコモが取り扱いを始めたことによる市場拡大ぶりも印象的でしたし、競合からしてもPixelを意識せずにはいられないという意味で台風の目になっている存在でした。そういう意味で今年を代表する機種だったと思っているので、9点を入れました。
シャープのAQUOS sense8もそこに対抗してきていて、Pixel 7aにないところを狙ってきている印象。シリーズのよさを踏襲しつつ、ライカチューニングで得たノウハウを生かして、カメラが格段によくなっていたと感じました。R8などよりセンサーサイズが小さい分、実は写真を撮りやすかったりもします。1型センサーって癖があるので。
TORQUE G06はいい機種だとは思いますが、今年を代表するようなミッドレンジモデルかというとちょっと違うかなと思いました。motorola edge 40もいい端末ですが、何かトレンドを決定づけるようなものがなかったので、同様の評価として点を入れませんでした。
ハイエンドについては、今年(2023年)はiPhoneとPixelの年だったと思って配点しました。Pixel 8とPixel 8 Proについては、優劣をつけづらかったので、それぞれ6点、5点を付けました。
フォルダブルも躍進したとは思うのですが、とはいえまだ高すぎる。ただし、無視するわけにはいかないという意味で、0にはできなかったので、それぞれ配点しました。
ミッドレンジについては、実際に買いたくなったフォルダブルということでmotorola razr 40/40sに10点。値段が圧倒的に安くて、さらにFeliCaなども載せている。今年を代表するスマホだと感じました。
また、AQUOS sense8が高得点なのも「当然」、という印象ですね。「AQUOS R8」や「AQUOS sense7」を使っていたら、なおさらそう思えるのではと思います。
その他の機種については、それぞれ話題性があったという意味で、均等に2点を配分しました。
ハイエンドについては、PixelかiPhoneかで悩みまして、新規軸としての「生成AI」を取り込みつつ、集合写真の表情を変えるとか、ユーザーを驚かせるような体験に落とし込んだところにインパクトを感じたので、Pixel 8に10点を入れました。Pixel 8を選んだのは、サイズ感や価格など、一般ユーザーに訴求しやすい部分を評価したからです。
その他のモデルについては、ほぼ均等に配点しました。iPhone 15 Proは進化の幅が大きかったので5点。Pixel 8 Proも望遠カメラの性能が良く、0点にはできないという意味で5点。石野さんのレビュー記事でも遠くにいる人の顔を撮って判別できるのはすごかった。こういったハードウェアとの連携的な部分も加味しています。
motorola razr 40 UltraとGalaxy Z Flip5はコンセプトは似ていますが、razrの方が先に出たということと、折りたたみスマホの体験を変えるというメッセージが伝わってきたので、こちらを少し高く評価しました。
ミッドレンジも、大体皆さんと同じような評価で、今年(2023年)はAQUOS sense 8とPixel 7aが2強だったかなと思います。AQUOS sense 8を10点にしたのは、価格やスペックについて隙がなかったからです。
その他の機種は、それぞれ当分で配点しました。motorola razr 40は折りたたみの市民権を拡大しましたし、TORQUE G06は京セラが個人向けスマホ事業から撤退するというごたごたの中で話題性もあって読者の関心も高かったです。motorola edge 40は一見地味ですが、使ってみると良い端末で、モトローラの復権、というか今年の勢いを象徴する1台だったと評価しました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.