GoogleがX(旧Twitter)でとある短編動画を公開した。人間が巨大なバナナにまたがり、まるで乗り物のように街を疾走して会社へ向かう、コミカルで非現実的な光景を描いたこの15秒の動画だ。
Google Japanの公式Xアカウントは、この動画に「遅刻、遅刻、、バナナで遅刻をまぬがれてみた。 Gemini ならこんなあり得ない動画も生成できちゃう。 あなたならどんな間に合い方をしますか?」という一文を添えて投稿した。
この遊び心あふれる問いかけは、ユーザーに自らのアイデアを巡らせるきっかけを与え、Geminiが単なる作業の効率化ツールではないことを象徴している。日常のありふれた「遅刻」というテーマを、バナナに乗るという奇想天外なアイデアで映像化したこの試みは、AIの能力を分かりやすく伝える優れたデモンストレーションといえる。
この動画は、音声付き動画生成AIモデル「Veo 3」で作成されたもの。利用者がテキストで指示を与えるだけで、まるで頭の中のイメージをそのまま映し出したかのような動画を生成できる。従来、映像制作には専門的な知識や高価な機材、そして多くの時間が必要とされたが、Veo 3のようなツールの登場により、その常識は覆されつつある。
Veo 3は、利用者の利便性も考慮されており、モバイルアプリからも手軽にアクセスできる。月額2900円のサブスクリプションプランであるGoogle AI Pro(旧Google One AIプレミアムプラン)に含まれており、プロのクリエイターだけでなく、一般のユーザーも高品質な動画生成を試すことが可能だ。
Googleの公式サイトでは、Veo 3を使えば8秒間の高品質な動画を作成できると紹介されており、思い描いているものを言葉伝えるだけで、のアイデアがネイティブ音声生成の動画に変換されます、とその手軽さと性能の高さをアピールしている。テキストから映像への変換が、かつてないほど身近で直感的なものになったのだ。
一方で、このような生成AI技術の急速な発展と普及は、新たな課題も浮き彫りにしている。特に重要となるのが、生成されたコンテンツの取り扱いに関する透明性の確保だ。
今回Googleが自らAIによる生成物であることを明かしているように、AIによって作られた動画や画像を公開する際には、その旨を明確に表示することが、後々の誤解やトラブルを防ぐ上で極めて重要となる。近年、SNSなどでは、投稿されたコンテンツがAIによって生成されたものかどうかを見極めようとする動きが活発化し、炎上につながる事例も少なくない。
さらに、生成AIをビジネスの現場で活用する際には、より慎重な姿勢と対応が求められる。生成AIの利用者が企業などの組織の利用規定やガイドラインを十分に確認し、生成AIの使用が許可されているかどうか、また、どのような用途において活用が認められるかを正確に把握しておく必要がある。著作権や肖像権といった法的な側面に抵触しないかどうかのチェックも欠かせない。
このように、生成AIはクリエイティブな場面においても強力なツールであることは間違いないが、その利用には適切なルールと倫理観が伴わなければならない。
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